ノリーナ・ハーツのTHE LONELY CENTURY なぜ私たちは「孤独」なのかの書評


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THE LONELY CENTURY なぜ私たちは「孤独」なのか
著者:ノリーナ・ハーツ
出版社:ダイヤモンド社

本書の要約

現代人の孤独が社会的な課題になっています。孤独の世紀がさほど孤独でないようにするためには、私たちは接触を減らすのではなくて、増やす必要があります。その際、他者に優しさを持って接することで、孤独を防げるだけでなく、幸福度もアップできるのです。

孤独が現代人の共通の悩みになっている!

世界中で、人々は孤独で、周囲から切り離されて、孤立していると感じている。私たちは今、グローバルな孤独危機に見舞われているのだ。(ノリーナ・ハーツ)

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン名誉教授のノリーナ・ハーツは、孤独が人々を不幸にしていると指摘します。今回の新型コロナで「ソーシャル・リセッション(交流の減少)」が起こり、外出ができない中、多くの人々が孤独を感じています。

コロナ以前から、孤独は社会的な課題になっていました。データを見ると米国の成人の61%は自分を孤独な人間だと感じていました。ドイツでは人口の68%が、オランダでも約33%の人が自分を孤独だと捉えていたのです。スウェーデンでは人口の25%が頻繁に孤独を感じているなど、孤独が先進国に住む人たちの共通な課題になっています。

英国では、2018年にテリーザ・メイ首相が孤独大臣というポストを新設しました。英国人の15%は頼りになる親しい友達が一人もいないということが明らかになったため、対策を練ることにしたのです。

今回のコロナパンデミックによるロックダウンと自主隔離、そしてソーシャル・ディスタンシングは、この問題を悪化させてきました。若者も老人も、男性も女性も、単身者も既婚者も、金持ちも貧者も同様に孤独の時間を過ごしました。

孤独はメンタルヘルスの危機だけでなく、身体的な健康にも危機をもらたす。研究によると、孤独は運動不足よりも身体に悪く、アルコール依存と同じくらい有害で、肥満の2倍も健康に悪影響を与える。タバコを1日15本吸うのと同じくらい有害だという統計もある。こうした不調は、収入や性別、年齢、国籍とは関係なく生じるという。

孤独は私たちの心と体に悪影響を与えるだけでなく、医療費やメディアケアのコストを増加させています。

従業員の孤独がらみの病欠によって、英国の事業者は年間8億ポンドもの損失を与えたことを明らかになっています。生産性の低下も考慮すれば、その金額ははるかに大きくなっていると著者は指摘します。

孤独は政治的な危機をも引き起こします。米国と欧州をはじめ世界中の国で、分断と過激化を煽ってきました。低所得の白人の孤独が、トランプの躍進をもたらしたのです。移民を差別し、団結することで、白人の低所食者は孤独を和らげていました。人々の不満をめざとく見つけ、それを政治的に利用するポピュリストが増殖することで、欧米の政治の右傾化が加速しています。

孤独を避けるためにやるべきこと

現代の孤独は、グローバル化や都市化、格差拡大、パワーの非対称によって形を変えてきた。人口動態の変化やモビリティーの高まり、テクノロジーによる破壊、緊縮財政、そして今、新型コロナウイルスの影響も受けている。それは周囲にいる人とつながりを持つことへの渇望、愛し愛されたいという切望、そして自分に友達がいないと感じるときの悲しさを超える感覚だ。

現代人が孤独になったのは、複雑な要素が絡まっています。それを今回のコロナパンデミックが加速させたのです。
■グローバル化
■都市化
■テクノロジーの進化
■格差拡大
■性差別
■人口動態の変化
■緊縮財政

私たちはテクノロジーの発達で孤独を感じるようになりました。 スマートフォンとソーシャルメディアは、孤独危機の原因の代表的な原因になっています。

また、グローバル化で都市に様々な人が集まることで、孤独になる人が増えています。2019年に英国で約1000人を対象に行われた調査によると、職場または自宅近くで人種的または民族的差別を経験した人は、孤独を感じる可能性が21%上昇することが明らかになりました。2020年にアメリカ人1万人以上を対象にした調査によると、黒人と中南米系は、職場で白人よりもはるかに大きな孤独と疎外感を覚えていました。

大都市への移住や、大掛かりなリストラや、ライフスタイルの根本的な変化により、伝統的な意味での「人との関わり」は著しく減った。10年前と比べると、世界の多くの地域で、人々は教会に通わなくなり、PTAや労働組合に加わらず、他人と一緒に食事や生活をしなくなり、親しい友達を持たなくなった。人との接触そのものが減り、セックスさえも減っている。

今回のコロナパンデミックになる前から、人と会う機会が減っていました。オンラインが加速することで、人は自宅でスポーツをしたり、Amazonで買い物をするようになり、外出しなくなっていたのです。

都市のコミュニティも解体が進んでいます。2008年の金融危機後の緊縮政策によって、世界中の図書館や公園、遊び場、そしてユースセンターやコミュニティーセン ターが大打撃を受けたと言います。英国では、2008年からの10年間で、ユースクラブの3分の1と、公立図書館約800カ所が閉鎖され、米国では連邦図書館の予算が40%以上減少しました。

こうした場所は、自分とは異なる人と平和的に共存する方法や、多様な意見を調整する方法を学び、市民的な振る舞いとインクルーシブな民主主義を練習する場所だったのです。このようなスペースがなければ、人との出会いが減り、孤独になる人が増えてしまうのです。

新自由主義によって、現代人はみずからを協力者ではなく競争者、市民ではなく顧客、共有者ではなく独占者、与える者ではなく奪う者、手を貸す者ではなく巻き上げる者とみなすようになりました。「私がすべて」の自己中心的な社会では、誰も他者を頼りにできないために、自分で自分の面倒を見なくてはいけないと誰もが感じています。結果、社会の孤独化が進んでしまいます。

自己中心的な社会は、自己永続的なサイクルにもなる。そんななかで私たちが孤独を感じないためには、人から奪うだけではなく与え、周囲に気を配り、お互いに親切に振る舞い、敬意を払わなければならない。また、私たちを引き裂こうとする世界で結束するためには、資本主義と公益をもう一度結びつけ、思いやりと協力を中心に据えたコミュニティーをつくり、それを自分とは異なる人たちにも広げる必要がある。

孤独による破壊にストップをかけ、失われた共同体意識や結束意識を取り戻すためには、行き過ぎた個人主義にストップをかける必要があります。

個人主義と集団主義、自己利益と社会的利益、匿名性と親密性、利便性の追求と心配り、自分にとって正しいことと共同体にとって最善のこと、そして自由と友愛の間で調整を図る必要があります。

21世紀は孤独の世紀だ。だが、それは今からでも変えられる。未来は私たちの手の中にあるのだから。

誰かに親切にしてもらったり、気にかけてもらうことは、一人ぼっちではないという感覚を高めると同時に、健康上のプラス効果があります。誰かに親切にする側にも、同じような健康増進効果があるも明らかになっています。

2000年代初め、米国のキリスト教長老派教会の信徒2016人を対象に、宗教的な慣習や、心身の健康状態、そして誰かを助けたり、助けられたりする経験についてのアンケート調査が行われました。ボランティア活動やコミュニティー活動、あるいは家族の介護など、誰かを助ける活動に従事している人は、そうでない人よりも精神状態が著しく良好であることがわかったのです。 孤独の世紀には、自分がケアされていると感じるとともに、誰かをケアする機会を持つようにすべきです。

他人との接触は、たとえわずかでも孤独を大きくやわらげる働きがあります。ブリティッシュ・コロンビア大学の社会学者ジリアン・サンドストロムとエリザベス・ダンは2013年、「極小の交流」が人間のウェルビーイングに与える影響を調べました。

繁華街のスターバックスの前で、入店客の一部には店内でフレンドリーに振る舞い、バリスタと言葉を交わすよう頼み、それ以外の入店客には、店内で「効率的」に振る舞い、不要な会話は「避ける」よう頼みました。バリスタとの交流は30秒程度に過ぎませんでしたが、無作為に「フレンドリーな」グループに入れられた人たちは、ぶっきらぼうに振る舞うよう頼まれた人たちよりも幸福感が大きく、周囲の人とのつながりを感じたことがわかりました。

スターバックスやウォルマートの従業員は、フレンドリーに振る舞ったり、「よい1日を」と声をかけたりすることがマニュアルに書かれています。「アメリカで最も礼儀正しいチェーン店」とされるチックフィレイの店員は、「ありがとうございます」ではなく「(ご利用いただけて)私も嬉しいです」と言うよう教育されています。

この種の台本に基づく極小の交流でも、予想以上に大きなインパクトがあると著者は指摘します。なぜなら、人間は、フレンドリーな演技(ただし上手な場合)を見破ることが非常に苦手だからです。

人にフレンドリーに振る舞うこと、あるいは振る舞われることによって、私たちは相手との間に人間性という共通点があることを思い出し、孤独感が低下する。このことは、最近の暮らしがとりわけ孤独に感じられる理由と関係しているのかもしれない。

都市の中に多様な人が集まる場所をつくると孤独を防げることが明らかになっています。最近のロンドンに関する研究よると、コミュニティーを構成する多様な民族集団(サブセット)間に交流がないと、信頼関係が乏しい場合もありますが、サブセット間の接触が増えると、社会のまとまりは増すことがわかったと言います。

自分とは異なる人と日常的に対面交流があると、違いよりも共通点に目が行きやすくなります。孤独の世紀がさほど孤独でないようにするためには、私たちは接触を減らすのではなくて、増やす必要があります。その際、他者に優しさを持って接することで、孤独を防げるだけでなく、幸福度もアップできるのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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