アレックス・カントロウィッツのGAFAMのエンジニア思考の書評


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GAFAMのエンジニア思考
著者:アレックス・カントロウィッツ
出版社:かんき出版

本書の要約

GAFAMに代表されるテックジャイアントは自社のビジョンを実現するために、テクノロジーを発展させながら、経済変革を行っています。GAFAMの経営者はエンジニア思考を活用し、従業員の力を引き出し、テクノロジーを一気に進化させ、世の中を変革しているのです。

 GAFAMのエンジニア思考とは何か?

テックジャイアントの企業運営は、ほかの企業とは驚くほど異なっている。アレックス・カントロウィッツ

「バズフィード・ニュース」のテクノロジー担当シニアレポーターのアレックス・カントロウィッツは、GAFAMの経営者とのインタビューを重ねるうちに、彼らの特殊性に気づきます。彼らは自らのビジョンを実現するために、メンバーに命令するよりも「エンジニア思考」で彼らをサポートしていたのです。

GAFAMなどのテックジャイアントは、世の中を変革するために独自の社内テクノロジーを生み出してきました。彼らは技術だけを重視するのではなく、独自の変革の文化を築くことで、テクノロジーを進化させていたのです。彼らはテクノロジーを徹底活用し、イノベーションを起こすために時間を使うようにメンバーに求めました。このエンジニア思考によって、彼らは創造的な時間を生み出し、環境の変化に適応していたのです。

イノベーションを起こし続けるためには、ベンチャーのマインドセットを維持する必要があります。例えば、アマゾンはDay1という考え方を採用することで、成長を止めずに絶えず進化しています。新たな発明が生まれるたびに、彼らは初日(Day1)に戻り、次のイノベーションを生み出すための一歩を踏み出します。

グーグルもフェイスブックも同じように、ベンチャーマインドを持って、チャレンジを続けています。一時、成長からかけ離れていたマイクロソフトもサティア・ナデラがCEOになることで、変革する姿勢を取り戻しました。一方、iPhoneに依存するアップルは、著者にはかつてのマイクロソフトのように見えると言います。MacやiPhoneに依存し、Day2に陥ることで、勝ち組のアップルですら、やがて負け組になってしまうのです。

以前の私たちの働き方は、実務ワークに多くの時間を取られてしまい、生産性を下げていました。しかし、AIやコラボ技術やロボティクスの普及により、実務ワークの時間が減り、創造的な業務に時間を費やせるようになったのです。

エンジニア思考とは、技術重視の態度という意味ではなく、構築や創造・変革の文化を支える考え方のことだ。エンジニア思考は、エンジニアが仕事に取り組むやり方にもとづいているが、技術関連の職種や職位にとどまらず、企業内で広く適用できる。

エンジニア思考には主に次の3つの特長があると著者は言います。
①民主的な創意工夫
②制約のないヒエラルキー
③コラボレーション

フェイスブックは「事実を述べる」「自分の意見を伝える」「相手に質問をする」というフィードバックを自社の文化に取り入れることで、メンバーに新しい視点を持たせています。フィードバックの文化によって、フェイスブックは人やアイデアのヒエラルキーに縛られなくなったのです。

社員の創造的な時間を増やすことが成功の秘訣

専門家によれば、AIは人間を解放して、もっと「創造的」または「人間的」な仕事ができるようにするという。つまりAIは、人間をもっと創意工夫にあふれた仕事ができるようにしてくれるのだ。私が考えるところでは、これこそがテックジャイアントの成功の背景にある、もっとも重要な要素である

GAFAMに代表されるテックジャイアントは、新しい変革経済を実現する技術を発展させて、実務ワークを最小限に減らし、創造的な仕事の時間を増やしてきました。

これにより、彼らは新たなアイデアを生み出せるようになり、それを実現するために時間を使えるようになったのです。テックジャイアントの文化は、改良ではなく変革をサポートするようにデザインされていたのです。

例えば、アマゾンは小売部門の仕事を自動化することで、新しい変革の機会を開いています。アマゾンの社員はつまらないルーティン業務から解放され、変革にかかわる仕事に就けるようになったのです。アマゾンでは生産性の高い仕事は社員が行い、ルーティン業務は機械が行うようにデザインされています。

ほとんどの人間にとってつらく退屈なものであった仕事は、いまや多くの人にとってもっと変革にあふれ充実したものになる可能性をもっている。ひとにぎりの実力者のサポートに奮闘する日々を過ごすのではなく、自分のアイデアを実現させるために、おたがいに肩を並べて働くようになる日が近いかもしれない。そして、より多くの会社が変革によって成功することを目指すようになれば、このような構図はすぐにでも現実のものになるだろう。

テックジャイアントだけでなく、ベンチャー・スタートアップもエンジニア思考で仕事を行えば、競合他社への優位性を発揮できます。当然、これは大企業でも導入可能です。真に創造的な仕事により多くの人が就けるようになれば、社員は充実した時間を過ごせるようになり、より社会に貢献できるようになります。エンジニア思考で社員の働き方を変えることで、企業はより強くなれるのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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