シナリオ・センター式 物語のつくり方 プロ作家・脚本家たちが使っている(新井一樹)の書評

person writing on brown wooden table near white ceramic mug

シナリオ・センター式 物語のつくり方 プロ作家・脚本家たちが使っている
新井一樹
日本実業出版社

シナリオ・センター式 物語のつくり方(新井一樹)の要約

物語作成において中心的なのは、「何を書くか」と「どう書くか」という二つの要素です。これらのどちらかが不足してしまうと、物語は適切に形成されません。物語の内容(「何を書くか」)とその表現方法(「どう書くか」)が合わさることで、魅力的な物語が誕生します。

技術を磨けば、面白い物語が書けるようになる?

あなたのアイデアから、誰かの心に残る物語が生まれます。 (新井一樹)

著者の新井一樹氏は、多くの連続ドラマの脚本家や賞を受賞した作家を輩出したシナリオライター養成所の副社長でもあります。彼は小学校から企業に至るまで、約200団体、1万人以上に創作に関する講座や研修を提供しています。

本書では、シナリオ、小説、マンガ原作などの創作に関するノウハウが詳細に説明されています。具体的には、物語の設定の作り方、登場人物の開発、構成の組み立て方、シーンの描写方法などが紹介されています。これらの要点を押さえて実践することで、脚本、小説、自分史、マンガ原作など、多様な物語を創り出すことが可能になります。

物語を作るうえで重要なのは、「何を書くか」と「どう書くか」の2つの要素です。どちらか一方が欠けてしまうと、物語は上手く構築できません。「何を書くか」と「どう書くか」の両方が組み合わさることで、面白い物語が生まれます。

このプロセスは、片方の車輪がパンクしてしまった自転車が進まないのと同じです。「何を書くか」は作家自身の内側にあり、自分自身について、人生や社会、この世界について感じたことを他者に伝えたいという願いから生まれます。これは、各作家が持つユニークな「作家の眼」によって決定されるもので、他人から教わることはできません。

一方で「どう書くか」というのは、物語を作り上げるための表現技術を指します。この技術は、物語の効果的な伝達に不可欠であり、習得して磨くことが重要です。

著者は、ストーリーを紡ぐことは技術であり、誰でも磨くことができると述べています。この技術を身につけることで、「どのように書けば作品をより面白くできるか」ということを理解し、実践することが可能になります。重要な点は、この技術は特定の人だけでなく、誰にでも習得できるということです。つまり、練習と経験を通じて、ストーリーテリングの技術を身につけ、自分の作品をより魅力的にすることができるのです。

登場人物のキャラクター×アクション・リアクション=面白いシーン

物語は、「ストーリー」と「ドラマ」という2つの要素で、できています。  

物語は、「ストーリー」と「ドラマ」の2つの要素で成り立っています。物語とは、ストーリーの構造を用いて、ドラマを描くことです。観客や読者が楽しむのは、このドラマ部分です。食事に例えるなら、ストーリーが器で、ドラマがその中の料理に当たります。ストーリーに力を入れることは、器を磨くことに相当しますが、重要なのはその中に盛られるドラマ、つまり料理です。

面白い物語を作るためには、ドラマをしっかりと描くことが必要です。シーンを面白くする方法は、登場人物のアクションとリアクションを魅力的にすることです。これが物語の鍵となります。

アクションとリアクションは、登場人物の動作やセリフ、マンガや小説であれば登場人物の感情表現です。登場人物が複数いる場合、これらのやり取りが物語を形成します。例えば、太郎が何か言えば、花子のリアクションが生まれ、花子がアクションを起こすと太郎のリアクションが生まれます。

このアクションとリアクションは物語の最小単位であり、物語の核となる要素です。登場人物のアクションとリアクションが面白ければ、物語全体も面白くなります。これを意識することで、より魅力的な物語を創造することができるでしょう。

登場人物のキャラクター×アクション・リアクション=面白いシーン

登場人物のキャラクターとアクション・リアクションの組み合わせは、物語の展開や緊張感を高めるだけでなく、視聴者や読者に感情を引き起こす力も持っています。面白いシーンが続く作品は、キャラクターたちの個性とアクション・リアクションの相性が良く、バランスが取れていることが多いです。

創作に着手する前に、作品が「面白くない」と感じられる原因を理解することは非常に重要です。原因を把握しておくと、創作過程で意識して改善に取り組むことができます。 作品が面白くない一因としてよくあるのが、「アイデア倒れ」です。これは、アイデア自体は魅力的でも、そのアイデアを物語全体に適切に反映できていない状態を指します。

アイデア倒れの作品は、しばしば設定の魅力とシーンの魅力のバランスが取れていなかったり、アイデアが多すぎて物語の中心がぼやけたりしています。 面白くないと感じた場合は、まず自分のアイデアが物語全体でどう機能しているかを検証することが重要です。

アイデアが十分に活用されていなければ、どう改善するかを考えます。設定とシーンの魅力が不均衡な場合は、バランスを調整することが求められます。アイデアが過多で物語の軸が不明瞭な場合は、焦点を絞ることで物語がクリアになります。 他人からのフィードバックも重要です。客

観的な意見を参考にすることで、作品の改善点や新しいアイデアが浮かぶかもしれません。 創作過程で自分の作品に対する不満を感じるのは一般的ですが、その原因を特定し、対策を講じることが大切です。アイデアの効果的な活用やバランスの調整に注意を払い、他人の意見を取り入れながら、より魅力的な作品を創り上げていくことが求められます。

面白い物語を作るためには、まず登場人物が魅力的であることが重要です。魅力的なキャラクターは物語に深みと興味をもたらし、読者を引き込む力があります。彼らの行動や反応が物語に魅力を加えるのです。

また、ドラマチックなシーンが物語に描かれている必要があります。このようなシーンは読者の感情を動かし、物語をより魅力的にします。物語全体のストーリーラインもドラマチックでなければなりません。緊迫感のある展開は読者の関心を惹きつけます。

物語制作においては、以下の3つのパートを考えることが大切です。まず、物語の設定を考えます。舞台となる時代や状況、場所などを定めることで、物語の背景を作り出します。次に、登場人物の性格や目標、葛藤などを練り、物語の構成を考えます。

最後に、物語の各シーンを描きます。これらのシーンは、読者の想像力を刺激する魅力的な描写でなければなりません。 これらの要素をうまく組み合わせることで、読者を引き込む面白い物語を作り出すことができます。物語の魅力は、登場人物のキャラクター、アクションとリアクション、ドラマチックなシーンやストーリーラインによって形成されます。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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