余白思考 アートとデザインのプロがビジネスで大事にしている「ロジカル」を超える技術
山崎晴太郎
日経BP
余白思考の(山崎晴太郎)の要約
時間の余白を持つことで、情報のインプットを多様化でき、他人の助けや偶然の出会いを招く機会を生み出せます。自分だけでは解決できない問題に取り組む際、他人の支援や偶然の力が大きな役割を果たすことがあります。余白を持つことで、そうした外部の力を引き寄せることが可能になります。
余白思考とは何か?
論理を積み重ねれば、たしかに 「正しい答え」にたどり着く。 でも、「心を動かす答え」には届かない。(山崎晴太郎)
アート思考とデザイン思考は、それぞれ異なるフレームを持ちますが、共通するマインドセットを有しています。この共通点は、従来のロジカルシンキング、つまり「論理的な証明に基づく解答の探求」や「前例に基づく分析」からの脱却にあります。
本書では、従来の仕事の進め方や価値創造方法に疑問を投じ、より柔軟な思考を促します。これには、「常識に囚われずに考える」、「前例に縛られず新しい道を探る」、「白と黒の間にある灰色の領域を探究する」というアプローチが含まれます。
著者はこれを「余白思考」と呼び、アート思考やデザイン思考、デザイン経営において非言語的思考の本質的な部分として重要視しています。この「余白」は、新しいアイデアや解決策を生み出すための重要な要素として提案されています。
余白を上手につくれれば、忙しくてやらなくてはいけないことがあっても、毎日を今より「ラクに」「楽しく」「前向きに」生きられるはずです。 単なる能天気さや、生まれ持った性格云々の話ではなく、これはある種の心の持ち方(=思考法)という〝技術〟の賜物です。 余白は、意図せずにできるものではありません。明確に意識をして、上手につくってはじめて価値が生まれるものなのです。
忙しいと言い訳をする前に、自分のスケジュールを見直し、カレンダーに余白を作ることはとても大切なことです。 カレンダーに余白を作ることで、新たなことにチャレンジすることができます。例えば、新しい趣味やスポーツに挑戦する時間を作ることができます。また、人との出会いをデザインすることもできます。友人との食事やイベント、新しい人との交流など、充実した人間関係を築くためにも余白は必要です。
私は出張の前後に余白をつくるようにしています。今も京都に滞在していますが、仕事のアポ時間より早めに移動することで、大好きな神社巡りを楽しんだり、美味しい料理に舌鼓をうつことができます。
余白を上手に作ることで、忙しくてやらなければならないことがあっても、毎日を今より楽しめるようになります。余白を持つことで、心に余裕が生まれ、ストレスを軽減することができます。また、新たな挑戦や人との出会いを通じて、自分自身を成長させることもできます。
ただし、余白は意図せずにできるものではありません。明確に意識をして、上手に作ることが必要です。まずは自分のスケジュールを見直し、優先順位をつけることから始めましょう。また、計画的に時間を使うことも大切です。無駄な時間を減らし、効率よく過ごすことで余白を生み出すことができます。
自分の中に余白を持つ。相手との間に余白を持つ。 この「余白思考」を持つことで、様々なことがうまく回り始めます。
心の中で常に「余白」を持つことは、外の世界や他人との関係において、適切な距離を保つことを意味します。これによって、私たちは多様なストレスやプレッシャー、悩みと向き合うことができます。
日常生活では、私たちはさまざまな人々と関わります。家族や友人、同僚、または知り合いとの交流など、様々な人間関係があります。しかし、時には他人との距離感がうまく取れず、ストレスやプレッシャーを感じることもあります。 ここで「余白」を持つことが重要です。
自分自身と他人の間に適度な距離を保つことで、相手の言動や意見に適切に対応することができます。また、自分自身の感情や思考を整理し、冷静な判断をすることも可能になります。 心理的な「余白」を持つことで、私たちは自然と問題解決の方向に向かうことができます。ストレスやプレッシャー、悩みを抱えているときには、一歩引いて冷静に状況を見つめ直すことが重要です。
また、「余白」は美意識の一環としても重要な要素です。「余白」を持つことによって、デザインや芸術作品においても調和やバランスが生まれます。余白のある空間や配置は、見やすさや心地良さを与えてくれます。余白を上手に活用することで、情報の整理や視覚的な効果を生み出すことができます。
私たちの日常生活や創造的な活動において、「余白」を意識して取り入れることで、より豊かな経験や成果を得ることができるでしょう。
余白が人生の可能性を広げてくれる理由
デザインでもアイデアでもそうですが、ロジックだけを積み上げたり、テクニックだけに頼ったりすると、その先に待っているのは「決まったゴール」です。 仕事の種類によっては、決まったゴールにいち早く到着することが求められることもあるので、そういつ場合にはその道筋を進めばいいのですが、新しくてユニークなものを求められている場合にはそれではうまくいきません。そこで必要なのが「何もない空間」、つまり「余白」です。
VUCAという不確実性が高い現代においては、「決まったゴールに至る道が必ずある」という従来の考え方は、もはや通用しなくなっています。新たな課題を定義し、今までの常識を捨て、自由に考えることが必要です。時には手堅く攻めるのではなく、ジャンプするなど新たなチャレンジが求められます。
そのためには、余計な力を抜いて、リラックスすることがよいと著者は言います。余白は、まるで一種のジャンプ台のようなものです。 デザインやアイデアにおいて、単にロジックやテクニックに頼るだけでは、予想可能な結果にしか至りません。
「余白」という概念は、デザインやアイデアに新しい次元をもたらします。余白は、「何もない空間」であり、デザインにバランスや視覚的な休息を与え、全体の印象を高めます。適切に活用することで、デザインやアイデアに深みと魅力を加えることが可能です。
しかし、この余白を活用するには、バランス感覚やセンスが重要です。適切な情報や要素の選択、配置を行うことで、余白を最大限に活かすことができます。ロジックやテクニックだけではなく、余白の活用を理解し、創造性豊かな成果を目指しましょう。余白を意識し、バランス感覚やセンスを磨きながら、効果的で魅力的なデザインやアイデアの追求に励むことが重要です。
余白思考とは……前に進む力をためること。そのために、意図的に余裕をつくること。自分ですべきことはする、人の力を借りるところは借りるという緩急が余裕につながる。
「余白」とは、日常生活や思考の中で、予定や考えを詰め込み過ぎずに、常にゆとりを持つことを意味します。心に余白を持つことは、自信の喪失や周囲の目を気にするネガティブな感情から離れることを助け、自分自身を見失わずに本来の力を発揮することを可能にします。
時間の余白を持つことで、情報のインプットを多様化でき、他人の助けや偶然の出会いを招く機会を生み出せます。自分だけでは解決できない問題に取り組む際、他人の支援や偶然の力が大きな役割を果たすことがあります。余白を持つことで、そうした外部の力を組み合わせることが可能になり、結果を出せるようになります。
また、心と体に常に余白を持つことで、後悔のない選択ができるようになります。 このアプローチは、日常生活における精神的な健康や意思決定の質を高めるのに役立ちます。
余白思考とは……「こうするしかない」「これは当たり前」という物事や考え方から一歩引いて、「それ以外の選択肢」をあえて取り入れてみること。「こうすべき」という思考で凝り固まっている人の頭の中には、余白はなくなってしまっている。まずは1人ブレストや遊びの感覚の再確認で、「余白のない自分」の存在に気づくこと。
「聞いたことがある」や「見たことがある」と、「実際に知っている」ことは似ているようで、実は大きく異なります。前者を「知らない」と認めることから、新たな学びの機会が生まれます。
「余白」とは、単に埋めるべき空白ではなく、拡大し、深まり、豊かになるものとして捉えられます。他者を受け入れるとき、余白は埋まるのではなく、広がります。異なる価値観が加わることで、余白はさらに充実します。この余白に対して、何か物、考え方、価値観を投げ込むことで、スペースは拡大し続けます。異質な要素を取り入れるほど、余白はしなやかに拡がります。
多様な知識や情報、価値観を積極的に取り入れることで、たとえそれらの具体的な内容を忘れても、拡大した豊かな余白が残ります。このように拡がった余白は、以前よりも大きな包容力を持っています。余白を拡大するプロセスは、自らの教養を拡大すると同時に深化させてくれるのです。余白の時間を生み出し、学びや体験に時間を使いましょう。
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