人生格差はこれで決まる 働き方の損益分岐点 (木暮太一)の書評

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人生格差はこれで決まる 働き方の損益分岐点
木暮太一
講談社

人生格差はこれで決まる 働き方の損益分岐点の要約

給料を高めたいと考える際に、自己内利益を赤字にしないことが、自分を疲弊させない秘訣です。自分のスキルを高めながら、仕事の満足度と精神的な豊かさの両方を追求することが重要です。表面的な成功や経済的な利益だけでなく、自分自身の幸福感や生活の質を高めることを意識しましょう。

企業に搾取されない働き方とは?

総労働時間 = 必要労働時間 + 剰余労働時間(木暮太一)

総労働時間は、必要労働時間と剰余労働時間の合計です。企業は、労働者に働かせることによって、支払った費用以上の価値を生み出すことができます。つまり、利益を上げることができるのです。

労働者が1日に働く時間全体(総労働時間)の中で、どれだけが自分の生活を支えるために(必要労働時間)、そしてどれだけが企業のために余分に働いているか(剰余労働時間)を示しています。この剰余労働時間が多いほど、企業にとってはより多くの剰余価値が生まれ、その分、利益が大きくなります。

多くの労働者は資本主義の構造を理解せずに、自分の労働力の「使用価値」でお金を稼ごうとします。労働力の使用価値は、労働者のスキルや時間が企業にもたらす利益のことを指します。企業にとっての最大のメリットは、この労働力を活用して更なる利益を生み出すことです。自分の能力を高める努力をせずに、時間と労力を使う労働者は、企業にとっての使用価値の高い労働者で、低い報酬で企業に搾取されてしまいます。

一方、「価値」が高い労働者は、自分の能力を向上させることで、市場からの需要が高くなり、その結果として高給を得られたり、待遇がよくなる可能性が高まります。

労働者が自分の能力を高めることによって、企業にとっても労働者にとっても利益が生まれることを理解することが重要です。労働者は自己投資を行い、自分の能力を高めることで、よりよい未来を築くことができるようになります。

では、どうしたら、価値が高い社員になれるのでしょうか?

自分自身に毎日問うべきなのは、「資産を作る仕事を、今日はどれだけやったか?」という質問です。

まず、時間を味方につけ、自分のに労働力の価値を積み上げていくことです。変化に適応するための学びを継続し、他者への貢献を考えることが重要です。自分の資産を作るための資産が積み上がることで、生産性が高まり、その時間を使って、さらに自己投資に時間を使えるようになります。

10年努力を続ければ、自分の人生を豊かにできると著者は指摘します。私もこの書評ブログを13年間継続していますが、インプットとアウトプットを続けるうちに自分の能力を高めることができました。

自分の未来を明るくする正しい働き方とは?

ビジネスパーソンの利益は年収・昇進から得られる満足感−労力などの必要経費=自己内利益

労働における「自己内利益」は、単に収入の額だけでなく、その仕事をすることで得られる内面的な満足感や自由度を意味します。たとえ高い年収が得られる仕事であっても、それが自分の時間や幸福を犠牲にするものなら、真の意味での利益とは言えません。

目指すべきは、金銭的な報酬だけでなく、精神的な充実や自己実現を含む「自己内利益」を高める働き方です。例えば、「100万円が欲しいか?」という質問に対して多くの人は「はい」と答えますが、「100万円の代わりに1年間自由を奪われること」には同意しません。

これは、100万円を手にすることがもたらす喜びよりも、1年間の自由を失うコストの方が大きいと感じるからです。結局のところ、金銭を超えた価値を重視することで「自己内利益」を増やし、より豊かな人生を送ることが大切です。

「自己内利益」が赤字になる働き方はやめることが重要なのです。

働く上で得る給料の額だけが全てではありません。もっと大切なのは、仕事を通じて感じる満足感や成長、自由などの「自己内利益」が、プラスであること、そしてその価値が時間とともに増していくことです。高い収入を得たとしても、それが自分の幸福や満足につながらないのであれば、その労働は本当の意味での価値を生んでいるとは言えないでしょう。

年収アップを目指すことは決して簡単なことではありません。例えば、年収800万円の人が年収を1000万円に増やそうとする場合、それは単に数字上の25%増というだけでなく、実際には遥かに多くの労力と時間、そしてプライベートの犠牲を伴います。残業や苦手な業務に打ち込むことで、やっとの思いで得られる昇給は、得られる満足感が時間と共に薄れていく「慣れ」の影響を受けます。

また、給与を上げることで、コストという損益分岐点が高止まりします。増えた労働量やプレッシャーはそう簡単には慣れるものではありません。長時間労働のストレスは持続し、精神的な負担となって人を疲弊させます。結果として、仮に昇給しても、それに伴う苦労やストレスが続く限り、真の満足や幸福感は遠ざかる一方です。

重要なのは、給料の額面だけでなく、その背後にある労働の質と自己実現にも目を向けることです。自分の労働と生活のバランスを見直し、持続可能な仕事のやり方を模索することが、長期的な満足と幸福に繋がるでしょう。

仕事を選ぶ際には、給料だけでなく、仕事が自分の内面的な豊かさにどのように貢献するかを考えるべきです。結局のところ、真の満足とは内面から湧き出るものであり、それが正の方向に向かっているかどうかが、仕事の本当の価値を決定づけるのです。

では、どうすれば、「自己内利益」を増やすことができるようになるのでしょうか?
それには2つの方法があります。
①満足感を変えずに、必要経費を下げる方法→世間相場よりストレスを感じない職場を選ぶ。
②必要経費を変えずに満足感を上げる方法→労働力の価値を使って稼ぐ。能力の土台を積み上げ、その土台の上でジャンプする。

著者は自分の働き方を変えるために、編集力を身につけるべきだと言います。

わたしたちがこれから身につけなければいけないのは、技術や知識ではありません。それはもう十分持っています。新しく取り入れるべきは、「編集力」です。

編集力とは、単なる文章の校閲能力を超えた、情報やアイディアを相手が必要とする形に変える能力を意味します。私たちは様々な「素材」を持っていますが、その素材を状況に応じて、相手が望む内容に加工することが重要です。これは特にコミュニケーションにおいて価値があります。相手の要求や文脈を理解し、提供する情報やアイディアを最適化することが、現代社会において重要なスキルである編集力なのです。

現在の職場に留まるか、独立を選ぶかに関わらず、自己内利益を最優先に置くとが疲弊しない秘訣です。自分のスキルを高めながら、仕事の満足度と精神的な豊かさの両方を追求することが重要です。表面的な成功や経済的な利益だけでなく、自分自身の幸福感や生活の質を高めることを意識したいものです。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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