カスケードダウン――人と組織が自ら動く経営戦略の浸透策 (石原正博)の書評

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カスケードダウン――人と組織が自ら動く経営戦略の浸透策
石原正博
ダイヤモンド社

カスケードダウン(石原正博)の要約

カスケードダウンを通じて、経営が掲げる経営戦略を深く理解し、それを基に具体的な課題を設定することで、日常業務を会社の目標達成に直結させることが可能になります。組織内での目標の浸透や達成を実現するためには、経営層から従業員までが一丸となっての取り組みが必要とされます。

カスケードダウンとは何か?

ビジネスにおけるカスケードダウンでは、組織の上位層から下位層まで、全社の経営戦略を浸透させ、個々の社員の職責や業務の範囲までタスクを細分化して、滝が流れるように伝えていきます。同時に本書で紹介するカスケードダウンは、経営戦略の実現に不可欠な組織の連携力を、「組織間の横のつながり」の構築によって強化していきます。(石原正博)

ビジネスにおけるカスケードダウンは、組織内での情報や目標の伝達を効果的に行う重要なプロセスです。この手法では、経営戦略や目標が組織の上位層から下位層まで順次伝えられ、個々の社員が自身の職責や業務範囲を理解しやすくなります。組織全体が一つの目標に向かって協力し、滝のように情報や責任が流れるようになるのです。

カスケードダウンを通じて、組織内の連携力や協力関係が強化されます。上位層から下位層への情報伝達が円滑に行われることで、組織全体が目標達成に向けて一丸となります。この連携力は、組織内の様々な部門やチームが協力し合い、組織全体としての力を発揮するために不可欠です。

さらに、カスケードダウンを通じて構築される「組織間の横のつながり」は、情報共有や意思疎通を円滑に行うための基盤となります。部門間や階層間の連携が強化されることで、組織内での課題解決や効率的な業務遂行が可能となります。組織の中での連携や協力関係が強化されることで、経営戦略の実現に向けた効果的な取り組みが実現されるのです。

カスケードダウンでは、経営戦略をストーリーとして組織全体に伝えることが重要です。経営陣だけでなく、社員全員が同じストーリーを共有し、語ることで、課題や目標が明確になります。これにより、経営層と現場、異なる部門間のコミュニケーションがスムーズになります。

カスケードダウンはまた、経営戦略を具体化する役割も果たします。経営戦略が抽象的であると、社員には具体性が欠けていると感じられ、戦略の浸透が難しくなるためです。その解決策として、経営戦略を具体的な行動に落とし込むことが重要です。

たとえば、目標管理を用いて経営戦略を具体化し、社員に明確な方向性を示すことができます。これにより、組織全体が統一された目標に向かって効果的に活動することが可能となります。このようなアプローチは、組織の一体感を高め、全員が一丸となって目標達成を目指す助けとなります。

カスケードダウンの3つのステップ

カスケードダウンでは、「人(=社員)が中心の経営」という考え方をとります。経営の中心に社員を置くというのは、経営トップと同じように、社員も経営戦略=「目的」を理解し、目的実現のために自分がとるべき「手段」を自分の頭で考えることを意味しています。

カスケードダウンは、抽象的な経営戦略を「細分化」というプロセスを通じて、現実的で具体的な行動計画に変換する方法です。

このアプローチでは、「人(=社員)が中心の経営」を重視し、社員一人ひとりが経営戦略を自分事として理解し、目標実現のための手段を自ら考えることを促します。このように当事者意識を持った社員は、日々の業務を会社の成長に直結する活動に変えることができ、経営者が望む結果を生み出す力になります。

カスケードダウンのプロセスでは、経営戦略を組織の上層から下層へと具体的に展開していきます。この過程で「横のすり合わせ」を取り入れることによって、部門や社員間で目的を共有し、互いに協力しながら戦略を細かく落とし込むことが可能になります。これは組織内の協調を促進し、無駄な競争や調整を減らすことに繋がります。また、困難な状況が生じた時には互いに助け合う風土が育ちます。

カスケードダウンによる戦略的な細分化は、5つの利点をもたらします。
①経営戦略が実行につながる。
②提案された手段が具体的に機能する。
③組織が一体となり活性化する。
④社員が自ら主体的に学び成長する。
⑤無駄な取り組みが排除される。

カスケードダウンを通じて、経営が掲げる経営戦略を深く理解し、それを基に具体的な課題を設定することで、日常業務を会社の目標達成に直結させることが可能になります。組織内での目標の浸透や達成を実現するためには、経営層から従業員までが一丸となっての取り組みが必要とされます。

しかし、時に目的を見失い、部分的な最適化の視点で課題設定を行ってしまうことがあります。誤った課題設定を避けるためには、目的に立ち返り、全体最適の視点から取り組むべき課題の選択と集中が求められます。

経営戦略の実現のための3つのステップ
①変革の火をおこす
組織内で変革の意識を高め、動機付けを行います。

②経営戦略を理解する
経営層が掲げる戦略の意図と目的を全員が理解します。

③経営戦略を細分化する
戦略を具体的な行動計画に落とし込みます。

この過程を経て、経営戦略は実行に移され、組織全体が目標に向かって努力します。カスケードダウンを効果的に利用して、経営戦略の目的を具体的な行動に変換することで、各個人の取り組みが全体の成果に結びつくような仕組みを構築することが、戦略成功の鍵となります。このアプローチにより、組織内での協調が促進され、目標達成への道が一層明確になるのです。


 

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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