イノベーションに多様性が重要な理由。スタンフォードの人気教授が教える 「使える」アイデアを「無限に」生み出す方法の書評

five people sitting at table and talking

スタンフォードの人気教授が教える 「使える」アイデアを「無限に」生み出す方法
ジェレミー・アトリー, ペリー・クレバーン他
KADOKAWA

本書の要約

アイデアの多様性は、多様な創造的なインプットによって生まれます。インプットの量と種類は、健全なアイデアフローにとって重要です。異なるネットワークを活用し、学習サークルやペンパル、素人の意見から創造的なリソースを得て、イノベーションを促進することができます。

アイデアになぜ多様性が必要なのか?

アイデアは、スーパーでブロッコリーを手にとるように必要に応じて入手できるものではない。脳にさまざまなインプットという栄養価の高い食事をきちんと与えて、育成すべきものなのだ。(ジェレミー・アトリー, ペリー・クレバーン)

スタンフォードの人気教授が教える 「使える」アイデアを「無限に」生み出す方法(ジェレミー・アトリーペリー・クレバーン)書評を続けます。

創造的な問題解決において、アイデアの質はアイデアの量に大きく依存しています。つまり、たくさんのアイデアを考えることで、より優れたアイデアが生まれる可能性が高くなります。ただし、同じグループで考えると、あるテーマに関するアイデアばかりが思いつき、アイデアの多様性が不足することがあります。

アイデアの多様性は、創造的なアイデアの源泉となります。そのため、異なるバックグラウンドや視点を持つ人々からのインプットが必要であり、同僚や協力者、顧客やクライアントなどからの意見を聞くことが重要です。さらに、異なる意見や考えを衝突させることで、新たなアイデアが生まれることもあります。

イノベーションを起こしたことで有名なゼロックスのパロアルト研究所(PARC)やベル研究所では、異なるバックグラウンドを持つ専門家が集められ、議論することが求められました。そこでは、専門家同士の交流を促進するために、さまざまな方法が取られていたのです。

有能なイノベーターは、長期的視点を持って、同僚や協力者たちの集まりを育てることで、利益になるようなポートフォリオを構築しています。 自身のポートフォリオ構築に時間と労力をつぎ込むことで、さまざまな考え方に触れることができます。これは、創造性を高めるために必要なことです。異なる人々からのアイデアや視点を受け入れることで、自分自身の視野を広げることができます。

心理学者のハイディ・グラントとリーダーシップ専門家のデヴィッド・ロックは、多様なチームがもたらすプラス効果について研究し、そのエビデンスを提示しています。彼らは異なる民族・人種・性別からなるチームほど、業績が向上し、イノベーションが促進されることを明らかにしました。

多様性があることで、異なる視点を取り入れ、新たなアイデアを生み出せるようになります。しかし、優秀な異分野の人々を集めることは簡単なことではありません。企業やチームは、人口動態的な枠組みを超え、積極的に多様な人材を取り入れる必要があります。

同じ組織に閉じこもるのをやめ、多様なグループに所属し、新たな視点と問題解決方法を探すべきです。自分とは異なる背景を持つ人々と会話することで、新たな視点を得ることができます。自分自身に偏りがあることを認め、自分とは異なる考え方を持つ人々と交流するようにしましょう。

問題に対して、より豊かで深いポートフォリオを構築するためには、時間と労力が必要ですが、それに投資する価値は大きいと言えます。異なる意見を持つ人々と話をすることで、自分の欠点に気付くことができ、予想外のアイデアを得ることもできます。相手の意見に従う必要はありませんが、そこからイノベーションのタネを得られることがあるのです。

イノベーションを起こすための7つのツール

均質なチームというのは、斬新な解決策を考え出すのがじつに苦手だ。異なる専門知識や経験をもつ人たちは、互いの見解について驚くべき解釈をする。互いのアイデアをもとにして、予想外の方向に事を進めるのだ。幅広い類推ができるチームは、未知の領域により早く到達する。

リーダーとして、異なるバックグラウンドや視点を持つ人々との衝突を、建設的なものにすることが重要です。そのエネルギーを、問題解決に向けることが大切です。自分とは違うタイプの人々との出会いを積極的に増やすためには、忍耐力と寛容心を身につけることが必要です。 多様な視点からなるポートフォリオを構築することは、失敗を回避するためだけではありません。

人を集める目的は、異なるバックグラウンドや視点から得られるインプットを集めることにあります。他者の視点を取り入れることで、新たな視点やアイデアを得ることができます。チームの半分に、残りの半分の意見を従わせるためではなく、より興味深いアイデアを生み出すために、異なる意見を取り入れることが大切です。

アイデアを生み出すためには以下の7つのツールを使い倒すと良いでしょう。
①学習サークル
定期的に会って、アイデアを共有するグループ。組織に属さない多様なメンバーが一箇所に集まるようにします。

②ペンパル
互いに貢献できる人との良質なコミュニケーション。

③顧客協議会
優良な顧客からのフィードバック。顧客を協力者として引き込む。

④異花受粉
強いつながりと弱いつながりを取り混ぜた社会的ネットワークをもつグループは、強いつながりだけで成り立っている孤立したグループよりも、3倍近く革新的です。偶発的な出会いが起こる混合的なグループを作りましょう。

⑤未経験という経験
素人の意見やアイデアが、しばしば画期的なイノベーションを起こします。

⑥補完的な協力者
ケヴィン・ダンバーの研究によると、コラボレーションがイノベーションを促進する理由の一つは、私たちには見えないものが、他の人にはよく見えることが多いためです。たとえ同じ事実を目にしても、それぞれがまったく異なる結論に達することがあります。しかし、異なる視点をすり合わせることが、劇的な発見につながるのです。

⑦率直である自由
心理的安全性を確保し、自由に意見を交わせる場を整えましょう。

上記の7つのツールを活用することで、ネットワークを創造的なリソースとみなし、イノベーションを促進することが可能です。学習サークルや積極的なコミュニケーション、素人の意見を参考にすることで、新たな気づきを得られます。協力者や同僚、クライアント、顧客の声を傾聴するようにしましょう。

コロナ・パンデミック以降、多くの人々が仕事をハイブリッドやZoomなどのバーチャルな形式に移行する中で、社内での偶然の出会いによる新鮮な思考は期待できなくなっています。そのため、社内、パートナー、外部の人と積極的につながり、一緒に創造することが今まで以上に求められています。

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