High road capitalismに移行しなければいけない3つの理由

日本は人口が急速に減り、遠くない将来、人口大国ではなくなります。人口が減るので、人口増加要因による経済成長はなくなります。それどころか、日本の人口減少は他に類のない大きさとスピードになると予測されているので、世界一人口増加による経済成長要因のない先進国となるのです。(デービッド・アトキンソン)

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これからの日本がGDPを目標にしてはいけない理由

デービッド・アトキンソン日本人の勝算書評ブログを続けます。超人口減少社会の時代を生きる日本人は、過去の目標に縛られないようにすべきです。日本では今後、GDP総額やGDP成長率を政策目標にしてはいけません。国民の所得水準や生活水準、生産性を政策目標の中核にして、経済の中身で勝負すべきだと著者は指摘します。

GDP総額は「人口×生産性」であるのですから、人口が減って、生産性が高まらなければ、GDP総額は間違いなく減ります。もっとも深刻な問題は、生産年齢人口が大幅に減ってしまう反面、65歳以上の高齢者の数が減らないことです。65歳以上でも仕事を続ける人はいるので、すべてが無職になるわけではありませんが、少なからぬ割合の人が離職します。今後、日本ではこのシルバー層の大量の失業者が発生します。日本は無職者大国になることが避けられないのです。

超高齢者層の年金や医療費などの社会保障費の源泉はGDP総額なので、GDPが減ると社会保障費の支払いに支障をきたすことになります。将来の生産年齢人口の生産性が今のままだと仮定し、現状の社会保障額を横ばいのまま推移させたとしても、64歳以下の人の収入に対する社会保障の負担率は、2015年の36.8%から2060年に64.1%になります。

私たちはこの重い負担に耐えられるわけがありません。この負のスパイラルを抜け出すためには、生産年齢層の生産性を高めるしか解決方法はありません。

人口が減っても、現行の1200兆円の国の借金は残り続けるという課題も国民に重くのしかかります。日本のGDPに対する借金の比率の高さは今でもすでに世界一です。人口が減った場合、GDPを維持するために生産性を上げないと、仮に国の借金が今以上には増えないとしても、借金の対GDP比率は今の2倍以上に膨らんでしまうのです。年金も払えなくなり、医療費の負担もできなくなるなどこのまま放置プレーを続けると、日本は間違いなく破綻します。

人口減少・高齢化による総需要減少を、賃上げによって相殺する!

日本でGDPを減らすのは自殺行為です。だから結局、何をどう検討しても、人口減少・高齢化による総需要減少を、賃上げによって相殺するしかないのです。それには生産性を向上させるしかありません。

経済を縮小し、GDPを減らせばよいという議論がおきますが、それは間違っています。日本には、付加価値を高めていく以外の選択肢はないのです。

World economic forumのランキングでは、日本の労働者の質は世界第4位にランクされています。一方、生産性を見ると、こちらは世界第28位と言う低い水準になります。

人材の質が高いのでいいものを作っているのですが、価格が安いために生産性が低くなるのです。生産性が低いということは当然、所得水準も低くなります。実際、ここまで人材評価と所得水準が乖離している先進国は日本以外にはありません。ほとんどの国では、人材の評価と所得水準は一致しています。 相関係数は 0. 8 0にものぼります。

日本の生産性は 1990年に世界第10位でしたので 、このときにはまだ高生産性・高所得経済でした。しかし、今は第28位に下がっています。日本社会は低付加価値・低所得経済に完全にシフトしてしまったのです。人口増加が減少に転じるというパラダイムシフトが起きた以上、経営者は賃下げから賃上げへと、そのパラダイムを転換しなければなりません。賃下げ戦略をとっている日本の経営者は、国益に逆行しているのです。

High road capitalism(高生産性・高所得資本主義)に日本が移行すべき3つの理由
1、社会保障制度の維持と充実のために、生産性を高めなくてはならない
2、国の借金の問題を解消するために、生産性向上が不可欠である
3、経済を成長させるためには、どの先進国より高い生産性向上を実現する必要がある

日本政府が、企業に賃上げ戦略への転換を求めなければなりません。しかし多くの経営者は、目先の利益ばかりを考え、賃上げ戦略を先延ばししています。このまま市場原理に任せてしまうと、日本経済の行く末は真っ暗です。これを避けるためにいますぐ政府は政策をHigh road capitalism、すなわち高生産性・高所得資本主義に転換し、企業を賢く主導する必要があるというのが本書の考えです。

悲しいことに日本の賃金は世界で大きく取り残されています。過去20年間の時給をみると日本は9%減り、主要国で唯一のマイナスというのが現状です。経営者側が国際競争力の維持を理由に賃金を抑えてきたため、世界の負け組になっています。低賃金を温存するから、生産性の低い仕事の効率化が進まないのです。「貧者のサイクル」を抜け出すために、政府と経済界は今すぐ賃上げ戦略にシフトすべきです。

まとめ

人口減少社会の日本はm国民の所得水準や生活水準、生産性を政策目標の中核にして、経済の中身で勝負すべきだとデービッド・アトキンソンは指摘します。「貧者のサイクル」を抜け出すために、政府と経済界は国民の給与を見直し、今すぐ賃上げ戦略にシフトすべきです。

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