武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50 (山口周)の書評

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武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50
山口周
KADOKAWA

本書の要約

哲学を学ぶことで、私たちは以下の4つの果実を得られます。①状況を正確に洞察する。②批判的思考のツボを学ぶ。③アジェンダ(課題)を定める。④2度と悲劇を起こさないために。ビジネスパーソンが哲学を学ぶことで、アジェンダ(課題)を定められるようになり、イノベーションの起点を作れるようになります。

哲学がビジネスに効果がある理由

哲学の歴史がそのまま「壮大な思考プロセスの記録」である。(山口周)

哲学者の思考プロセスを学び、それをビジネスに活用することで、新たな課題を発見できるようになります。さまざまな哲学のメソッドを掛け合わせることで、ビジネスで結果を出せるようになります。

哲学を学ぶことで、私たちは以下の4つの果実を得られます。
①状況を正確に洞察する
②批判的思考のツボを学ぶ
③アジェンダ(課題)を定める  
④2度と悲劇を起こさないために

①状況を正確に洞察する
哲学を学ぶことの最大の効用は、「いま、目の前で何が起きているのか」を深く洞察するためのヒントを数多く手に入れることができることです。私たちは哲学者の残したキーコンセプトを学ぶことで、この「いま、何が起きているのか」という問いに対して答えを出すための、大きな洞察を得ることができるようになります。

②批判的思考のツボを学ぶ
哲学を学ぶことで、私たちは「批判的思考のツボを学ぶ」ことができます。哲学の歴史は、批判的考察の歴史で、「提案→批判→再提案」という流れの連続で出来上がっています。  

変化する現実に対して、現在の考え方や取り組みを批判的に見直して、自分たちのビジネスを変化させることができます。私たちは哲学の力を借りることで、これまでやってきた考え方、動き方を否定した上で、新しい考え方、動き方を取り入れることが可能になるのです。

難しいのは「新しい考え方・動き方」を「始める」ことではなく、「古い考え方・動き方」を批判的に捉えて、これを「終わらせる」ことなんです。これまで通用した「考え方」を、一旦批判的に見直してみる。そして、それが現実にうまく適応できていない、現実をうまく説明できていないのだとすると、その理由を考察して、新しいパラダイムを提案する、ということが求められるわけですが、これはまさに、哲学者が連綿とやってきたことです。

以前、ビジャイ・ゴビンダラジャンのBOXの話を書いたことがありますが、BOX2の中身を見極めることが重要になります。(関連記事はこちらから)

●BOX1:現在――中核事業を最大利益率で運営する
●BOX2:過去――イノベーションを妨げるアイデア、実務、姿勢を手放す  
●BOX3:未来――ブレイクスルーとなるアイデアを新たな製品や事業に変換する

BOX3という新しいパラダイムを受け入れるためには、過去のビジネスに対して冷徹になる必要があります。

哲学によって、アジェンダを定められる。

③アジェンダ(課題)を定める  
アジェンダ(課題)を定めるとイノベーションの起点を作れます。全てのイノベーションは、社会が抱えている「大きな課題」の解決によって実現されるのですから、「課題設定」のないところからイノベーションは生まれません。

「課題設定の能力」を高めるためには、教養を深める必要があります。目の前の慣れ親しんだ現実から「課題」を汲み取るためには、「常識を相対化する」ことが不可欠になります。 空間軸・時間軸での知識の広がり=教養によって、常識を疑えるようになります。

自分の持っている知識と目の前の現実を比べてみて、普遍性がより低い常識、つまり「いま、ここだけで通用している常識」を浮き上がらせることが重要です。「普遍性のなさ」にこそ疑うべき常識があり、教養はそれを映し出すレンズなのです。

スティーブ・ジョブズは、カリグラフィーの美しさを知っていたからこそ「なぜ、コンピューターフォントはこんなにも醜いのか?」という問いを持つことができ、それが初期のアップル製品の強みになったのです。

④2度と悲劇を起こさないために
哲学を学ぶことで、悲劇を避けられるようになります。というものです。過去の歴史を遡ると、戦争などの悲劇は一部の狂信者だけでなく、「普通の人々」の愚かさによって引き起こされています。

過去の多くの哲学者は、同時代の悲劇を目にするたびに、私たち人間の愚かさを告発し、そのような悲劇が二度と繰り返されないために、どのように私たちの愚かさを克服するべきかを考え、話し、書いてきました。人類はこれまでに高い授業料を払って、様々な失敗からの教訓を得ているのです。

過去の哲学者がどのような問いに向き合い、どのように考えたかを知ることは、とりもなおさず、私たち自身が、当時の人間と同じような愚かな過ちを再び繰り返すことのないよう、高い費用を払って得た教訓を学ばせてもらうという側面があります。

過去の戦争の原因を哲学者は明らかにしていますが、ウクライナ危機では悲劇が繰り返されてしまいました。独裁者がつくったシステムに普通の人々が慣らされることで、人は数年で戦争に反対できなくなります。抑圧とプロパガンダによって、普通の人たちの意識は変えられてしまうのです。

本書の50の哲学のキーコンセプトを学び、それを活用することで、正しいアジェンダを設定できるようになります。哲学を学ぶことで、課題を発見する力を養えるようになります。

 



この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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