会社の問題発見、課題設定、問題解決
永井恒男, 齋藤健太
クロスメディア・パブリッシング（インプレス）
会社の問題発見、課題設定、問題解決 （永井恒男, 齋藤健太）の要約
ビジョンとデータ経営の組み合わせにより、チームのモチベーション向上と同時に業績向上が可能になります。データの可視化がPDCAサイクルの効率を高め、精度と速度の面で大きな改善をもたらし、これが最終的に「理想の姿」の実現につながります。
ビジョンとデータを結びつける経営が重要な理由
データがあなたの会社の経営と結びついたとき、理想の将来像が「現実」のものになっているはずです。（永井恒男, 齋藤健太）
ビジョン経営のコンサルタントの永井恒男氏とデータ分析のスペシャリストの齋藤健太氏は、現代の経営において、理想のビジョンの提示と実現に向けた具体的な分析と計画の策定が不足していると述べています。彼らによると、ビジョンを描くことに注力する人は、実行計画の策定を軽視しやすく、逆に分析や計画を得意とする人は、ビジョンの設定をおろそかにしがちだと言います。
著者らは、効果的な経営を行う上で、ビジョン設定とアクションプラン策定のバランスが重要であることを強調しています。経営者やビジョンを策定する担当者にとって、ビジョンの設定とそれを実現するための分析と計画の両方に重点を置くことの大切さを教える彼らの書籍は、大いに役立つ内容であると言えます。
ビジョンの提示と具体的な実行計画の策定は、相互に補完し合うものであり、経営課題の解決に向けた総合的なアプローチを提供します。この本は、理想と現実の橋渡しを目指す経営者や戦略担当者に対し、目標を設定し、それを達成するための実践的な手法と戦略の重要性を伝えています。ビジョンと実行の統合により、企業の成長や課題解決への明確な道のりが示されます。
ロジカルシンキングで「理想の姿」と「現状の不満」のギャップである問題の根本原因を洗い出していき、理想の姿を実現させるために何が必要となってくるのかをイメージしていきます。ロジックツリーを作って問題全体の構造が見えてきたら、何がもっとも重要な問題なのかを仮決定しします。これを「仮説思考」と言います。
理想の姿と現状の不満のギャップを明確にすることは、問題解決において非常に重要です。理想の姿を実現するためには、まず問題の根本原因を特定し、それに対する具体的な解決策を考える必要があります。
この過程で、ロジックツリーを使用することで、問題の構造を整理し、複雑な状況を整理することができます。 ロジックツリーを作成する際には、問題を細かく分解し、原因と結果の関係性を明確にします。それによって、問題の本質を見極めることができ、解決策を導き出す際にも効果的です。
また、仮説思考を行うことで、問題の中でも特に重要な部分にフォーカスし、効率的に解決策を導くことが可能となります。 最終的には、ロジカルシンキングを通じて、問題の根本原因を洗い出し、理想の姿を実現するために必要な具体的なアクションを検討していきます。このプロセスを通じて、客観的な視点から問題にアプローチし、効果的な解決策を見つけることができるでしょう。
ビジョンアプローチとギャップアプローチの両方でPDCAを回そう！
理想の姿を実現するためにPDCAを回していく上で、ビジョンアプローチとギャップアプローチを組み合わせていくことが重要です。
理想の姿を実現するためにPDCAを回していく上で、ビジョンアプローチとギャップアプローチを組み合わせていくことが重要です。
ビジョンアプローチでは、組織が理想とする将来像を具体的に描き、その実現に向けて組織構成員が主体的かつ積極的に取り組みます。この将来像には、多くのステークホルダーの望む理想的な状態が反映され、通常5～10年先の姿を詳細に設定します。
一方、ギャップアプローチは短期目標はこのビジョンを実現するために逆算して設定されます。 短期目標は財務や定量的な指標によって表現されることが多く、合意形成が容易で達成状況も判断しやすい利点があります。
しかし、ギャップアプローチのみに依存すると、目標達成後の満足感が薄れ、長期的なモチベーションの向上や充実感に欠けることがあります。また、過去の成績に基づいて設定された目標は、達成に向けたストレスや焦燥感を伴い、常に不足分に焦点が当てられがちです。
この両者を組み合わせることで、現状の課題を克服しながら、理想の姿に向かって着実に進んでいくことが可能となります。PDCAを効果的に活用するためには、ビジョンとギャップを常に意識し、適切なタイミングでPDCAサイクルを回していくようにしましょう。
組織全体がこの考え方を共有し、PDCAを通じて継続的な改善を行うことで、目標達成に向けた道筋を明確にすることができます。PDCAを回すことで、理想の姿に近づきながら、組織の成長と発展を促進していきましょう。
施策の成果を把握し計画の進行状況を確認するためにデータ分析は欠かせませんが、データだけに注目しすぎると、実際のマネジメントや人間関係の重要性を見落とすリスクがあります。効果的な管理とは、データに基づく定量的な分析を行いつつ、同時に人間性や未来に向けたビジョンを追求することです。
データ分析を適切に活用しつつも、その背後にある人間の行動や感情、人間関係を理解し、未来指向で進むことが重要です。データは過去の行動を示しており、未来の計画には人の柔軟性や創造性が求められます。 意思決定過程でデータを活用する際には、数字の背後にあるストーリーや人間関係に注意を払い、データと人間のバランスを考慮する必要があります。
データは意思決定を支援するツールであり、その適用にはバランスが求められます。 持続可能な成果を生み出すためには、データ分析と人間性を組み合わせたアプローチが必要です。理想の未来を目指す上で、データと人間の相互作用に注目し、両方を大切にすることが成功への鍵となります。
ビジョンとデータ経営の組み合わせにより、チームのモチベーション向上と同時に業績向上が可能になります。データの可視化がPDCAサイクルの効率を高め、精度と速度の面で大きな改善をもたらし、これが最終的に「理想の姿」の実現につながります。
|
関連記事
パーパス・ドリブンな組織のつくり方 発見・共鳴・実装で会社を変える（永井恒男,後藤照典）の書評
問題解決 ― あらゆる課題を突破する ビジネスパーソン必須の仕事術（高田貴久, 岩澤智之）の書評
お客を捨てる勇気（中谷喜孝）の書評
価格支配力とマーケティング（菅野 誠二 , 千葉 尚志）の書評
フレームワークを使いこなすための５０問―なぜ経営戦略は機能しないのか？ （牧田幸裕）の書評
プレイフル・シンキング: 働く人と場を楽しくする思考法 （上田信行）の書評
ストーリーテリングが経営者に不可欠な理由。トニー・ファデルのＢＵＩＬＤの書評
トヨタは「鉄」、MINIは「楽しみ」を売っている: もったいない! 日本企業が気づいていない経営と戦略問題（フォーリー・マーク）の書評
マスター・オブ・スケール 世界を制したリーダーが初めて明かす 事業拡大の最強ルール（リード・ホフマン, ジューン・コーエン）の書評
グローバル メガトレンド10（岸本義之）の書評
イノベーションを起こすための３つのつながりとは？イノベーションは日々の仕事のなかにの書評
優秀な人材を採用するための究極の質問。TALENT——「人材」を見極める科学的なアプローチの書評
コメント