経営――稲盛和夫、原点を語る
稲盛ライブラリー+ダイヤモンド社「稲盛和夫経営講演選集」
ダイヤモンド社
経営――稲盛和夫、原点を語るの要約
人生・仕事の結果は、「考え方×熱意×能力」という要素の積によって決まると稲盛和夫は述べています。人間が生まれてから死ぬまでに築き上げる人生や仕事における成果は、自身の能力に加えて、どれだけ熱意を持って取り組み、どのような考え方で進んできたかという点が重要です。
稲盛和夫の経営哲学とは?
「すばらしい人の心を求めても、自分の心がすばらしいものでなければ、決して立派な心をもつ人たちは寄ってこないだろう」という結論に至りました。(稲盛和夫)
壁に打ち当たるたびに、私は過去の経営者の言葉を読むことで勇気をもらっています。私は稲盛和夫氏の書籍を今までになんども読んできましたが、この「経営」は、稲盛和夫氏の死後に編集されたものだったため、今回初めて読みましたが、とても刺激を受けました。
この本は、1970年代から2010年代に至る稲盛和夫氏の膨大な講演から、稲盛経営論の中核となるエッセンスを抽出しています。私は今回、本書を通じて、稲盛和夫氏の経営思想と原理原則をさまざまな視点から学ぶことができました。講演録のため、話もわかりやすく、稲盛氏と対話をしているような感覚を持て、ワクワクしながら読み進めることができました。
稲盛和夫氏は二つの世界的大企業、京セラとKDDIを創業し、またJALの再生にも尽力しました。本書では、稲盛和夫氏が経営の基本として重視していた「人間力」や「信頼」といった要素が詳しく語られています。
彼は常に人間性を大切にし、社員や顧客との信頼関係を築くことを重視していました。また、挫折や困難に直面した時には、過去の経営者の言葉に励まされ、勇気を得ることができたと述べています。
稲盛氏は、素晴らしい心を持つ人々が自分に引き寄せられるためには、まず自分自身が素晴らしい心を持っていなければならないと結論づけています。信頼される心を持つことは、特に経営者にとって重要であり、それがなければ事業は成功しないと考えています。
彼は技術的、組織的な判断の基盤として「人間としてどうあるべきか」という考えを重視しています。 稲盛氏はまた、経営学の方法論だけに頼ることの危険性を指摘し、深い経営哲学を持つことの重要性を強調しています。
彼は、新しい事業を始める際には、最初から成功を信じてひたむきに取り組むことが重要だと言います。単に成功したら伸ばすという程度の願望を持っている人は成功しないとし、全身全霊を傾けた取り組みが成功につながると考えています。
彼が提唱する「プラスの考え方」には、前向きで建設的であること、協調性、明るさ、肯定的で善意に満ちた心、思いやり、真面目さ、正直さ、謙虚さ、努力家であること、利己的でなく、強欲でないこと、感謝の心を持つことなどが含まれます。
これに対して「マイナスの考え方」は、否定的で非協調的、暗く、悪意に満ちた、傲慢で怠け者、不平不満が多いといった特徴を持っています。 稲盛氏は、日々の反省を通じてプラスの考え方を持ち続けることが、「人生・仕事の方程式」の結果を最大化する鍵であると信じています。彼の経営哲学や人生哲学は、これらのプラスの考え方に基づいていると述べています。
「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」。
経営の要諦は、「フィロソフィ」に尽きる。企業内で経営哲学を確立し、それを経営者はもとより、全従業員で共有し、実践することで、必ずや企業は成長発展を遂げていく。「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」。
経営の要諦は、「フィロソフィ」に尽きると稲盛氏は述べています。企業が成長し発展するためには、経営哲学を確立し、経営者だけでなく全従業員で共有し、実践することが必要です。
人生・仕事の結果は、「考え方×熱意×能力」という要素の積によって決まると稲盛和夫は述べています。人間が生まれてから死ぬまでに築き上げる人生や仕事における成果は、自身の能力に加えて、どれだけ熱意を持って取り組み、どのような考え方で進んできたかという点が重要です。
考え方は人の哲学や価値観を指します。個々人が持つ考え方は多様であり、企業内でも異なる価値観を持つ人々が存在します。しかし、経営哲学を確立することで、企業全体の方向性や目標を共有し、一体感を生み出すことができます。 熱意は人の情熱や意欲を指します。
経営哲学を共有し実践することで、従業員は自らの仕事に対して情熱を持ち、やりがいを感じることができます。また、経営者自身も熱意を持って経営に取り組むことで、従業員にもその熱意が伝わります。 能力は人のスキルや知識を指します。経営哲学を実践するためには、経営者や従業員が必要な能力を持っていることが重要です。
また、経営者は従業員の能力を活かすための適切な配置や育成を行う必要があります。 経営哲学を確立し、全従業員で共有し、実践することで、企業は成長発展を遂げることができます。経営者は自らの哲学を持ち、その信念を変えることなく、周りに流されることなく前進していく必要があります。
経営には単なる経済的な視点だけでなく、哲学的な視点も必要です。経営哲学を確立することで、企業は社会的な価値を生み出し、持続可能な成長を遂げることができます。経営者や従業員は自らの考え方、熱意、能力を磨き、経営哲学を実践することで、より良い未来を築いていくことができるのです。
人生・仕事の結果は、「能力」に加えて、どのくらい「熱意」をもって取り組んだか、どういう「考え方」で仕事に向かってきたか、3つの要素の積だ。
能力があるだけでは、努力を怠って結果を出すことはできません。一方で、能力が低くても時間を味方にし、情熱を持って仕事に取り組むことで成長できるのです。
朝から晩まで働くことはばからしいと考え、刹那的に生きる人の熱意は30点です。このような人は能力があまり高くなくても、熱意を持って努力することで5400点という高得点を獲得できます。
一方で、能力が90点あるにも関わらず、懸命に働くことを嫌い、熱意が30点しかない人は2700点と、その半分の得点にとどまります。
したがって、人生や仕事の結果を良い方向に導くためには、能力だけでなく熱意も重要であり、考え方も大きな影響を持つことが分かります。自身の能力を高めるために努力し、熱意を持って取り組むことが重要です。
JALの経営破綻からの再生には、稲盛和夫氏のフィロソフィ経営が大きく貢献しました。このフィロソフィは社員の心に深く根ざし、会社全体が一丸となって困難を乗り越える力を生み出したのです。
特に、今年1月2日の羽田での事故対応では、JALの社員が迅速かつ安全を最優先に行動し、事故を無事故で収束させたことが、フィロソフィの効果を象徴しています。 この事例から、フィロソフィ経営が経営陣だけではなく、全社員に浸透し実行されることの重要性が浮き彫りになります。組織全体が一つの目標に向かって進むためには、全員が経営理念を共有し、それに基づいて行動することが不可欠です。
JALの成功は、フィロソフィ経営がただの効率的な手法に留まらず、社員一人ひとりの力を引き出し、組織全体を強化することを証明しています。この経営哲学の下でのJALの今後の更なる発展が期待されます。フィロソフィ経営の重要性と効果は、JALの再生を通じて明確に示されたと言えるでしょう。
稲盛和夫氏が提唱する「人生・仕事の方程式」である「人生・仕事の結果 = 考え方 × 熱意 × 能力」は、私の日常においても深く意識し、実践していきたいと感じています。この方程式を通じて、考え方の重要性、情熱の持ち方、そして自身の能力を最大限に活用することの大切さを再認識しました。この方程式を日々の生活に取り入れることで、より充実した人生と成功した仕事につながることを確信しています。
コメント