「仮説思考」×生成AIで成果を出す方法。AI時代を生き抜くための仮説脳 (竹内薫)の書評

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AI時代を生き抜くための仮説脳
竹内薫
リベラル社

本書の要約

現代の不確かなビジネス環境においては仮説を立て、データ駆動のアプローチと信頼できる人脈からの一次情報を活用する能力が極めて重要です。自己判断と観察を基盤とするこの能力は、おのずから持って生まれるものではなく、修得できます。仮説を立てた後は、インターネットや生成AI、人脈を活用し、検証を行い、結果を出すようにしましょう。

仮説思考が重要な理由

仮説を立てるというのは科学の世界だけの思考法ではなく、人間が生きていくうえで当たり前にやっている「生存戦略」の原点ともいえます。(竹内薫)

この混迷の時代を生き抜くために、どのように生産性を高め、正確な思考や行動を導き出すことができるでしょうか?

答えは、「仮説思考」にあります。現代社会は正解がない時代になっており、ビジネスパーソンはより短時間で正確な思考や行動を導き出す必要があります。そのために有効なのが「仮説」なのです。仮説は、自分の持つ情報や経験を基に、未知の領域に向けて仮定を立て、その仮定を検証していくことで、答えのない問題に対して解決策を導き出すことができます。

仮説思考は、人類が古代から生き残るために用いてきた思考法です。その考え方は今もなおビジネスシーンで重要視されています。仮説思考は事前に仮説を立て、その仮説に基づいて行動し、結果を修正するサイクルを繰り返すことで、より効率的な問題解決を可能にします。

また、ビジネスにおいても、仮説を用いて新しい価値を創造することが求められています。新しい市場や製品が生まれてくるためには、従来にない仮説をたて、新しいアイデアや革新的な技術を取り入れていく必要があります。そのため、ビジネスパーソンは、既存の枠にとらわれず、自分の持つ知識や経験に基づいて、個別にカスタマイズされた新しい仮説を作り出す必要があるのです。

現代の不確実なビジネス環境では、仮説を立て、それをデータ駆動のアプローチと信頼できる人脈から得た一次情報を用いて検証する能力が重要です。これは自分で考え、観察し、行動することを前提とします。 仮説を立てた後は、インターネットや生成AIと人脈を活用し、主体的に情報を取得することで、正しい選択ができるようになります。

私も仮説思考を行い、情報収集の一環として周辺の経営者、士業、コンサルタントなどのプロフェッショナルな方々にも意見を聞き、正しい答えを導き出すようにしています。仮説を立てた後には、AIや検索エンジンだけでなく、自分の人脈とそのつながりを活用することも重要です。そのような人脈を通じて得られる一次情報は、とても価値があります。

仮説思考によって、イノベーションを起こそう!

どの職種においても、パターン化されたことばかりやっているとAIに仕事を奪われるものの、人間としての付加価値が重要であれば、人間がやり続ける……そんな未来が見えてきたのではないでしょうか。

ドイツのマンハイムにあるZEW研究所のメラニー・アーンツ博士をはじめとする研究者らは、人工知能が雇用に及ぼす影響に関する研究を行い、過度な悲観的な見方は妥当でないと主張しています。オックスフォード大学のマイケル・オズボーン教授が2013年に発表した、アメリカ国内の労働者の仕事の47%がAIやロボットに置き換えられるという研究に対して、彼女らは疑問を呈し、実際には全体の約10%程度の仕事が失われる可能性があると指摘しています。また、最近のオズボーン教授の研究によれば、2030年時点で20%程度の雇用が減少する可能性があるとされています。

AIの台頭により、定型業務や単純作業の多くが自動化される時代が来ています。しかし、どの職種においてもパターン化された作業に従事するだけでは、AIに代替される可能性が高くなっています。そのため、人間としての付加価値が重要視されるようになっています。

例えば、医師は診断業務や治療の決定をAIに任せることができますが、患者との対話や情報の共有、倫理的な判断など、人間ならではの能力が求められるようになっています。同様に、エンジニアもAIが設計や開発を処理する一方で、クライアントとのコミュニケーションや問題解決能力などが必要となっています。

このように、単純作業をAIに任せることで、人間はより高次の能力をフルに活かすことが求められるようになるでしょう。そのため、リカレント教育やトレーニングによって、社会がAI時代に順応し、人間の価値を最大化することが重要となります。

現代社会においてAIによって何がどう変わっていくかという情報にアンテナを向け、「自分たちに何ができるのか」という仮説を立てていくことが、今できる企業の生存戦略になるのです。

AIやITといったデジタルテクノロジーが急激に進化する中で、その基本的な仕組みを理解することが求められます。ビジネスの観点からも、自分が関与する分野の最新動向をつかみ、多数の仮説を生成し検証する能力が不可欠です。

ビジネスアイデアを生むためには、社会の変遷に敏感でなければなりません。各ビジネス領域がデジタル化を進める中、これらのテクノロジーに適応するという前提のもと、自身の知識やスキルをアップし、それをどのように活用するかが重要となります。

また、新たなイノベーションを引き起こすためには、単に情報を収集するだけではなく、自分が作った仮説を何度も検証し、最良の仮説を導き出すことが求められます。

さらに、AIやデジタルテクノロジーを活用したイノベーションを実現するには、明確なビジョン・パーパスを示し、専門知識と技術を持つ多様な人材に集まって貰う必要があります。

つまり、現代社会では、ビジネスアイデアを生成し実現するためには、社会課題を明確にし、自社のビジョン・パーパスを示す必要があります。その上でメンバーのスキルを研鑽し、仮説を立て検証する能力が欠かせなくなります。

AIが社会やビジネスに大きな影響を与えることを前提とし、企業は仮説ベースの思考で事業戦略を見直すことが求められています。自社がどのような可能性を秘めているのかを探求し、AIの利用を推進することが生存・成長戦略の基本になります。

たとえば、AIの導入により、業務プロセスの自動化や効率化が実現し、人間によるミスの減少をもたらします。さらに、データマイニングや予測分析などの手法を採用することで、顧客のニーズや市場の動向を理解し、より精度の高いマーケティング戦略を策定することも可能になるでしょう。

目まぐるしく変化するビジネス環境の中で、意思決定のスピードを上げることは企業の生存戦略の一つです。意思決定がスピードアップすることで、市場での競争を優位に進めることができるというメリットが生まれるからです。

仮説を立てて意思決定をすることが難しい理由は、仮説と現実が異なる可能性があるということです。そのため、現実の反応を理解するためには、多くのシミュレーションを行う必要があります。

過去の経験に基づいた直感(第六感)を信じて、意思決定したとしても、結果を出せれば、それは正しい選択なのです。意思決定の権限を持つプロジェクトリーダーは、自身の仮説や判断基準を明確にしましょう。

ビジネスリーダーや経営者にとっては、現代社会において様々なリスク要因が存在することを認識し、多角的な戦略を考慮し継続的に検討することが必要です。そして必要に応じて、迅速に効果的な戦略を選択し、実行する能力が求められます。このようなリスクに対する準備と対応力は、企業の利益や成長にとって不可欠です。

また、様々な情報から未来のマーケットを創造する仮説を生み出すことで、日本の企業がイノベーションを生み出す可能性が高まります。ビジネスリーダーは仮説思考、検証、アクションを繰り返すことで、企業の成長を促進することができるのです。

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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