慈悲の瞑想の力。スーザン・ケインの静かな力の書評

man sitting on rock surrounded by water

静かな力
スーザン・ケイン, グレゴリー・モーン
学研プラス

スーザン・ケインの静かな力の要約

「慈悲の瞑想」は、心の中に穏やかさや平和をもたらすための実践であり、そのプロセスを通じて愛と慈愛の感情が育成されるとともに、人々の間のつながりや共感も深まります。この瞑想法は、単なる技術や手法ではなく、日常生活の中での思いやりや理解を促進するツールとしても役立ちます。

喪失から得られる7つのスキルとは?

私たちが最高の状態を経験するのは、「人生が完ぺき」だからではなく、「人生が完ぺきではない」からなのだ。(スーザン・ケイン)

私たちが真に充実した瞬間や最高の状態を感じるのは、人生が順調に進んでいる時よりも、逆境や挑戦を乗り越える中で得た経験や気づきから生まれることが多いです。スーザン・ケインが指摘するように、完璧さを求めるのではなく、その不完璧さの中にこそ美しさや真実が隠されていることを認識することが重要です。 完璧な人生など存在しない。

しかし、その中の高潮や低潮、成功や失敗、喜びや悲しみを全て受け入れ、経験することで私たちは成長し、本当の意味での充実を手に入れることができます。人生の途中で出会う難しさや挫折が、後には大きな喜びや感謝へと繋がることもあるのです。

ネバタ大学のスティーブン・ヘイズ博士は、人々の感情や経験に対する考え方について興味深い見解を提供しています。「私たちは自分の『苦痛』の中に、自分の『大事なもの』を見いだし、自分の『大事なもの』の中に『苦痛』を見いだす」と彼は言います。これは、私たちが価値を置くものや大切にしているものは、同時に私たちを痛みや困難に直面させる可能性があることを示しています。

ヘイズ博士は、喪失から得られる7つのスキルを明らかにしています。
1、「喪失は事実である」と認めること
2、喪失に伴う感情を受け入れること
3、自分の感情、考え、記憶をすべて受け入れること
4、自分はもういっぱいいっぱいと感じることもあると予測すこと
5、役に立たない考えを抱かないこと
6、大事なものにつながること 
7、価値観に基づいた行動をすること

まず、最も基本的なスキルとして、「喪失は現実」として受け入れることが挙げられます。私たちが遭遇する悲しみや痛みは、逃れられない事実の一部です。 次に、喪失によって湧き上がる感情、悲しみや怒り、混乱などを受け入れることが必要です。

多くの人々が、これらの感情から逃れるために食べ物やアルコール、仕事に溺れる傾向があります。しかし、これらの避ける行動は、結局、感情の処理を遅らせるだけです。私もかつてはアルコールに依存し、貴重な期間を失ってしまいました。

さらに、我々は自らの感情や思考、そして関連する記憶をすべて受け入れることが求められます。これは、意外であったり、我々自身の期待と異なるものであっても、そのすべてを認めることを意味します。そして、人は時として、自分が手一杯になることを理解し、その瞬間を乗り越える準備をする必要があります。不健康な自己非難の考え方から距離をとり、客観的な視点を持つことも重要です。

トロント大学の研究は、つらい感情を受け入れる能力が、実際に私たちの長期的なウェルビーイングや成功に繋がることを示しています。ネガティブな感情を受け入れる習慣がある人々は、大きなプレッシャーやストレス下でも落ち着きを保つ能力が高いことが明らかになりました。

しかし、真の回復や成長には、さらなるステップが必要です。それは、「大切なものとのつながりを再確認すること」と、「その価値に基づいて行動すること」です。喪失を通じて、私たちが本当に大切にしているもの、人生の意義や目的に気づく手助けとなるのです。

例として、20世紀の建築家でエンジニアであるバックミンスター・フラーの人生は、重要な教訓を私たちに提供しています。彼は、深い絶望の中から、自身の価値や人生の目的を再確認し、その結果として革新的な「ジオデシック・ドーム」などの作品を生み出し、20世紀のダヴィンチと言われるようになったのです。彼の物語は、喪失や困難の中からでも新しい可能性や意義を見出すことができることを示しています。

慈悲の瞑想とは?慈悲の瞑想の実践ガイド

「慈愛の瞑想」では、まず、あなた自身がこうした状態になるよう願い、次に、つねに広がり続ける「人とのつながり」の中の人々ーたとえば、愛する人たち、知人たち、これまでに出会った、扱いにくい人たちーがそうなるよう願い、最後に、生きとし生けるものがそうなるよう願う(なかには、真っ先に自分のことを願つのは気が引けるという人もいるだろう。

慈愛の瞑想は、私たちの内側の平和と愛を増大させるための瞑想法の一つです。この瞑想は、以下のようなプロセスで行われます。
①自分自身への慈愛
まずは自分自身に向けて願いを持ち、以下のような言葉を心の中で繰り返します。
私が危険を免れますように。
私が精神的な苦痛を免れますように。
私が身体的な苦痛を免れますように。
私が幸福を手に入れやすくなりますように。

②身近な人への慈愛
次に、あなたの愛する人や友人、家族に対して同じ願いを持ちます。心の中で、その人々の名前や顔を思い浮かべながら、彼らの幸福を心から願います。

③難しい人々への慈愛
私たちの生活の中で、挑戦的な関係や経験を持つ人々に対しても、同じ慈愛の心を持ちます。彼らが苦痛から解放され、真の平和を感じることができるように願うのです。

④全ての生命への慈愛
最後に、この地球上の全ての生き物、人々、動植物、大きな存在から小さな存在まで、全てに対して慈愛の心を広げます。

この瞑想を行うことで、愛と慈愛の感情が心の中で自然に育まれ、私たちの日常の生活にもその影響が広がっていきます。願いの順番や対象は固定されていないため、自分自身の感じるままにアレンジして実践することができます。

私はこの「慈愛の瞑想」を数年前から習慣化していますが、他者への恨みや妬みを軽減できるようになりました。この瞑想のおかげで、心が落ち着き、アクティブに行動できるようになったのです。スーザン・ケインも指摘するように私も慈悲の瞑想の効果を実感しています。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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