レベッカ・ヘンダーソンの資本主義の再構築 公正で持続可能な世界をどう実現するかの書評


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資本主義の再構築 公正で持続可能な世界をどう実現するか
著者:レベッカ・ヘンダーソン
出版社:日本経済新聞出版

本書の要約

企業と政府の姿勢を変えることで、環境破壊や経済格差などの社会問題を解決できます。共有価値の創造」
「目的・存在意義(パーパス)主導型の組織を構築する」「金融の回路の見直し」「協力体制をつくる」
「社会の仕組みを創り変え、政府を立て直す」を組み合わせることで、多くの問題を抱える資本主義を再構築できます。

なぜ、資本主義を再構築する必要があるのか?

ひたすら利益だけを重視する姿勢が、地球とそこに暮らす人々すべての未来を危険にさらしているのだ。(レベッカ・ヘンダーソン)

大規模な環境破壊、経済格差、信頼できる社会的な仕組みの崩壊など現代社会は多くの問題を抱えていますが、資本主義はその解決策を示せずにいます。

ハーバード大教授のレベッカ・ヘンダーソンは、今直面している問題を解決するには、長期的にはゲームのルールを変える必要があると言います。著者は過去15年間、環境問題や社会問題の解決に取り組む企業と共に仕事をしてきました。企業は世界を変えるうえで大きな役割を持っていますが、多くの企業はそれを果たしていません。しかし、地球をよくすることを目的にし、経営を行うことで、経済的なメリットを得られるようになります。

現状の課題を洗い出し、資本主義を創り直すことができなければ、誰もが著しく貧しくなってしまいます。 気候変動や格差といった問題は、国家の助けがあってこそ取り組むことができます。私たちは社会の仕組みを再構築し、市場と政府のバランスを取り戻さなければなりません。

著者は5つの要素を組み合わせることで、資本主義を再構築できると言います。
1、共有価値の創造
2、目的・存在意義(パーパス)主導型の組織を構築する
3、金融の回路の見直し
4、協力体制をつくる
5、社会の仕組みを創り変え、政府を立て直す

共有価値の創造やパーパス経営を実施し、システムのコンポーネンツの関係の組み合わせを変えるアーキテクチュラル・イノベーションを採用することで、企業は以下の3つの果実を手に入れられます。
①アーキテクチュラル・イノベーションを認識し、対応することで、共有価値の創造をテコに、大きな競争優位が得られます。茶葉の価格を上げ、自社の価値を高めたリプトン(ユニリーバ)やサスティナブル経営にシフトしたウォルマートのケーススタディを見れば、アーキテクチュラル・イノベーションが正しいことがわかります。

②変化を追い風にできる企業競争相手に先駆けて投資する勇気、まったく違う方法で市場にアプローチするために技術や人材に投資する勇気をもった企業は、多額のリターンを刈り取れる可能性が高まります。

③利益最大化を超える明快な「目的」をもった企業すなわち、企業の存在意義は株主を豊かにすることではなく、社会のためになる良い商品やサービスをつくることだということが明確に理解されている企業こそが、変革を主導できる勇気とスキルをもつ企業なのです。

資本主義を再構築するための6つのステップ

変革を確実に遂行するには、全社の共通目的(シェアード・パーパス)を組織に定着させることが肝要だ。共通目的があれば、組織全員が使命を共有し、同じ方向を向く。個人がばらばらに目標を目指すのではなく、組織が一丸となって目標の達成を目指す。何より重要なのは、共通目的を掲げることで、昔ながらの企業に創造性や推進力、興奮が生まれ、新しいことに挑戦できるようになる。

目的意識の高い企業で働く従業員は、従来型企業の従業員に比べて、生産性も幸福度も創造性も大幅に高くなります。従業員は会社の目的に共感することで、積極的に社会のことを考えるようになり、メンバーぞれぞれが自分の行動を変えていきます。

アーキテクチュラル・イノベーションは目的を共有し、お互いを信頼し、意見をやりとりする場から生まれます。ミッションと、仕事の性格の見直しの組み合わせが、創造性やコミットメント、エネルギーを引き出して、熾烈な競争社会で目的主導型企業が生き残ることを可能にし、資本主義を再構築するために必要なイノベーションを加速させるのです。

ナイキやユニリーバなどの巨大企業は数千のサプライヤーと取引し、何百万という顧客を抱えています。彼らが従業員の待遇改善や、環境問題への取り組みを訴えれば、数百万の人々に影響を与えられます。共有価値の追求は、他社への影響を通じて大きなインパクトをもたらします。

変化を起こすためには、以下の6つのステップを踏むことです。
①自分自身の目的・存在意識(パーパス)を発見する
②今、何かやる
③仕事に自分の価値観を持ち込む
④政府で働く
⑤政治を動かす
⑥自分自身を大切にして、喜びを見つける

一人ひとりが正しい選択をし、小さな行動を始め、それを広げることで、企業や政府を動かせます。社会問題や環境問題を改善する企業の製品やサービスを購入することが、よりよい社会をつくる一歩になるのです。地球とそこに暮らす人々すべての未来を明るくするために、正しいことを推進する企業を応援しましょう。

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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