東大8年生 自分時間の歩き方
タカサカモト
徳間書店
東大8年生 自分時間の歩き方(タカサカモト)の要約
生きる力とは「自分の目で見て、想像力と機転を働かせ、行動を起こす」ことだと著者は定義します。自分の視点で物事を見て、創造力と機転を利用し、積極的に行動することで未来をより良くできます。観察力、迅速な判断力、勇気、そして行動力を持っていれば、夢を現実に変えることができるのです。
自分時間を生きることと偶然の力の重要性
自分の目で見て、自分の心で感じて、自分の頭で考える。一見簡単なようで実は存外に難しい、たったこれだけのことを、みなさんには、つねに実践してほしいし、できるようになってもらいたいと思います。(小松美彦)
著者のタカサカモト氏は鳥取の田舎から東京大学に進学し、自分の感覚に素直に生きることで様々な経験を積み重ねていきます。当初は都会生活や人生に戸惑いながらも、恩師である小松美彦氏との出会いをきっかけに、世の中の価値観に順応せずに、自分の頭で考え、他者に迎合しない道を選択します。
鳥取と大きく異なる東京の速い生活リズムに悩んでいた著者は、ある時小松先生に相談しました。先生から「君の内側に流れている自分の時間を生きればいい」、「外側を流れる時間からズレていくのは当たり前だから、むしろ苦しみ抜くぐらいでいい」というアドバイスを受けたことで、他者のことが気にならなくなり、自分時間を楽しめるようになったのです。
この考え方が著者の人生観に深く影響を与え、最終的には自分のリズムを受け入れ、その通りに生きるという選択をすることにつながります。自分だけの時間を大切にすることで、より充実した人生を送ることができるという教訓は、著者にとって人生を豊かにする重要な指針となりました。
彼は自分の時間を生きることを決意し、休学・メキシコへの留学を選び、自分の人生を楽しみます。その結果、彼は東大に8年間も在籍することになったのです。
本書では、著者が東大8年間を通じて経験した様々なエピソードが綴られています。例えば、メキシコでのタコス屋見習いや地元・鳥取での「寺子屋」づくり、ブラジルの名門サッカークラブの広報やネイマール選手の通訳など、彼が想像もしていなかった経験を通じて、自分の感覚に素直に生きることの大切さを伝えています。
現在、著者は4カ国語を流暢に操り、埼玉県の浦和でプロサッカー選手たちに語学や異文化コミュニケーションを教える「フットリンガル」をビジネスにし、子育てを中心とした自由な生活を送っています。
異文化を体験する中で自分自身の幸せを探求する著者の物語は、このブログで何度も触れているJ・D・クランボルツの「計画的偶発性理論」を思い起こさせます。この理論は、偶然の出会いが私たちの人生に大きな影響を与え、それを受け入れることで新しい可能性につながると提唱しています。著者の経験からも、偶然と必然が交錯する中で自己実現への道が開かれることが伺えます。
計画的偶発性理論とセレンディピティには、実際深い関連があります。計画的偶発性理論とは、偶然性に基づく発見やアイデアを引き起こすための戦略的アプローチであり、セレンディピティを引き寄せるための一つの方法とされています。
人生は厳密な計画通りに進むわけではなく、予期せぬ小さな出会いが大きな変化をもたらすことがあります。これらの出会いは一見偶然に思えますが、実際には何らかの必然性を秘めていることが多いです。
重要なのは、チャンスと直感した瞬間に、独自の思考で迅速に行動に移すことです。そうすることで、偶然の出来事を自分の利益に変えることが可能になります。
著者のメキシコ留学やサントスFCでのスタッフとの出会いを経験したエピソードは、この偶然と戦略的な思考の組み合わせによる最良の例であり、鳥肌ものでした。
直感と圧倒的な行動が運を良くする!
何かが語られているときに何が語られていないか、何かを見せられているときに何が見せられていないか。つねにもう一方の現実に目を向ける批判的な姿勢をもってください。(小松美彦)
社会に生きる中で、他人の意見や価値観から完全に自由でいることは難しいです。時には、自分の感情や考えに気付くことさえ挑戦的になり得ます。しかし、自己反省と理解への努力は非常に価値があります。他人の視点ではなく、自分の目で物事を見る能力を養うことで、個人的な視野を広げ、自分だけの意見を形成できるようになります。
自分が直面する課題や問題に客観的に取り組むことは、他人の影響に流されずに自分自身の信念や価値観に忠実でいることを意味します。多様な経験を通じて、自分で考え、分析することで、自分にとって本当に大切なことが見えてきます。このプロセスは、自己理解を深め、より充実した人生を送るための基盤となります。
行動を続けていけば、チャンスをものにできるようになります。偶然によって、やりたいことが運ばれた時に、思い切って行動することで、人生をよりよくできるのです。
身体が動かされる感動だ。どちらかというと感化に近いかもしれない。そういう、思わず行動せずにはいられなくなるような衝動をもたらす感動を、僕は個人的にずっと信頼していた。メキシコでタコス屋になりたいと思ったときがそれだった。そして、このときのネイマールの衝撃は、まさにタコス以来の、理屈を超えた衝動をもたらしてくれる何かだった。(タカサカモト)
東大生というブランドを捨て、メキシコに留学したり、YouTubeで見たネイマールに憧れ、ブラジルに向かう著者の行動の根底には小松氏の教えと好奇心があったのです。
2012年2月、東大卒業の見通しが立った著者は、移住の機会を求めてブラジルに単身で渡りました。現地での調査中にサントスFCのスタジアムを訪れ、日本での広報活動についてのアイデアをプレゼンします。著者の情熱が現場の伝わり、結果的に広報部門のトップに紹介され、広報担当者として採用されることに成功しました。
サントスFCへの日本語での貢献という突破口から、圧倒的な行動力で著者はチャンスをものにし、わずか11ヶ月でネイマールと直接話す機会を得るのです。
恩師の小松先生の授業のコンセプトは、「自分の目で見、自分の心で感じ、自分の頭で考える」というものでしたが、著者はブラジルでの交流を通じて、この教えを体現している強靭な生き方をする人々に出会う経験を重ねました。
この出会いは、直接的な観察、深い感情的な理解、そして独立した思考を通じて、自分自身の経験を積み重ねることの価値を実際に示しています。その上で、著者は生きる力を「自分の目で見て、想像力と機転を働かせ、行動を起こす」ことと定義します。観察と機転、胆力と行動力があれば、自分の夢を実現できるのです。
自分の直感を信じることはとても重要です。直感とは過去の経験と知識から生み出されるもので、この力を信じ、行動することで運が良くなると私は信じています。
過去の経験から学んだことや知識が、無意識の中で結びつき、それが直感として現れるのです。そのため、直感は私たちが持つ貴重な情報源であり、自己の内なる声とも言えます。
私たちの意識が及ばない世界からのメッセージやインスピレーションが直感として現れることもあるのです。 直感を信じて行動することは、自己の内なる声や直感に従うことで、自分自身を大切にすることにもつながります。他人の考えや一般的な価値観に従うよりも、自分の直感を信じることで、本当にやりたいことを実現し、自分を満足させることができるのです。
自分自身を客観視し、自己成長を図ることで、より良い選択をすることができます。他人の意見や影響に左右されず、自分自身の考えや価値観に基づいて判断をすることが重要です。自分自身の目標や夢に向かって進むためには、自己理解と自己成長が欠かせません。自分自身の人生を切り拓くために、自分自身を見つめ直し、自己を理解する努力を怠らず、自分自身の目標に向かって行動することが求められます。
大学時代に学んだ恩師のアドバイス通り、自分だけのユニークな時間を生きることで、人生は格段にエキサイティングにできます。他人とは異なるペースで生きるという選択が、実は人生を豊かにし、より多くの可能性を開く鍵となるのです。
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