アマゾン・アレクサでの検索順位を上げる方法。

業界の予測としても、音声によるデバイスの普及率が2020年までにアメリカ国内で40%、海外では30%になることで一致している。(ナタリー・バーグ&ミヤ・ナイツ)

AIスピーカーが変える未来

今回はアレクサが変える未来について考えてみようと思います。参考にしたのは、ナタリー・バーグ&ミヤ・ナイツamazon「帝国」との共存です。私の家にはアマゾンのAIスピーカーのEchoが3台あり、家族がそれぞれの目的に応じて、このデバイスを使っています。天気予報やニュースのチェック、アップルミュージックやアマゾンミュージック、ラジコの再生などがその主目的です。

アマゾンのデジタル・デバイス担当上級副社長であるデイヴィッド・リンプは2017年にAIスピーカーの未来の可能性について、次のように語っています。

家庭での音声制御はユビキタスになるだろう。現代の子供たちは、家と会話ができない時代があったことを知らずに成長することになる。(デイヴィッド・リンプ)

OC&Cストラテジー・コンサルタントは、グーグルホームやアマゾンのエコーといったデバイスを用いた買い物が、2018年の20億ドル(約2000億円)から、2022年には400億ドル(約4兆円)まで飛躍的に伸びると予測しています。買い物はパソコンやスマホからAIスピーカーに今後シフトしていきます。

アレクサの音声アシスタントの目標は、ただアマゾン・ドット・コムの売上を伸ばすことだけではありません。自分のスタイルで買い物をする消費者のアマゾン依存度をより高め、さらには自社のエコシステムの中へしっかりと引き込むことを目指しているのです。「アマゾンはスマートフォンの戦いに負けて勝利した」と言われていますが、もしもファイアフォンが2014年の発売当時に成功を収めていたとしたら、モバイル機器のハードウェアや、モバイルOSの更新の複雑性に、身動きがとれなくなっていたはずだと著者は指摘します。

モバイルソフトウェアやハードウェアの開発をコアビジネスとするアップルとグーグルが相手では、スマートフォン戦争に勝ち目はないと悟ったアマゾンは、スマホ事業から撤退し、小売にフィットしたデバイス開発にシフトします。そして、早くもそのマーケットで主導権を握ったのです。

音声アシスタントのデバイス市場は依然として開発の初期段階にあるが、アマゾンはすでに先行者利益を強化している。ユーザーはウェブ動画(ファイアTV)を観たり、キッチンタイマーを作動させたり、音楽を聴いたり、天気予報を確認したり、そしてもちろん、アマゾンで買い物をすることができる。そして、それらすべてを音声だけで行うことができるのだ。

2017年末には、高級デバイスであるエコーの価格を180ドル(約1万8000円)から100ドル(約1万円)に値下げし、マーケットの拡大を目指しました。ブラックフライデーとプライムデーなどでも、エコーを目玉に積極的に売り出したのです。アレクサによる注文のみで割引するなど、エコーのシェアを高める戦略でAIスピーカーからの買い物を当たり前にしたのです。

ブルームバーグのシーラ・オヴァイドの言葉を読むと、アマゾンが失敗を成功の糧にしたことを理解できます。

アマゾンにはスマートフォンという命綱がないが、スマートフォンやその他小型機器にまつわるソフトウェアのインテリジエンスで未来をつなぎ、そしてその世界の中心に立っている。アマゾンは近い過去に失敗を経験したからこそ、その未来を謳歌することができるのだ。(シーラ・オヴァイド)

アレクサを搭載したすべてのデバイスを販売することにより、顧客はますますアマゾンのフライホイールのエコシステムに引き込まれていきます。アレクサを手元に置くことで、顧客はこのツールとの関係が強化され、アマゾンとやり取りをするようになります。

グーグルやアップルがそれぞれのエコシステムに顧客を集め、異なる機器間に互換性を持たせてフリクションをなくし、顧客の囲い込み率を最大化しているのと同じことをアマゾンも行なっています。アマゾンのAIスピーカーを通じて買い物をするときは、アマゾンがデフォルトになる可能性が高まります。

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アマゾン・アレクサで検索順位を上げる方法

アマゾンのエコシステムの取り組みは、音声開発の中心にある。そして、おそらく驚きはないだろうが、ほとんどの家庭でのアレクサの主な用途が、実はショッピングではない。

アイルランドのeコマース分析会社、クラヴィス・インサイトは、アレクサで最も人気の低い活用法がなんと買い物だと指摘しています。同社は、米アマゾンで毎日1万件以上の検索語を収集し、アレクサ音声アシスタントが検索に利用されている割合とその成長指標、アレクサに求められるその他のタスクなどを追跡しています。

2016~18年までのアレクサによるコマンドの上位は以下の3つです。
1、タスクと音楽
2、ホームオートメーション
3、スキルとショッピング

この調査から、アレクサに接続できるホームオートメーション機器のアマゾン・ドット・コム経由の売上が、前年比で71%も成長していたことがわかりました。2017年の終わりにアレクサ経由で家庭の照明、セキュリティ、暖房装置などを接続・制御しようとする買い物客が、アマゾンで最も多く買い求めたデバイスは、驚くことにグーグルのネスト・サーモスタットのコントローラだったのです。アマゾンは2018年3月に、ネストのデバイスの販売中止を発表しました。当たり前ですが、競合に塩を送るのをやめたのです。

ワン・クリック・リテールによると、音声アシスタント機能を使って1度でも商品を購入したことのあるアレクサのユーザーはたった32%で、リピート購入を行った者はそれよりさらに少ないことを明らかにしました。アレクサを利用して商品を買う人の数が、初回購入以降では劇的に減少していることもわかりました。驚くことに顧客はリピート購入にアレクサを利用していないのです。

しかし、エコー所有者の購買行動を見ると、アマゾンがAIスピーカーを普及させる理由が見えてきます。アルパインAIが、調査会社のインフォスカウトと共同で行った調査では、平均的なアマゾンの顧客が1年間で購入する回数が19回だったのに対し、エコーのオーナーの購入回数はほぼ27回であることがわかりました。

エコーが買い物客に追加の衝動買いをさせているのだ。アレクサを用いたリピート購入のうち、音声アシスタントが最も購入につながりやすいカテゴリーは、ペット用のフードやおやつ、べーキング&クッキング用品、シェービング&グルーミング用品、口腔ケア用品など、取り替えや補充の頻度が高く、多くのブランドがひしめくカテゴリーだった。最も購入頻度が高かったのは健康・美容のカテゴリーで、12カ月の時間枠では53%高かった。

メーカーはアレクサをどう活用すればよいのでしょうか?モバイルやデスクトップを使ってアマゾンで検索すると、何ページもの検索結果が得られるのに対し、エコーはーつの検索クエリに対して、たった2つの検索結果しか提示しません。ワン・クリック・リテールによると音声で提示する上位2件を決定するファクターはいくつか存在しています。
1、購入履歴過去に購入したことがあれば、アレクサはそれとまったく同じ商品の再注文を提案します。
2、過去の購入履歴がなければ、アレクサは「Amazon’ s Choice」をおすすめします。「Amazon’ s Choice」は、初代エコーが発売されたときに導入された機能的タグで、さまざまなファクターに基づいて特定の商品に割り当てられています。
3、購入履歴や「Amazon’ s Choice」がなければ、アレクサはモバイルやデスクトップPCのオーガニック検索で得られる上位2件を提示します。

現在、各社は自社製品に統合するアレクサ「スキル」の開発に追われています。オカドやピーポッドなどの生鮮食品ネット通販業者は、アマゾン・フレッシュの存在には目をつぶり、早くからアレクサの適用をグローバルに進めてきました。音声でのオーダーは食料品eコマースにフィットします。

たとえば、ピーポッドは2017年に、「アスク・ピーポッド」というアレクサ向けの「スキル」を開発しました。消費者が音声で商品を注文すると、その商品が毎週買い物客の食品カートに追加されるのです。たとえば、ビールが欲しければアレクサに話しかけるだけで、ミラー・ライトを注文できます。ピーポッドや親会社のアホールド・デレーズは、スキルを使うことで、注文を受ける最高の順番を確保できるのです。もし、スキルを開発しなければ、買い物客はあとで別の店で買おうと思うか、その商品をオンラインの買い物かごに追加することすら忘れてしまうかもしれません。

アレクサで顧客をつかまえたければ、キーワード、タイトル、商品の特長を押さえた箇条書きや説明文など、検索の基本が依然として重要になります。従来の検索と音声検索の両方で、クリック率とコンバージョン率を高める商品説明を心がけるとアマゾンでの売り上げがアップするのです。

生鮮食品の買い物でのウェブの存在感は今後も高まります。ピーポッドは自社の「アスク・ピーポッド」の機能について、顧客を引き付けられる最高の手段だと説明します。音声ショッピングの頻度の高低や有無にかかわらず、消費者が冷蔵庫や食品棚を満たすために、AIスピーカーを使うのは必然の流れです。

オカドはイギリスの生鮮食品業界ではじめてその流れに乗り、オンライン専業の生鮮食品業者に「コーペティション」を促進する音声の力と、音声の活用の急務性を明らかにしました。アマゾンアレクサは、ピーポッドらライバルにとっても、小売業界に新しいテクノロジーの変化をもたらす競合との戦いに備えて活用すべき、いまだかつてないテクノロジーツールなのです。

ピーポッドのマーケティング最高責任者のキャリー・ビエノコースキーの言葉を読めば、AIスピーカーの重要性を理解できます。競合関係にアマゾンの技術を活用する「コーペティション」について、小売業はもっと真剣に考えるべきです。

10年前は、購入した食料品をただ配送してもらうだけで便利に感じたものだ。しかし、私たちが本当に理解しなくてはならないことのーつは、食料品の配送を超えた進化が今、求められているという事実である。(キャリー・ビエノコースキー)

音声で勝利するためにピーポッドが「コーペティション」を受け入れ、アレクサ向けの開発を行ったことは称賛に値します。

2018年のスマートホームスキルAPIの拡張により、オーブンからテレビまで、より多くのスマートデバイスが制御できるようになりました。アレクサが自宅で制御できる能力にも800以上のスキル、1000以上のデバイスが追加されています。

ワン・クリック・リテールの業務執行社員であるスペンサー・ミラーバーグは、アレクサの音声検索への投資は「優先順位づけがすべて」だと助言しています。それぞれの業種によって、アレクサの活用法は変わります。音楽業界はアレクサをもっと重視すべきですし、小売業も音声検索のルールを理解し、未来の消費者が音声検索を活用した時に負けないように、上位2つのポジションを確保すべきです。

自分のスタイルで買い物をする現代の消費者は、機能性と同時に、娯楽性もショッピングに求めています。デジタル化した消費者の期待に応える競争で、小売業者がオンラインの創造的破壊者と足並みを揃えるためには、AI、デジタルツール、データに代表されるテクノロジーを活用することが重大なタスクになります。AIスピーカーの活用法を学ぶことで、新たな消費者たちに追随できるようになります。

まとめ

AIスピーカーの重要性が増しています。アマゾン・アレクサで顧客をつかまえたければ、キーワード、タイトル、商品の特長を押さえた箇条書きや説明文など、検索の基本が依然として重要になります。従来の検索と音声検索の両方で、クリック率とコンバージョン率を高める商品説明を心がけるとアマゾンでの売り上げがアップするのです。

参考図書 ナタリー・バーグ&ミヤ・ナイツamazon「帝国」との共存

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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