経営者がCSV(Creating Shared Value)を意識すべき理由。経営改革大全 企業を壊す100の誤解の書評

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経営改革大全 企業を壊す100の誤解
名和高司
日経BP

本書の要約

以前は利益を追求することと社会的価値の創出は、相いれないものだと考えられてきました。しかし、現在では顧客価値を高め、企業の利益を追求しながら、社会的価値を追求する企業が、顧客から支持されるようになっています。CSVの実践こそが競争力の源泉で、ここに投資することで競争優位性を発揮できるのです。

将来価値(NFV)がなぜ重要なのか?

非連続な環境変化のもとでは、これまでの延長線上に答えはない。安定にしがみつくこと自体が、最大のリスクとなる。新たな可能性に向けて、リスクをとってチャレンジし続けることなくして、現状維持どころか、生き残ることすら危うい。(名和高司)

VUCAの時代に、経営者が現状維持を選択することが、リスクをもたらします。変化に適応し、新たなチャレンジしなければ、成長は期待できません。今安定しているように見える会社ほど、将来に大きなリスクを抱えています。  

従業員の立場からみても、働きやすい会社で働くほど、実は過酷な未来が待ち構えていると著者は指摘します。たとえその会社がなんとか生き延びたとしても、従業員は成長できません。人財を育てるためには、パーパス(志)を示し、世の中に価値を提供し続ける必要があります。

エン・ジャパンの越智通勝会長、企業の人材活用度の指標として「人間成長」CareerSelectAbilityというキーワードを使います。従業員が自分の能力を高めることによって、さらにチャレンジングな仕事を選択できるようになるのです。

社員を徹底的にチャレンジさせ、その可能性を最大限引き出すことこそ、経営者の責務なのです。結果、社会に貢献できる人財が育ち、企業が成長するのです。ファーストリテイリングなどの成長企業は、従業員1人ひとりが切磋琢磨することによって、さらに高いレベルのチャレンジができる仕組みが整備されています。

若い世代だけでなく、CareerSelectAbilityのないシニア世代も、変化に適応し、自分の価値を高める努力を続けるます。企業だけでなく、従業員も現在価値(NPV)ではなく将来価値(NFV)を重視すべきです。ミドル世代が会社にしがみつくのではなく、自らの価値を高め、企業と自らのパーパスを実現するために、努力を重ねることで、豊かな社会を実現できます。自分の価値をアップすることで、転職や起業の可能性も高まります。

CSV(Creating Shared Value)モデルで競争優位性を発揮しよう!

君は長時間働くことも、ハードに働くことも、スマートに働くこともできるだろう。しかしアマゾン・ドッ ト・コムでは、この3つのうちの2つだけ選ぶということはできない。(ジェフ・ベゾス)

アマゾンでは、Work hard, Have fun, Make history!という行動原理が浸透してます。元CEOのジェフ・ベゾスは『君は長時間働くことも、ハードに働くことも、スマートに働くこともできるだろう。しかしアマゾン・ドッ ト・コムでは、この3つのうちの2つだけ選ぶということはできない』と述べ、自分のスキルを高めることを徹底すべきだと指摘します。

多くのメンバーがパーパスを実現するために、自らの価値を提供することで、企業は成長します。顧客がSDGsなその社会性を重視することで、経営の在り方が問われています。

マイケル・ポーター教授はCSV(Creating Shared Value)モデルで、顧客と企業の関係を解き明かします。CSVは、企業が社会課題や問題に取り組むことで社会的価値を創造し、その結果、経済的な価値も創造されることを意味します。企業が社会課題の解決に対応することで、経済的価値と社会的価値をともに創造しようとするアプローチが競争優位性に有効であるとマイケル・ポーターは説いています。

Google、IBM、ネスレ、フィリップス、ダノンなど一部のグローバル企業では、社会性と企業業績にプラスの相関があると考え、CSVへの取り組みを積極的に行なっています。

以前は利益を追求することと社会的価値の創出は、相いれないものだと考えられてきました。しかし、現在では顧客価値を高め、企業の利益を追求しながら、社会的価値を追求する企業が、顧客から支持されるようになっています。CSVの実践こそが競争力の源泉で、ここに投資することで競争優位性を発揮できるのです。

20世紀のように、自社の利益にばかり意識を向け、環境や社会を殼損することは許されなくなっています。本業を通じて環境や社会をより良くし、その結果、経済価値を高めることが経営者に求められています。企業自身が、競争で優位に立つために社会課題を解決していくようになれば、社会はよりよくなります。そこには、なぜ企業が存在しているのか?社会から求められていることは何か?と言うパーパス(志)の視点が欠かせなくなっています。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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