アマゾンは、自分のスタイルで買い物をする消費者が、数々のテクノロジー・イノベーションの中からインターネット、タッチスクリーン、モバイルアプリを受け入れたという事実に依存している。(ナタリー・バーグ&ミヤ・ナイツ)
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AIが変えるアマゾンの未来
ナタリー・バーグ&ミヤ・ナイツのamazon「帝国」との共存の書評を続けます。アマゾンは顧客満足を最大化させるために、絶えずテクノロジーを進化させてきました。 その技術のベースになっているのが、今話題のAIです。アマゾンのAIはレジ無し店舗、ロボットエ学、無人自動車、ドローン、音声アシスタントを次々と現実のものにし、私たちはその潜在性に気づき始めました。
市場調査会社のザ・インサイト・パートナーズによると、小売におけるAI支出は2025年までに272億ドル(約2兆7200億円)を上回り、2016年の推定額7億1260万ドル(約712億6000楢万円)と比べると、年平均成長率49.9%で成長しています。アマゾンはすでにAWSによって膨大な顧客データを手中に収め、イノベーションを起こすことが可能になったのです。
急速に台頭するAI分野において、AWSがアマゾンに優位性をもたらしています。AIによって、アマゾンのイノベーションが今後も加速することは間違いありません。 マッキンゼー・アンド・カンパニーの推定では、商品のレコメンドに導かれたアマゾンでの購入率は35%になり、アップセルやクロスセルに貢献しています。
2016年アマゾンはAIフレームワークのDSSTNEを無料化し、ディープラーニングの可能性を言語理解やオブジェクト認識の領域を越えて、検索や推奨の分野まで発展させるための道筋をつけました。DSSTNEのオープンソース化は、アマゾンがAIの巨大な潜在性から得る利益よりも、協調を重視したことを明らかにしました。
アマゾンの最大のライバルのアリババ・グループは、過去の取引データがない買い物客に対して、AI駆動の商品推奨機能を使用しています。アリババのエンジンは、その他の閲覧や買い物データポイントを考慮し、新規顧客と関連商品を適合できるようになっています。アリババ・グループのTモール(天猫)やタオバオ(淘宝)のプラットフォームのリピーターには、過去の取引だけでなく、閲覧履歴、商品のフィー ドバック、ブックマーク、地理情報、その他オンライン活動に関連するデータに基づき、商品のレコメンドが提示されます。2016年に開催された「シングルズデー(独身の日)」の期間中、アリババではAIの推奨エンジンを利用し、業者のターゲット顧客データに基づいて、個人向けにカスタマイズされた67億ものショッピングページを作成しました。アリババによると、この大規模なパーソナライゼーションにより、11月11日に開催されたこのイベントでは、20%高いコンバージョン率を達成しました。アマゾンやアリババの動きを見ると分かりますが、AIによるレコメンデーションとパーソナライゼーションの動きは今後の買い物のあり方を大きく変えるはずです。
アナリスト企業IHLグループが2015年、世界の小売を対象に調査を実施したところ、予測が不可能な需要の上昇に対処するため、サプライチェーンにおける供給過多に約4719億ドル(約47兆1900億円)、供給不足では約6300億ドル(約63兆円)ものコストがかかっていることが明らかになりました。それに対して、アマゾンのAIアルゴリズムは、アマゾンが販売する何億点もの商品の需要をだいたい18カ月先まで予測できるようになっています。 2014年にアマゾンが取得した「予測出荷」の特許は、顧客自身が購入するかどうかを決める前に、顧客の近くに商品をストックしておくシステムです。アマゾンはAIを利用して、サプライチェーンをさらに効率的に運用し右葉としています。「予測出荷」の特許により、アマゾンは特定エリア内の顧客が注文する前に、過去の注文やその他のファクターに基づいて、商品を予測して選び、梱包し、配送することを目指しました。梱包された商品は、注文を受けるまで配送ハブかトラックの荷台で待機し、時短を実現しています。
アマゾンでは、倉庫内はロボットに任せ、自律型配送ドローンを導入して機能の成長を支えています。 アマゾンはそのために2012年、受注処理プロセスを自動化する倉庫用ロボットのキバ・システムズを買収しました。キバ・システムズは現在、アマゾンのロボット工学部門のバックボーンをなし、日々の業務を改善しています。
アマゾンが保有するロボットは合計10万台を超えるという予測がありますが、これはアマゾンの労働力の少なくとも20%がロボット隊で構成されていることを意味します。2016年にアマゾンは、イギリス国内で半自律配送用ドローンの試験を開始しました。路上で郵便配達車を見かけるのと同じくらい、プライム・エア(ドローン配送)を見かけるのが当たり前になることも現実的になってきました。AIやロボティックスなどのテクノロジーの進化がアマゾンの未来を明るくしています。
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アマゾン・ゴーが高める顧客満足
アマゾンの「ジャスト・ウォークアウト」テクノロジーは、
顧客がどの商品を棚から取ったか、 あるいは棚に戻したかを察知し、 バーチャルカート内の商品を追跡する。そのため、 顧客が商品を持って店を出るときには自動で精算が完了する。
アマゾンは精算面でも顧客のフリクションを減らしています。テクノロジーの力で顧客満足を高めるアマゾンはリアル店舗の開発でもその力を緩めません。アマゾン・ゴーはテクノロジーによって顧客体験を高めながら、自社の人的リソースや万引きなどの課題を解決しています。
■ユビキタスな接続性:オンラインとオフラインのどちらにおいても、カスタマージャーニーの各ポイントで顧客の活動と支出特性をアマゾンは検証しています。アマゾン・ゴーを利用する際に、顧客はまず、アマゾンで個人情報や支払い方法の詳細を登録しないと、店舗に入店することができません。顧客は、自分のモバイル機器に登録したアマゾン・ゴー専用アプリを使って入店します。 それが店内における顧客の動きの追跡を可能にします。
■インターフェースの浸透性:アプリを使うことで、他の専用スキャナーを顧客に使わせるよりはるかに負荷を下げられます。店舗内のカスタマージャーニーで、最もフリクションが集中するレジ会計のプロセスから人間の介入を排除し、スピードと手軽さを実現することで顧客満足を高めています。
■自律型コンピューティング:AIに基づくコンピュータのビジョン、センサー、フユージョン、ディープラーニングのテクノロジーが、アマゾン・ゴーの「ジャスト・ウォークアウト」テクノロジーを機能させています。「ジャスト・ウォークアウト」テクノロジーは、手動的介入を必要とせず、レジ会計のスタッフやハードウェアを必要としません。膨大な量のカメラやセンサーを用意する必要がありますが、店舗の主要損失源であった「シュリンケージ」(万引きや内部犯行により商品が消失して在庫数が減少すること)を撲滅することができるのです。顧客が商品を隠そうとしても、店内コンピュータの画像認識システムにより、店から持ち出すすべての商品を感知し、顧客への請求が可能になりました。
私も今年の2月にシアトルのアマゾン・ゴーの店舗を体験してきましたが、レジレスによって、並ぶ手間がなくなり、顧客満足度が高まりました。買い物体験でもっともいやな行為である「レジ待ち」を体験しないこと、財布を良いせずに決済がいつの間にか終わっていることは感動ものでした。
当然、アマゾンは店舗での顧客行動をチェックし、分析をかけることで顧客への的確な商品提案を行えるようになります。AIやデータサイエンティストが店内での顧客行動やビッグデータを分析することで、アマゾンのあらゆるサービスは進化していくはずです。商品開発、品揃え、プロモーションの精度が上がることで、アマゾンはより競合を脅かす存在になるはずです。
まとめ
アマゾンのAIはレジ無し店舗、ロボットエ学、無人自動車、ドローン、音声アシスタントを次々と現実のものにし、顧客満足度を高めることに成功しています。アマゾンが得た膨大な顧客データを分析することで、商品開発、品揃え、プロモーションの精度が上がり、アマゾンはより強者になっていくはずです。
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