命綱なしで飛べ (トマス・J・デロング)の書評

person jumping to body of water during daytime

命綱なしで飛べ
トマス・J・デロング
サンマーク出版

本書の要約

自分を理解し、信頼できる「支援のネットワーク」を得ることで、困難を乗り越えられるようになります。進むべき道を決め、小さな一歩を踏み出すことで自分の人生を変えられます。目的を明確にし、計画をしっかり立て、一歩一歩着実に足を運べば、命綱なしで飛べるようになります。

「命綱なしで飛ぶ」という選択が人生を豊かにしてくれる?

あなたが仕事で結果を出したい、成功したいと強く望む者なら、こうした状況において、何をすればいいだろう? 不安から解放され、楽しく充実したキャリアと人生を手に入れるにはどうしたらいいだろう? 命綱なしで飛ぶ(flying without a net)ことを学ぶのだ。 行動を妨げる不安を乗り越える。 そこから少しずつ学び、成長し、変化できると思えるようになる。 そうやって身につけたものが仕事に役立つことに気づく。(トマス・J・デロング)

広告会社で働いていた頃は、自分はビジネスができると言う振りをして、いつも恰好をつけていました。いつも自分の勝てる領域で勝負することで、自分の弱みを他者に見せずにいました。本当はやりたいことがあるのに、不安や恐怖感からそれを先延ばししていたのです。結果、変化を避け、成長できずにいました。

独立して、経営者にアドバイスをするようになってから、私は自分の思考と行動を改めました。経営者の課題はマーケティングだけでなく、多岐にわたり、解決しなければならない課題がたくさんあることに気づいたのです。財務や資金調達などについて一から学ぶために、士業やコンサルタントなどその道のプロフェッショナルに教えを請うことにしました。恰好が悪くてもいいから、彼らに頭を下げ、ノウハウを吸収することで、自分のスキルを高めることができました。

かつての私のように何かを始めたいのに、「失敗したらどうしよう」と恐怖を感じている人におすすめの一冊がハーバード・ビジネススクールのベイカー基金教授のトマス・J・デロング命綱なしで飛べです。

著者が本書で指摘するように、命綱なしで飛ぶことで、ビジネスがうまくいくようになります。そのためには、変化を受け入れ、勇気を出して行動する必要があります。結果、「望ましいことを見事にこなせる」ようになるのです。  

私も命綱を外して、新たな行動を続けるうちに、徐々に自分を改善できました。 周りの人に自分の弱みをさらけ出し、彼らから学ぶことで、新たな自分をつくることができたのです。

仕事で今まで以上に多くを達成し、大きな満足を得るには、心を開き、新しいことを学び、今まで知らなかったことも経験しなければならない。不安を感じ、自分は無能だと思い知ることもあるかもしれないが、それは一時にすぎない。そして、これは進歩の前段階だ。

仕事で今まで以上の成果を出し、大きな満足を得るためには、他者に心を開く必要があります。過去の常識にとらわれずに新しいことを学び、今まで知らなかったことも経験しなければなりません。 アンラーン(脱学習・再学習)することが私たちには求められています。(アンラーン戦略のブログ)

知らない領域にチャレンジする際には、不安を感じ、自分は無能だと感じると思います。実際、私も士業やコンサルタントに教えを請う際には、恥ずかしい気持ちを抱きましたが、それは一時的なものに過ぎませんでした。経営者の課題を解決するために、学びの機会を増やし、さまざまなプロフェショナルと交流することで、自分の仕事に広がりをもたらすことができました。

「命綱なしで飛ぶ」のため6つのステップ

「命綱なしで飛ぶ」のであれば、まずは「立ち止まって考える。自分を理解する」ことが大切だ。

著者は、「命綱なしで飛ぶ」のため6つのステップを明らかにしています。
①立ち止まって考える。自分を理解する。
②昔のことは忘れる。過去を「過去のもの」にする。
③こんなふうにしてみたい、こんなことを実現したいと「具体的な目標」と「計画」を立ててみる。
④メンターやアドバイザー、「支援のネットワーク」に頼る。
⑤まばたきせず「現実」を見つめ、受け止めようとする。
⑥自分の弱さを認め、さらけ出す。

この6つのステップを踏むことで、恐怖に支配されずにアクションを起こせるようになります。新しいことを始めたり、新しく人間関係を築いたり、新しい仕事を引き受けたりしたとき、「忙しさの罠」や「人と比べる罠」「人を非難する罠」「心配の罠」にはまらずにすみます。4つの罠を避けることで、自分の成長を加速できます。

①忙しさの罠
忙しいからと言って、成果を出せるわけではないと考え、自分の仕事を見直してみましょう。

②人と比べる罠

仕事で結果を強く求める者は、誰もが「人と比べる罠」にはまらないように、さまざまなことを経験する必要がある。経験の幅を広げるよう努めるのだ。  

他者との比較は際限がありません。さまざまなことを経験するうちに、人との比較が意味のないことだと理解できます。

③人を非難する罠
誰かを非難することで安心感が一時的に得られるかもしれませんが、自分の評価を落としてしまいます。自分を変えたいなら、自ら間違いを認める勇気と覚悟が強く求められます。ミスを認めることで、自分を成長させられます。

④心配の罠

結果を出そうとする者は自ら行動を起こす。受け身の態度でいれば心配が増すだけだ。

心配は伝染するので、溜め込まないようにしましょう。心配の原因を特定し、紙に書き出したり、アクションを起こすことで、たいがいのことは解決します。

「心配の罠」にも、「忙しさの罠」「人と比べる罠」「人を非難する罠」にもはまらないためには、まずはその罠に気づくことが重要です。これら4つの罠を避けれることができれば、理想の自分に近づけます。

自分の弱さを認め、わからないものは「わからない」と正直に告白し、新しいスキルと知識の習得を心がければ、自分を変えられます。結果、あるべき姿に近づけ、望ましいことを見事に行うことができるようになります。

元ブリガム・ヤング大学のフィル・ダニエルズ教授の「SKSフォーム」と呼ばれるフィードバックを信頼できるパートナーからもらいましょう。
・何をやめるべきか(Stop)
・何を続けるか(Keep)
・何を始めるべきか(Start)
を問いかけてもらうことで、自分のやるべきことが明らかになります。SKSによって、自分のやるべきことが明らかになり、行動できるようになります。

信頼できる人たちからなる「支援のネットワーク」を構築し、SKSフォームで自分をさらけだすことで、自分の行動パターンを変えられます。

命綱なしで飛べるようになり、ビジネスがうまく回り始めたら、周りの支援者に感謝の言葉を伝えましょう。
①目標を達成するにあたって誰に助けてもらったか、はっきりさせます。
②その人たちがしてくれたことに対して、感謝の言葉を伝えます。
③あなた(およびあなたのチーム)が目標を達成できたのは、自分の努力以上に、誰が何をしてくれて、どんな要因があったからか?自分を支えてくれた人たちや成功に導いてくれたことへの感謝の気持ちを忘れないようにします。

感謝の気持ちと謙虚さを示すことで、望ましいことを見事にこなせるようになるのです。

自分を理解し、信頼できる「支援のネットワーク」を得ることで、困難を乗り越えられるようになります。進むべき道を決め、小さな一歩を踏み出すことで自分の人生を変えられます。目的を明確にし、計画をしっかり立て、一歩一歩着実に足を運べば、命綱なしで飛べるようになります。


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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