デジタル・ブランディング――世界のトップブランドがいま実践していること(パブロ・ルビオ・オルダス)の書評

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デジタル・ブランディング――世界のトップブランドがいま実践していること
パブロ・ルビオ・オルダス
クロスメディア・パブリッシング

本書の要約

デジタル・ブランディングが企業の成長に欠かせなくなっています。UXデザインとUIデザインは企業の競争力になり、大きな差別化価値となっています。インターネットベースの新たなビジネスモデルを開発した企業(デジタルブランディングに秀でた企業)が勝ち組として評価されています。

デジタル・ブランディングが企業に必要な理由

デジタル・ブランディングは「未来」へのアプローチではなく、「現在」へのアプローチだ。地球上のいたるところで生まれているデジタル企業の成功は、すぐれたアイデアだけでなく、重要な財源、信頼性と差別化価値の高いブランド、成熟したユーザー体験に支えられている。(パブロ・ルビオ・オルダス)

戦略的デザインカンパニーのErretresのCEOのパブロ・ルビオ・オルダスは、企業の成長にはデジタルブランディングが欠かせなくなっていると言います。著者は激しい競争を勝ち抜いてきた会社には次の3つの成功要因があると指摘します。

①テクノロジーとデータ  
テクノロジーの普及により、企業もユーザーもその恩恵に与り、成熟したユーザー体験が蓄積されています。テクノロジーとデータを自社のビジネスに活用した企業が飛躍的に成長しています。

②資金繰り  
ベンチャー・スタートアップが多額の資金を調達できるようになり、ゲームのルールが変わりました。テクノロジーと優秀な人材の確保に資金を投じ、次に、ユーザーを獲得するための成長戦略に資金を使うこと、赤字経営が許されるようになりました。

適切なアイデアとすぐれたビジネスプランと投資家が出会うことで、課題を解決し、巨大企業をディスラプトできるベンチャーが成長できるようになったのです。

③デジタル・ブランディング  

ブランドの創出、信頼性と付加価値を特徴とするユーザー体験の提供が成功の鍵を握る。アプリのロゴタイプやクールなデザインを考えるだけにとどまらず、意味のある、信頼できるブランドと包括的なデザインシステム、顧客に寄り添ったユーザー体験の構築が真の課題になった。求められるのは、従来のビジネスモデルにも、今後、出くわす模倣モデルにも負けないだけの自信を生み出すデジタル・ブランディングだ。  

ユーザーは従来型のコミュニケーションを信頼せず、インタラクティブな会話を求めています。SNSやコンテンツが力を持ち、口コミによって商品やサービスが認知されるだけでなく、ブランド-とユーザー間の会話が可視化され、評価されるようになったのです。友人やほかのユーザーの意見が宣伝文句よりも信頼され、モノの所有よりコミュニティへの帰属が重視されています。

マッキンゼーの調査によれば、デザインにフォーカスしている企業は、業界水準の2倍の速さで収益を増やしていると言います。UXデザインとUIデザインは企業の競争力になり、大きな差別化価値となっています。インターネットベースの新たなビジネスモデルを開発した企業(デジタルブランディングに秀でた企業)が勝ち組として評価されています。

Appleはスマートフォンの販売台数は競合他社より少ないですが、熱狂的なファンがAppleの提供価値にお金を払うことで、多額の利益を上げています。

テスラは自動車の販売台数やフィジカルアセットの点ではトヨタに劣っていますが、デジタルブランドとしての評価はトヨタよりはるはに高くなっています。テスラ車は、大画面のタッチスクリーンでの操作を可能にしたり、ソフトウェアを日々アップデートすることで、ユーザー体験にイノベーションをもたらしました。充電インフラや発電備蓄事業などEVのエコシステムを実現することで、トヨタの時価総額を凌駕しています。

デジタル・ブランディング・デザインの10原則

エコシステムを構築するには、他部門や他企業とのコミュニケーションと協力が欠かせない。ユーザー体験に関しても、ハードウェアとソフトウェアのエンジニアが連携し、そこに、デザイナーとユーザー体験のスペシャリストが加わることが必要だ。そして、エコシステムとユーザー体験をよりよいものにしていくには、エンドユーザーの声に耳を傾け、彼らを理解しなければならない。 したがって、これは技術や能力だけの問題ではなく、社内のコミュニケーションと連携の問題でもある。新たなマインドセット、新たな考え方が求められるのだ。

企業のイノベーション能力と、高度につながり合った世界に対する理解力よりもさらに重要なのは、企業文化なのです。イノベーションを起こすために、他社との連携やほかの技術との融合を生み出す文化を形成しましょう。

デジタル・ブランディングを行うなら、Erretresが開発した「EDGE」のフレームワークが有効です。このフレームワークを実践することで、企業のパフォーマンスがアップします。
・Empower 
知識の最先端を行くこと、安全圏をとびだすこと(社員へのエンパワーを!!)

・Diversity 
多様で優秀なチームをつくること、思考の多様性を実現すること。

・Growth 
経済的な成長へのコミットメント、プロとしての成長、精神的な成長。

・Experience 
顧客体験へのこだわり。顧客体験を高めるためのチームビルディング。

著者は「デジタル・ブランディング・デザイン」の10原則を明らかにしています。
①よいデザインは革新的であり、実行可能なものである。
②よいデザインは有用な製品をつくるという目的から生まれる。
③よいデザインは美的であり、価値を創造する。
④よいデザインはブランドと製品をわかりやすくする。
⑤よいデザインはブランドパーソナリティと製品ユーザビリティのバランスをとる。
⑥よいデザインは誠実なブランドと透明性の高い製品から生まれる。
⑦よいデザインは拡張と進化の可能性をもつ。
⑧よいデザインはブランド戦略、製品戦略から、細部に至るまで手を抜かない。
⑨よいデザインはあなたにとっても環境にとってもやさしい。
⑩よいデザインは差別化とシンプルさを追求する。

リーダーはこの10の原則を実践することで、顧客から支持されるようになります。デジタル・ブランディングを推進し、UI、UXなどの顧客体験を高めることが企業の成長に欠かせなくなっています。


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