リセット Google流最高の自分を引き出す5つの方法 (ゴーピ・カライル)の書評

silhouette photo of woman standing while facing body of water

リセット Google流最高の自分を引き出す5つの方法
ゴーピ・カライル
あさ出版

リセット Google流最高の自分を引き出す5つの方法の要約

目まぐるしい変化に対応するには、外的なテクノロジーだけでなく、内なるテクノロジー(インナーネット)に耳を傾け、バランスを取ることが重要です。余白や内省の時間を持つことで、インナーネットをアップデートし、未来の可能性を広げられます。自分との対話の時間を積極的に作るようにしましょう。

インターネットに意識を向けよう!

私たちが扱うテクノロジーの中で最も重要なものは私たち自身の中にある、ということだ。 「インナーネット(inner-net)」、すなわち、脳と体、心、呼吸、意識の集合体である。 これらは一人ひとりに備わっているものなので、どこにでも持ち歩ける優れものだ。 このテクノロジーが最高のパフォーマンスを発揮できるようにするには、心を落ち着け、心身を回復させ、エネルギーを充電する時間が必要だ。(ゴーピ・カライル)

ゴーピ・カライルは、マインドフルネスと瞑想を職場に導入し、Googleの社内研修プログラムを通じて大きな成果を上げている人物として知られています。彼のアプローチは単なる精神的な健康法を超え、現代のテクノロジーと人間の内なる働きを統合するという独自の視点に基づいています。

彼は、外的なテクノロジー(Outer)と内的なテクノロジー(Inner)を結びつけ、私たちがより充実した人生を送るための知恵を提供しています。その中心に位置しているのが「マインドフルネス」と「瞑想」です。

カライルは、南インドの小さな村で育ち、その地域のスピリチュアルな伝統と価値観に深く根ざしています。彼がマインドフルネスと瞑想に強い信念を持っているのは、このスピリチュアルな背景によるもので、これらの実践は彼の人生において自然な一部として取り入れられています。

 瞑想は、物理的な世界の現実から離れ、思考や意識の深い層へと導かれる方法です。それは単にリラックスするための手段ではなく、自己や神の本質に近づくためのものであり、人々の精神的な成長や内面的な充実に不可欠な役割を果たしています。

カライルにとって、瞑想は単なる習慣ではなく、インドの文化に根付いた一種の「生き方」であり、その効果を自らの人生を通じて実感しています。

彼は、Googleのようなハイテク企業で働く一方で、こうしたインドの伝統的な知恵を職場に持ち込み、現代社会の働き方や人間関係に新たな視点を提供しています。特に、常にデジタルで接続されている現代において、外的なテクノロジーと内なるテクノロジーをバランスよく統合することが、より豊かで満足のいく人生を築くための鍵であると彼は主張します。

現代社会では、私たちはテクノロジーに囲まれ、デジタル世界と常につながっている状態です。しかし、カライルはその中で、自分自身の内なる働きに耳を傾け、心の「インナーネット」に接続することの重要性を強調しています。

外側のテクノロジーだけに頼るのではなく、内側のテクノロジー、すなわち私たちの心、意識、精神を高めることが、これからの時代を生き抜くためには不可欠だという考えです。

マインドフルネスとは、日常生活において「いま」「ここ」に意識を集中させ、自分の行動や体験に全身全霊を注ぐための重要な技術です。それは単なるリラクゼーションやストレス解消を目的とするだけではなく、私たちの全体的なパフォーマンスを向上させるための強力なツールでもあります。この実践を通じて、心と身体、そして意識のバランスを保つことで、人生の質を向上させることができるのです。

カライルは、日常の忙しさの中でも、たった1分を「自分自身」に捧げることの重要性を強調しています。1日は1440分ありますが、そのうちの1分を心や身体、意識に向けることで、残りの1439分をより意識的に過ごすことができるようになるのです。

著者は老子の言葉の「千里の行も足下に始まる」を引用し、1分の重要性を私たちに伝えています。どんなに壮大な目標も、第一歩を踏み出すことでしか達成できないという老子の教えは、瞑想の実践にも通じています。

たとえ瞑想を極め、ブッダのような悟りの境地を目指すとしても、すべては最初の一呼吸から始まるのです。カライルが強調するのは、こうした地道な積み重ねがいかに重要かという点であり、これはブッダ自身も実践していたことなのです。

このマインドフルネス瞑想を、カライルは自転車レースに例えています。体力をつけるために身体を鍛えるのと同様に、瞑想を通じて精神を鍛えることができると彼は語ります。

瞑想は単なるリラックスのための行為ではなく、私たちの感情的な知性や認知機能、さらには集中力を高め、思考の明晰さを向上させるための効果的な手段です。これは、日々の生活やビジネス、さらには個人の成長にも大きな影響を与えます。

人生の可能性を広げる方法

ちょっとした思いつきが、将来、大きな成果を結ぶこともある。 大切なのは、見逃さないことだ。そして、ドアを見つけたらノックすることだ。 ノックさえすれば、可能性のドアは開くのである。

著者ゴーピ・カライルが語る成功の鍵は、「ちょっとした思いつきを見逃さず、その思いつきに従い、ドアをノックすること」にあります。人生には思いがけないチャンスが隠されており、どんなに小さなアイデアであっても、それが将来大きな成果に結びつく可能性があるのです。

そのため、何よりも重要なのは、これらのアイデアや直感に対して目を開き、敏感に反応することだと彼は強調しています。そして、ドアを見つけたらノックする勇気を持つこと。このシンプルな行動こそが、成功への扉を開くカギとなるのです。

カライル自身、その原則を実践することで多くの成功を手に入れてきました。彼が人生で繰り返し体験してきたのは、偶然の出会いや突発的な思いつきが、後に大きな転機となり、時には歴史的な偉業に繋がるという現象です。例えば、ダライ・ラマとの出会いは、偶然のきっかけで実現したものであり、当初は単なる一つの出来事に過ぎなかったかもしれません。しかし、彼はそのチャンスを逃さず、その出会いをきっかけにさらなる学びと成長を得ることができたのです。

カライルのこの姿勢は、現代のビジネスリーダーやクリエイティブなプロフェッショナルにとって、非常に重要な教訓を提供しています。特に、失敗や不確実性を恐れずにアイデアに挑戦し続けることが、成功のためには不可欠であるというメッセージです。

彼は、アイデアがすぐに形にならなくても、そのアイデアが将来的にどのような形で実現するかは分からないという考えを持っています。だからこそ、思いつきを大切にし、その背後にある可能性を見逃さないことが、長期的な成功に繋がるのです。

著者の体験は、決して特別な才能や運だけに支えられたものではなく、日々の小さな努力と意識的な行動に基づいています。彼は、どんなに小さなチャンスでも、それに気づき、ノックし続けることで可能性の扉が開かれると信じているのです。この姿勢は、ビジネスや個人の成長においても非常に重要な教訓となり、私たち一人ひとりにとっても「ちょっとした思いつき」が未来を大きく変える可能性があるというメッセージを投げかけています。

人は自分が追い求めている目標を既に達成した人とめぐり会うことで、心の中の何かが変化するということだ。それは無意識のレベル、しかもほとんど神秘的なレベルにあるもので、目標に向かって進むようにあなたを駆り立てる。

人生の目標達成において、ロールモデルの存在が持つ力は計り知れません。自分が目指す姿を体現している人物と出会うことで、私たちの内面に不思議な変化が起こります。それは意識の及ばない深いレベルで生じる変容であり、まるで魔法のように私たちを目標に向かって突き動かすのです。

この現象を端的に表す例として、陸上競技における「4分の壁」の突破があります。1940年代まで、1マイル(約1.6km)を4分以内で走ることは人間の能力を超えるとされていました。しかし1954年、ロジャー・バニスターがこの常識を覆し、人類初の4分切りを達成しました。驚くべきことに、同じ年にバニスター以外にも31人もの選手が4分の壁を突破し、翌年にはその数が300人を超えたのです。

この出来事は、私たちが「限界」と呼んでいるものが、実は自分自身の中に作り出した幻想に過ぎないことを示唆しています。世界が絶え間なく進歩し、様々な記録が更新され続けている事実が、超えられない限界など存在しないことの証明となっています。

私たちに限界を突破する力があることを身をもって示す存在として、84歳の修道女でありながらトライアスロン選手としても活躍するシスター・マドンナの例があります。彼女の姿は、人生の師は思いもよらないところから現れることを教えてくれます。必ずしも自分と全く同じ目標を達成した人でなくても、その人から学べる要素があれば、それがロールモデルとなり得るのです。

やりたいと思ったこと、挑戦してみたいと感じたことには、積極的に取り組むべきです。たとえ自分には無理だと思えることでも、その世界に飛び込んでみることが大切です。何かを探求することは人生の重要な要素であり、その過程でロールモデルを見出すことができます。

時には、予想外の場所で理想の姿に出会えるかもしれません。 目標に向かって一歩を踏み出したものの、すぐに挫折しそうになったとき、自分なりの「シスター・マドンナ」の存在を思い出すことが助けになります。私たち一人一人の中に、限界を超える可能性が秘められているのです。

私自身も著者になる、上場する、大学教授になるという目標を実現してきましたが、周りにロールモデルをおいたことで実現できました。特に出版する際には周りの著者にヒアリングをし、やるべきことを明らかにし、それをコツコツコツと続けた結果、本を出すことができました。ロールモデルの思考や行動を真似ることは、本当に効果があります。

その際、情報のアンテナを立てると欲しい情報や会いたい人とのご縁をつなげるようなります。

自ら情報に敏感になり、取りに行くようになると、不思議なことにどんどん情報が入ってくるようになる。

自ら情報に敏感になり、積極的にアクセスすることは、人生を豊かにする強力なツールとなります。興味のあるもの、好きなものに対してアンテナを張り、どんどんアクセスすることで、私たちの人生はより彩り豊かなものとなっていくでしょう。

そして、その先には常に新しい世界が広がっているのです。この姿勢を持ち続けることで、私たちは生涯にわたって学び、成長し続けることができるのです。スティーブ・ジョブズの言うところのコネクティング・ドットをつくるために、情報のアンテナを立て、積極的に行動するようにしましょう。

心の余白が人生において重要な理由

人は余裕があると、落ち着いて考え、動くことができる。心や脳に常に空きスペースを作っておくことができれば、 常に自分らしくいられるのである。

「心の余白」が創造性と自己実現を育む – 現代社会における静寂の重要性 現代社会は、絶え間ない情報の流れと慌ただしい日常に満ちています。スマートフォンの通知音、締め切りに追われる仕事、SNSの更新 – これらが私たちの注意を常に引き付け、心の静寂を奪っています。

しかし、真の創造性や生産性、そして何より自分らしさを発揮するためには、心と脳に余裕を持つことが不可欠です。この「心の余白」こそが、私たちに落ち着いて考え、行動する力を与えてくれるのです。 自然の静けさには、私たちの心を癒し、エネルギーを補給するための特別な場所があります。

都市の喧騒から離れた山中の一軒家、波の音だけが聞こえる海辺、あるいは緑に囲まれた森の中 – これらの場所は、日常のストレスや騒音から離れ、自分自身と向き合うための貴重な空間を提供してくれます。そこでは、私たちの意識が普段とは異なるフェーズに移行し、人生において本当に重要なものと、そうでないものを見極める機会を得ることができます。

先週末、私は阿蘇の大自然の中のAwe体験によって、自分を取り戻してきました。内省する時間、自分との対話の時間を持つことで、リフレッシュできました。定期的に自然とのふれあいの時間を持つことで、自分らしく生きられるようになります。自分のことを知ることで、未来が開けるようになります。

Awe体験は、心にゆとりをもたらします。日々のストレスや焦りから解放され、落ち着いて物事を考える余裕が生まれます。この心の余白こそが、創造性を育み、新しいアイデアを生み出す源となるのです。

さらに、Awe体験は私たちの人生満足度を向上させます。日常の中に驚きや感動を見出す能力が養われ、些細な喜びにも気づけるようになります。これにより、毎日がより豊かで意味深いものに感じられるようになります。

著名な人々も、このような「デジタルデトックス」や「思考の時間」の重要性を認識しています。例えば、Microsoftの共同創業者であるビル・ゲイツは、「シンク・ウィーク」を実践しています。

これは、通常の業務から完全に離れ、深い思考や創造的な活動に専念する時間を年に数回設けるという取り組みです。ゲイツは、この期間に新しいアイデアを生み出し、長期的な戦略を練ると言います。 しかし、このような実践は著名人だけのものではありません。

私たち一人一人にも、自分たちの祖先のように静寂と内省の空間が重要です。それは必ずしも遠くの大自然である必要はありません。都会の中の静かな公園かもしれませんし、自宅のある一室かもしれません。要は、日常の喧騒から離れ、心と脳をリフレッシュできる場所を見つけることが大切なのです。

このような「心の余白」の中で、人類の長い歴史を振り返り、そして未だ見ぬ未来に思いを巡らせることで、私たちは日常の些細な問題から距離を置き、より大きな視点で自分の人生や目標を見つめ直すことができます。数億年の地球の歴史や、数千年の人類の歩みを考えると、今日のストレスや心配事がいかに小さなものに見えるでしょうか。

同時に、未来の可能性を想像することで、今の自分の行動がどのような影響を持つのかを考えることができます。 この習慣を繰り返し行うことで、驚くべき変化が起こり始めます。私たちの内なる才能や力が、静寂の中で目覚め始めるのです。日々の喧騒に埋もれていた創造性が花開き、これまで気づかなかった可能性が見えてきます。

週末の一日を「デジタルデトックスデー」とし、テクノロジーから離れて過ごすのも良いでしょう。自然の中を歩くことも、心を落ち着かせ、新しいアイデアを生み出すのに効果的です。 このような「心の余白」を作ることは、単に仕事の効率を上げるだけではありません。それは、より深い意味で自分らしく生きるための基盤となります。

常に忙しさに追われていると、自分の本当の思いや価値観を見失いがちです。しかし、定期的に立ち止まり、内なる声に耳を傾けることで、本当の自分を見出し、自分らしい人生を歩むことができるのです。 さらに、この実践は個人レベルを超えて、社会全体にも良い影響を与える可能性があります。

人生で重要な10LISTとは?

私は自分の潜在的なエネルギーを最大限に引き出す方法で、この「10のリスト」を決めた。この10の軸を日々の生活に組み込んだことで、その時々で自分にとって何が大事なのか悩んだり、無駄に迷ったりする時間が減り、集中力や達成感が増した。

著者は日々の生活の中で最も重要な10の要素を特定し、「10LIST」を作成しました。この「10LIST」は以下の要素で構成されています。
・睡眠(Sleep)
・栄養(Nutrition)
・エクササイズ(Exercise)
・瞑想(Meditation)
・愛情(Love)
・モノ(Stuff)を片づける
・仕事(Work)
・情熱(Passions)
・成長(Growth)
・コミュニティ(Community)

著者はこの「10LIST」を日々の生活に組み込むことで、様々な利点を経験したと言います。まず、優先順位が明確になったことで、日々の意思決定が容易になりました。何を選択すべきか迷う時間が減り、その結果、より多くの時間とエネルギーを重要なタスクに集中させることができるようになったのです。

さらに、これらの要素に意識的に取り組むことで、日々の生活に構造が生まれました。例えば、睡眠時間を確保し、栄養バランスの取れた食事を心がけ、定期的な運動を習慣化することで、身体的・精神的な健康が向上しました。瞑想や愛情の時間を意識的に設けることで、精神的な安定感も増しました。

仕事や情熱の追求、個人の成長に時間を割くことで、自己実現の感覚が高まりました。同時に、コミュニティとの関わりを大切にすることで、社会とのつながりも深まりました。これらの要素のバランスを取ることで、著者は人生の様々な側面で充実感を得られるようになったと述べています。

「10LIST」の実践は、著者の集中力と達成感を著しく向上させました。優先順位が明確になったことで、無駄な迷いや悩みが減り、エネルギーを効果的に使えるようになったのです。各要素に適切な時間を割くことで、生活全体のバランスが取れ、結果として生産性と幸福度が向上しました。

さらに重要なのは、この「10LIST」が著者の人生の方向性を明確にしたことです。これらの10の軸を通して、著者は自分がどのように生きていきたいのか、何を大切にしたいのかを具体的に整理することができました。それは単なる日々の時間管理を超えて、人生の羅針盤としての役割を果たすようになったのです。

「10LIST」の考え方は、私たち一人一人にも適用できる可能性があります。もちろん、個人によって優先順位や重要と考える要素は異なるかもしれません。しかし、自分にとって本当に大切なものを明確にし、それらに意識的に時間とエネルギーを割くという基本的な考え方は、多くの人にとって価値があります。

著者が提唱する「インナーネット」という考えは、私たちが外側のテクノロジーに依存するだけではなく、内側の心や意識のテクノロジーを高めることで、豊かな人生を築くことができるというメッセージを伝えています。この教えは、現代のビジネス環境において、人間らしさを取り戻し、クリエイティビティや洞察力を引き出すための重要な手がかりを提供しています。

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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