ロバート・I・サットンに学ぶクソ野郎を組織から撲滅する方法

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チーム内の低劣人間をデリートせよ ——クソ野郎撲滅法
ロバート・I・サットン
パンローリング株式会社

チーム内の低劣人間をデリートせよ(ロバート・I・サットン)の要約

問題行動を取る人物(クソ野郎)の存在が、組織の成長を阻害し、全体に悪影響を及ぼす可能性があります。これに対処するには、個人の判断と組織の方針を調和させることが重要です。彼らを排除する際には、性急な判断は避け、観察と改善の機会を与えつつ、必要に応じて毅然とした態度で臨むことが求められます。

組織に損害を与えるクソ野郎とは?

クソ野郎が組織に与える損害は、離職率や常習欠勤の増加、仕事に対する意欲の低下のほかにも、心理的虐待、いじめ、集団攻撃についての研究で実証された、やる気のない個々の社員のパフォーマンスにも反映されている。(ロバート・I・サットン)

本書は、組織やチームの健全性と成功に焦点を当てた斬新な視点を提供しています。スタンフォード大学教授のロバート・I・サットンは、チームの調和や効率を著しく損なう人たちを「クソ野郎」と表現し、彼らを排除することの重要性を説いています。(本書の関連記事

サットンは、実際の組織やチームでの事例を豊富に取り上げながら、読者に具体的な戦略とアドバイスを提示しています。一見過激に思える「クソ野郎」という表現の背後には、チームの生産性とモチベーションを向上させるという真摯な意図が込められています。

著者は、こうした有害な存在がチーム全体に及ぼす悪影響を詳細に分析しています。そして、それらを排除することで、チームのパフォーマンスが飛躍的に向上する可能性を示しています。本書は、単に問題人物を非難するだけでなく、建設的な解決策を提案することで、読者に実践的な指針を与えています。

エイミー・エドモンドソンによるハーバード大学医学大学院での調査は、チームの心理的安全性と業績の関連性について興味深い洞察を提供しています。当初、エドモンドソンは優秀なチームほど多くのミスを報告するという予想外の結果に戸惑いを覚えました。

しかし、詳細な分析を進めるうちに、この現象の背後にある重要な要因が明らかになりました。 優れたリーダーシップのもとで働く看護師たちは、ミスを報告することに対して心理的な安心感を持っていたのです。彼らにとって、ミスの報告は日常的な業務の一部であり、患者の安全を守るための重要な行動でした。このような環境では、ミスを隠すことよりも、オープンに共有し、改善につなげることが奨励されていたのです。

一方、ミスの報告が少ないチームでは、全く異なる状況が存在していました。そこではクソ野郎が支配する恐怖の文化が蔓延していました。ミスを報告することが自身のキャリアや評価にネガティブな影響を与えるのではないかという不安が支配的でした。この対比は、職場環境がいかに個人の行動や組織の健全性に影響を与えるかを鮮明に示しています。クソ野郎がミスを報告することを躊躇させることで、医療事故を増やしていたのです。

また、バージニア大学のロブ・クロスらの研究は、職場における人間関係の質がパフォーマンス評価に大きな影響を与えることを明らかにしました。特に注目すべきは、他者にポジティブなエネルギーを与える人物が高い評価を得る傾向にあるという点です。この発見は、個人の技術的スキルだけでなく、対人関係のスキルも職場での成功に不可欠であることを示唆しています。 

さらに、この研究は、他者のモチベーションを低下させる行動が、自身の評価にも悪影響を及ぼすことを明らかにしました。これは、職場での人間関係の重要性を再認識させる結果となっています。

バスケットボールのインディアナ・フージャーズの有名コーチだったボブ・ナイトの解雇事例は、たとえ実績や人気があっても、クソ野郎としての不適切な言動や行動が、最終的にはキャリアを台無しにする可能性があることを示しています。この事例は、技術的な能力だけでなく、倫理的な行動や適切な人間関係の構築も、長期的な成功には不可欠であることを教えています。

確かに、時として攻撃的や非倫理的な行動が短期的な利益をもたらすことはあります。しかし、長期的に見れば、このような行動は個人のパフォーマンスや評判を損なう結果となります。重要なのは、これらの「クソ的行為」が成功の要因ではなく、むしろ成功の妨げになっているという点です。

これらの研究や事例は、職場環境の質、リーダーシップのスタイル、そして個人の行動が組織の成功に大きな影響を与えることを示しています。心理的安全性の高い環境を作り出し、ポジティブな人間関係を育むことが、個人と組織の両方にとって長期的な成功につながるのです。このような洞察は、より健全で生産的な職場文化を構築するための貴重な指針となるのです。

優秀なクソ野郎が企業の成長を阻害する?

組織内の「クソ野郎」や不適切な行動をとる個人が及ぼす影響は、単なる人間関係の問題を超えて、企業の経済的パフォーマンスにまで及ぶことが明らかになっています。

組織内の「クソ野郎」や不適切な行動をとる個人が及ぼす影響は、単なる人間関係の問題を超えて、企業の経済的パフォーマンスにまで及ぶことが明らかになっています。ベネット・テッパーの調査結果が示すように、不快な上司の存在は従業員の組織への献身度を著しく低下させます。さらに、不当な扱いや仕事への不満は、従業員の自発的な努力を抑制し、組織全体の生産性に悪影響を与えます。

一方で、組織からの支援や職務満足度が高い場合、状況は劇的に改善されます。これは、職場環境の質が従業員のモチベーションと生産性に直接的な影響を与えることを示しています。

しかし、組織が敬意ある行動を奨励しながら、実際には反対の行動を容認している場合、その影響は単に無効であるだけでなく、むしろ有害です。このような矛盾した姿勢は、組織やリーダーシップの信頼性を損ない、従業員の間に冷笑や侮蔑を生み出す原因となります。

サウスウエスト航空会社の例は、明確な価値観と一貫した行動の重要性を示しています。同社は、単に明らかな悪行を行う者だけでなく、会社の文化に合わない冷淡で無愛想な従業員も排除する姿勢を貫いています。この一貫した態度が、同社の企業文化に良い影響を与え、従業員と顧客の双方から高い評価を得ることにつながっています。

世界屈指のデザイン・コンサルタント会社アイディオもまた、卑劣漢や傲慢な人物を積極的にふるいにかけている。新入社員の多くは、この会社でインターンとして働き、自分がクソ野郎でないことを現場で証明してからでないと入社を許されない。そしてアイディオで働いた経験がない者については、時間をかけてその資質を見極めていく。

アイディオの事例も、組織文化の重要性を強調しています。新入社員の選考過程で、技術的スキルだけでなく、会社の価値観との適合性も厳しく評価しています。これにより、長期的には健全で生産的な職場環境を維持することができます。

メンズ・ウェアハウス社の事例は、理念を実践に移すことの重要性を示しています。同社は、個人の売上実績よりもチームワークと顧客満足度を重視する姿勢を明確に示しています。高業績の従業員であっても、会社の価値観に反する行動をとる場合は解雇するという決断は、組織の理念に対する真摯な姿勢を表しています。

興味深いことに、この「問題社員」の解雇後、店舗全体の利益が30%近く増加したという事実は、個人の短期的な高業績が必ずしも組織全体の長期的な成功につながるわけではないことを示しています。この事例は、一見生産的に見える「クソ野郎」が、実際には組織全体の競争力を低下させ、顧客満足度を損なっていた可能性を示唆しています。

これらの事例から学べることは、組織の健全性と成功には、明確な価値観の設定とその一貫した実践が不可欠だということです。短期的な利益や個人の業績に惑わされることなく、長期的な視点で組織文化を育成することが、持続可能な成功につながります。

また、「クソ野郎」や不適切な行動を取る個人に対しては、毅然とした態度で対処することが、組織全体の健全性と生産性の向上に寄与することが示されています。 このような取り組みは、単に職場環境を改善するだけでなく、顧客満足度の向上や経済的パフォーマンスの改善にもつながる可能性があります。

組織は、短期的な成果と長期的な健全性のバランスを慎重に検討し、全体的な組織文化の向上に注力することで、持続可能な成功を達成できるでしょう。

クソ野郎の管理を効果的に行う方法

組織内に軽視や侮辱が広まるのを阻止し、街で最悪の事態が起こるのを防いでいることを考えれば、クソ野郎撲滅法はいずれの組織にも有効なのだ。

組織内でクソ野郎をのさばらせると、組織文化が悪化し、深刻な結果をもたらします。優秀な社員が次々と退職し、いつの間にか業績が低下してしまうのです。このような事態を防ぐためには、クソ野郎の管理を効果的に行う必要があります。

まず、「クソ野郎」というレッテルを安易に貼らないことが重要です。一時的な感情や限られた交流だけで人を判断するのは避けましょう。誰にも調子の悪い日はあり、それがその人の本質とは限りません。時間をかけて相手の真の性質を見極める姿勢が大切です。

著者が「黄金のハートを持つヤマアラシ」と呼ぶ人々の存在も忘れてはいけません。外見や初期の印象は必ずしも内面を反映していません。不愛想に見える人でも、実は心の広い人物である可能性があります。様々な状況下での行動を観察し、特に自分より立場の弱い人々に対する態度を注意深く見ることが重要です。

「クソ野郎」に対する固定観念を打破するために、共通の目標に向けて協力する機会を設けることも効果的です。この方法は、民族や人種に対する偏見を減らすためにも使われていますが、特定の職業や性格タイプに対する先入観を変えるのにも応用できます。

しかし、十分な観察と機会を与えた後でも、その人物が本当にクソ野郎であると確信できる場合もあります。そのような場合、組織としての対応が必要となります。

サウスウエスト航空の例のように、顧客であっても許容できない行動をとる者は排除する勇気が必要です。これは短期的には顧客を失うリスクがありますが、長期的には健全な組織文化を維持し、従業員と他の顧客の満足度を高めることにつながります。

インテル社の「まず反対してから対処しろ」というアプローチも参考になります。これは、決定が下される前に十分な議論を行い、すべての情報が出揃うまで最終判断を保留するという姿勢です。この方法により、後になって問題が発生するリスクを減らし、より健全な意思決定プロセスを確立することができます。

ミシガン大学のカール・ワイクの助言、「自分が正しいという前提で戦うこと。そして自分が間違っているという前提で耳を傾けること」も重要です。この態度は、自信を持って自分の意見を主張しつつも、他者の視点を尊重し、学ぶ姿勢を保つことの大切さを示しています。

最後に、組織全体でクソ野郎撲滅に取り組むことが重要です。これは単に従業員だけでなく、顧客、クライアント、学生など、組織に関わるすべての人々に適用されるべきルールです。

慢性的な嫌がらせや不適切な行動は、組織全体に悪影響を及ぼし、侮辱的な文化を生み出す可能性があるからです。 効果的なクソ野郎管理は、個人の判断力と組織の方針が調和することで達成されます。安易な判断を避け、十分な観察と機会を与えつつ、必要な場合には毅然とした態度で対処することが、健全な組織文化を築く鍵となります。

このような取り組みにより、優秀な人材の流出を防ぎ、組織の業績向上につながる環境を作ることができるのです。

本書は、学者が書いた単なる理論書ではなく、組織を変える実践的な書籍として、多くの組織やチームの改善に寄与する可能性を秘めています。刺激的なタイトルとは裏腹に、深い洞察と実用的な提案に満ちた一冊に仕上がっています。著者のメッセージを通じて、読者は自身の職場環境を客観的に見つめ直し、より効果的で調和のとれたチーム作りへのインスピレーションを得ることができます。

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