脱常識の儲かる仕組み: チェンジ・ザ・ルール! (岸良裕司)の書評

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脱常識の儲かる仕組み: チェンジ・ザ・ルール!
岸良裕司
Independently published

脱常識の儲かる仕組み: チェンジ・ザ・ルール! (岸良裕司)の要約

物事の新しい可能性を模索するためには、固定観念にとらわれずに視点を変えることが重要です。逆境や大きな問題に直面した時には、自身の見方や信念を問い直すことが成長につながります。ボトルネックは全体のパフォーマンスを抑制する要因であり、これに集中して解決することで全体の業績を向上させることができます。

部分最適ではビジネスが成功しない理由

モノゴトの見方を変えるという単純なことで、不可能に思えるようなパラダイムシフトを実現する。そして、問題が大きければ大きいほど、逆境であればあるほど、得られる成果は飛躍的に大きくなるのだ。(岸良裕司)

物事の見方を変える、これは単純なようでいて、実は深い意味を持つ行為です。日常ではさまざまな問題や課題にぶつかりますが、それらを乗り越えるには新しい視点や考え方が必要です。物事を違う角度から見ることによって、新たな解決策や可能性が明らかになります。

特に、大きな問題や逆境に直面したとき、その重要性はさらに増します。難しい状況ほど、従来のやり方を超えた柔軟な思考や行動が求められるのです。逆境をチャンスとみなし、新たな挑戦をすることで、予想外の大きな成果を得ることができます。

物事の見方を変えることは、新しい可能性を開く第一歩になります。常に一つの視点や考え方に固執していると、新しい発見や成長は難しいと考えるようにしましょう。

逆境や大きな問題に直面したときこそ、自分自身に問いかけることが求められます。自分の見方や信念を見直すことで、前進する力を得られます。

このスキルは、自己成長や問題解決において非常に重要です。日々の生活で新しい課題に直面した際には、自分の視点を変えてみることをお勧めします。これによって、新たな展開や成果を得ることができるでしょう。柔軟な発想を持ち続け、逆境をチャンスとみなすことで、自分の成長と成功への道を開くことができます。

TOC理論(Theory of Constraints・制約条件の理論)は、全体最適を実現するために、たった一つのボトルネックに焦点を当て、改善をはかります。

ボトルネックとは、全体のパフォーマンスを制約する要因のことであり、その制約に集中することで全体のパフォーマンスを向上させることができます。このようなアプローチを取ることで、効率的な業務改善が可能となります。TOC理論では、ボトルネックを特定し、その制約を最適化することで全体のパフォーマンスを最大化します。

この考え方は、エリヤフ・ゴールドラット氏によって1980年代に提唱され、TOC=制約理論として知られています。制約を見つけ、それに集中することが全体最適を実現する鍵となります。 TOC理論は、業務改善のための手法として広く活用されており、特に5段階集中プロセスや思考プロセスといったフレームワークが代表的です。

①制約を特定する
システム内で成果を最も制限している要素(物理的または非物理的なもの)を見つけ出します。

②制約を活用する
制約を最大限に活用するための戦略を立て、制約の影響を受けない部分ではなく、制約の部分にリソースや労力を集中させます。

③制約を克服する
制約を減少させるか、完全に取り除く方法を見つけます。これはプロセスの再設計や新しい資源の追加によって実現されることがあります。

④制約が他に移動した場合は、プロセスを繰り返す
一つの制約を取り除くと、システムの別の部分が新たなボトルネックになる可能性があります。絶えず、新たな制約を特定し、同じプロセスを繰り返します。

⑤改善に対する慣行を維持する
システムが常に最適な状態に保たれるように、改善への取り組みを持続的に行います。

Win-Winの発想でパラダイムシフトを起こそう!

生産達成率が99%と101%では、どちらが良いかという問いに対して、多くの人は101%の達成を目指すのが普通だと考えるかもしれません。しかし、101%というのは、工場においては目標を超えて生産してしまうことを意味します。

これは、必要以上の原材料を購入し、余分な商品を生産してしまうことを意味し、結果として会社の利益を損ない、財政を圧迫する可能性を高めます。さらには、その余分な商品が市場に出回ることで、過剰在庫となり、価格競争を引き起こす可能性があります。

たとえば、余った商品が一つでも値下げされてネット上で売られると、他の小売店も価格を下げざるを得なくなります。これは、市場全体の価格を下げ、メーカーの主な顧客である小売店の利益率を低下させることにつながります。小売店は利益を得るために商売をしているので、利益率の低下は望ましい状況ではありません。

生産現場が良かれと思って行った行動が、市場での価格低下を引き起こし、思わぬ悪影響を及ぼすこともあるのです。このような因果関係を理解し、明示することは非常に重要です。なぜなら、生産する側にも予期せぬ結果を招く可能性があるからです。

過剰在庫と在庫不足も常識から脱することで、売上と利益を劇的に上げられると著者は言います。

小売業の立場になって、本当に大切なものは何かを考える。それは、在庫回転率を上げること。なぜなら、在庫回転率を上げると、投資対効果(ROI)が向上し、在庫に縛られていたキャッシュが解放され、資金繰りが改善され、財務的な体質がよくなるからだ。それを実現するために、商品だけではなく、需要連動生産のオペレーションもビジネスの武器にすればよいのだ。

小売業界では、在庫回転率の向上が極めて重要です。在庫回転率が高いということは、商品が素早く売れるということであり、それに伴い売上も増加します。これは企業にとって大きな利点であり、経営において欠かせない要素と言えます。

在庫回転率を向上させることは、企業の財務状況を改善し、持続可能な成長を実現するために不可欠なステップです。 在庫回転率を高めるためには、商品の需要を正確に把握し、それに応じて生産量を調整することが重要です。

需要連動生産のオペレーションは、市場の実際の需要に基づいて生産活動を調整する手法です。このアプローチでは、需要予測、生産計画の調整、柔軟な生産システムの導入、在庫管理、そして連続的な改善の5つの主要ステップにより、過剰生産を避け、在庫コストを削減し、顧客ニーズに迅速に応えることを目指します。これにより、企業は過剰在庫のリスクを減らし、顧客満足度を向上させ、市場の変化に迅速に対応し、より効率的で柔軟な生産体制を構築できます。

この需要連動生産のオペレーションを導入することによって、在庫を適切に管理し、不必要な在庫を削減することができます。これは在庫コストの削減や効率的な生産を実現し、企業の競争力を向上させる効果を持ちます。

さらに、在庫回転率の向上は、財務面においても大きな影響を及ぼします。多くの在庫を抱えていると、その分だけ資金が在庫に束縛され、資金繰りが悪化するリスクがあります。しかし、在庫回転率が高いと、在庫が迅速に売れるため、キャッシュフローが向上し、企業の財務安定性が高まります。

これは投資対効果の向上につながり、結果的に企業価値の向上にも寄与します。 小売業者は、在庫回転率の重要性を理解し、需要連動生産のオペレーションを積極的に取り入れることで、業績の向上や財務面での安定を図るべきです。

在庫回転率の向上は、小売業における成長戦略の一環として非常に重要であり、この実現によって持続可能なビジネス展開が可能となります。メーカーが小売側の視点を理解し、双方にとって有益なWin-Winの関係を築くためには、このような視点からの提案が求められます。

私たちはビジネスで部分的最適な罠に陥っていますが、それが必ずしも望ましい結果を生むとは限りません。成功には周りとの協力が必要不可欠であり、この協力を基盤とした評価が重要です。しかし、協力を損ねるような評価尺度である部分最適を採用すると、良い成果を出すチャンスを損なうだけでなく、内部競争によってエネルギーを浪費し、本来の目標を見失うリスクが高まってしまうのです。

パラダイムシフトは、仮定を変えることだけ。本当にシンプルなことだ。しかし、簡単なことではない。長年親しんだ慣習、慣行を再度見直し、その背景にある仮定を一つひとつ検証し、考え方を変えて、そして、その新しい仮定の数々の上で私たちの新しい行動を実践するということなのだ。

パラダイムシフトとは、根本的な前提や考え方を変えることですが、これは単純ながらも容易ではありません。これには、長年の慣習を見直し、背景の仮定を検証し、新しい考え方に基づいて行動を変えることを含みます。

このプロセスは、ビジネス、テクノロジー、社会の各分野で不可欠で、従来の方法がもはや効果的でない時に特に重要です。パラダイムシフトを成功させるには、固定観念にとらわれず、新しい視点で物事を見る柔軟性が必要です。これにより、変化する環境に適応し、革新的な解決策を見つけ出すことができます。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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