「いい判断」をするために大切な3つのこと
「過去の失敗に学ぶ」「善人を登用する」「戯言に耳を貸さない」(出口治明)
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リーダーが「いい判断」をするために大切な3つのこと
出口治明氏の座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」の中に、リーダーが「いい判断」をするために大切な3つのことが紹介されています。唐の太宗である李世民と諫議大夫の楮遂良の会話から、出口氏はリーダーにとって、大切な3つのことを説いています。
李世民は楮遂良に、「あなたは、君主の言動を記録する役割も兼ねている。私が行っていることの善悪も記録しているか」と尋ねました。楮遂良は、「史官の記録には、君主の挙動をすべて書き記してあります。善事だけでなく、過失も含め、包み隠さずに記録しています」と返事をしました。
楮遂良の返事を受け、太宗は次のように言いました。
太宗曰く、朕、今、勤めて三事を行ふ。亦、史官が吾が悪を書せざらんことを望む。一には則ち前代の敗事に鑑み、以て元亀と為す。二には則ち善人を進用し、共に正道を成す。三には則ち群小を斥け棄て、護言を聴かず。吾能く之を守り、終に転ぜざるなり、と。
太宗は、「史官(歴史の編さんや文書の記録をする役人)が私のことを悪く書かないことを望む」と自分の気持ちを正直に告白しています。太宗は、自分が纂奪者であり、マイナスからスタートしていることを自覚していました。彼は評判を守り、後世に名を残すために、自分の行動を律していたのです。悪口を書かれないために、日々、部下の諫言を聞き、正道を成していました。
過去のリーダーの失敗に学ぶ!
太宗は、悪く書かれないようにするために、3つのことを実践していると楮遂良に述べています。
①過去の皇帝の失敗から学ぶこと
②善良な人や行いの正しい人とともに、道義的に正しい道を歩むこと
③取るに足らない人たちは退けて、嘘、告げ口、悪口は聞かないこと
先日、三鏡のことを書きましたが、太宗は、「歴史の鏡」をもって、過去の事例から学ぶことを特に意識していました。三鏡とは、銅の鏡、歴史の鏡、人の鏡の3つを指し、リーダーはこれら3つの鏡を持たなければいけないという教えです。
・鏡に自分を映し、元気で明るく楽しい顔をしているかチェックする(銅の鏡)
・過去の出来事しか将来を予想する教材がないので、歴史を学ぶ(歴史の鏡)
・部下の厳しい直言や諫言を受け入れる(人の鏡)
先人の成功体験ではなく、失敗体験から学ぶことがとても重要です。歴史を見ればすぐわかることですが、人間は、同じ失敗をなんども繰り返しています。先人の失敗を学ぶことで、自分が失敗するリスクを減らせます。
正しい人と付き合う、良い人脈を持つことがリーダーには欠かせません。噂話や与太話を聞いていると、優秀なリーダーも判断を間違えます。正しい政治をするためには、善人をそばに置き、閣議を設け、みんなで一緒に議論をすることが大切です。
部下も上司に言いたいことがあるのなら、堂々と意見を述べる必要があります。情報はすべてオープンにし、議論すべきだと太宗は考えていました。オープンな組織をつくり、オープンな議論の上で組織の進むべき道を決めるのが、公正な組織のあり方です。
リーダーと特定の部下が、ヒソヒソ話を好んでいるかぎり、正しい判断を下すことはできません。「善人を進用し、共に正道を成す」「群小を斥け棄て、護言を聴かず」という太宗は考えることで、「フラットでオープンな組織」をつくれたのです。その結果、太宗の時代に唐は最強な国家として、繁栄することができました。
まとめ
リーダーが的確な判断をくだすために必要なことが3つあります。①過去の皇帝の失敗から学ぶこと。②善良な人や行いの正しい人とともに、道義的に正しい道を歩むこと。③取るに足らない人たちは退けて、嘘、告げ口、悪口は聞かないこと。これを実践することで、「フラットでオープンな組織」をつくれます。
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