Future of Work 人と組織の論点(コーン・フェリー・ジャパン)の書評

person reading book

Future of Work 人と組織の論点
コーン・フェリー・ジャパン
日本経済新聞出版

本書の要約

テクノロジーなどの有形資産に投資したからといっても人的資本への投資を怠ると長期的な成功は望めません。人的資本の生み出す価値は技術投投資のそれを上回り、新たな企業文化を創出します。それらをリードしていく「ソフトスキル」が、これからの企業価値最大化の最も大切なものになっています。

経営者は新たな組織をどう構築すべきか?

創造力、高いEI(エモーショナル・インテリジェンス、感情的知性)、社交性、交渉力を持つ人材が強く求められている。(釼持祥夫)

AIやロボティクスのテクノロジーが私たちの働き方に大きな影響を及ぼし、人材のミスマッチが起こっています。
時代が多く変化する中で、業務・専門性において大きなギャップが生まれています。 特にDX人材の不足が続いています。

現代のような変化の激しい時代に、経営者は優秀な人材を確保し、彼らの力を引き出す必要があります。そのために経営・人事政策を今の時代にフィットした形にシフトすべきです。

世界最大規模の組織・人事コンサルティング会社コーン・フェリーは、本書で 新時代の「人と組織の論点」を提言しています。

同社の調査では、67%の企業が、短期の成果を出すことが優先されていて、人材への長期的投資ができないと回答しています。人材への投資には長期計画が必要ですが、58%の経営者が、自身の任期の短さを理由に、これらに優先順位を与えることが難しいとしています。多くの企業は即戦力の転職組に頼ることになりますが、DXやAIなどのIT部門の人材の獲得コストは高騰し、多くの企業で人材のミスマッチが続いています。

AIなどの新しい技術を活かすためには、それを活かせる人材が必要になります。DXを行おうとすれば、業務フローを見直した上で、新しいテクノロジーを採用する必要があります。テクノロジーを採用するだけでなく、業務フローを改善したり、人事政策を変更しなければ、結果を出せなくなっています。

当然、さまざまな課題を解決するためには、経営陣も変わらなければなりません。

人材不足がさらに深刻なのが、これからの時代に求められる経営人材である。経営人材は獲得にも育成にも時間がかかる。そのため、人材計画の最重要課題として、これからの経営に求められる経営人材の再定義と、その候補者の特定および育成が何よりも大切な経営施策になる。

社内の人材を抜擢する場合には、企業文化などの共通認識があり、コミュニケーションコストが下がりますが、外部の人材の採用を採用するためには、外社内に馴染んで活躍するためのプロセス(オンボーディング)、外部人材の定着のための施策が重要になります。

人的資本が重要な理由

正しく環境を整え、その能力を発揮する場を提供することで、人は時として期待以上の頑張りによって成果をより高く生み出し、その成果に刺激を受けた周りの人がさらに成果を出していくことを期待できる。

テクノロジーだけでなく、人的資本の拡充も求められています。人が経験を積み、成熟していくことで共感力を磨き、周りの人々を触発することで新たな価値をさらに生み出すことができるようになります。 

経営者は単に技術に投資するのではなく、人的資本の持つ価値を最大限に生かし、そして技術の力を引き出す人を集めるべきです。現在、そして将来に必要とされる正しい人材を惹きつけ、活躍の場を提供することが重要になっています。

しかし、コーン・フェリーの実施した調査によると、経営者の人的資本への投資への期待値は低くなっています。67%のCEOは技術が人的資産よりも高い成果をもたらすとしており、63%が将来の競争力を生み出すと答えています。人的資本は将来価値実現のための足かせであるとし、44%ものリーダーたちがロボットオートメーション、AIの活用への積極的な投資を考えていたのです。

テクノロジーなどの有形資産に投資したからといっても人的資本への投資を怠ると長期的な成功は望めません。人的資本の生み出す価値は技術投投資のそれを上回り、新たな企業文化を創出します。それらをリードしていく「ソフトスキル」が、これからの企業価値最大化の最も大切なものになっています。

パフォーマンスを改善し、将来の仕事の価値を生み出していくためには、まず経営者がその視点を大きく変えていく必要がある。人的資本が生み出す価値を正しく認識し、投資の配分や経営判断を改めて見直す必要がある。この修正を実現することにより、技術と人の組み合わせによるパフォーマンス最大化を実現し、新たな価値を生み出すことができる。

単に技術の選択するのではなく、技術と人とのパートナーシップを目指すべきです。多くの経営者は人材をコストとして扱うことにより、将来価値の創造のプロセスにおいて、将来のハイパフォーマンスチームをつくる努力を怠っています。

人材は優秀なパフォーマンスをつくり出すための最も重要な要素であり、ここに対する投資を今こそ強化すべきです。テクノロジーだけではなく、人的資本の価値を経営者は見直す必要があります。



 

 

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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