最強のアイデアのためのHMW(How might we)の質問フレームワーク。スタンフォードの人気教授が教える 「使える」アイデアを「無限に」生み出す方法の書評

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スタンフォードの人気教授が教える 「使える」アイデアを「無限に」生み出す方法
ジェレミー・アトリー, ペリー・クレバーン他
KADOKAWA

本書の要約

アイデアを生み出すためには、好奇心を刺激するHMV(How Might We)の質問が非常に重要です。新しいアイデアが浮かんだら、それに関連する新たな質問を追加していくようにしましょう。これらのアプローチを組み合わせながら、様々な質問を用意することで素晴らしいアイデアが浮かぶようになります。

アイデア出しに、HMWのフレームワークを活用しよう!

いい枠組みのほとんどすべてが、同じように始まる。「私たちはどうしたら……できるか?」。このHMW(How might we)の質問は、議論の焦点を維持したまま、たくさんの探求を可能にする。(ジェレミー・アトリー, ペリー・クレバーン)

スタンフォードの人気教授が教える 「使える」アイデアを「無限に」生み出す方法(ジェレミー・アトリーペリー・クレバーン)書評を続けます。

HMW(How might we?)とは、デザイン思考におけるブレインストーミング手法です。問題や課題に対して「私たちはどうしたら~できるだろうか?」という質問を投げかけることで、解決策のアイデアを生み出します。 HMWフレームワークのメリットは、次のとおりです。

・解決策の幅が広がる。
「How can we~?」や「How should we~?」などの質問では、実現可能性や妥当性を意識してしまい、解決策の幅が狭まってしまうことがあります。一方で、HMWフレームワークでは、実現可能性や妥当性にとらわれずに、自由な発想で解決策のアイデアを生み出すことができます。

・議論の焦点を維持できる。
「How might we~?」という質問は、問題や課題に焦点を当てた質問です。これにより、議論が脱線したり、議論のテーマがブレたりすることを防ぐことができます。

・共通認識を醸成できる。
HMWフレームワークで生み出したアイデアを共有することで、チームメンバー間で共通認識を醸成することができます。これにより、チームメンバーが協力して解決策を実現しやすくなります。

たとえば、「私たちはどうしたら、滴り落ちないアイスクリームコーンを作ることができるでしょうか?」という質問に対して、HMWフレームワークが効果的です。

・的を絞った質問。
「私たちはどうしたら、新世代のためにデザートを新たに考案できるでしょうか?」という質問ではなく、「私たちはどうしたら、滴り落ちないアイスクリームコーンを作ることができるでしょうか?」という質問をしてください。具体的な質問は、より具体的な解決策を生み出します。

・大雑把な質問ではなく、より具体的な質問。
「私たちはどうしたら、新世代のためにデザートを新たに考案できるでしょうか?」という大雑把な質問ではなく、「私たちはどうしたら、より楽しく、より創造的なデザートを作ることができるでしょうか?」という具体的な質問をします。具体的にの質問を考えることで、より革新的な解決策を生み出します。

・現実的にする。
「私たちはどうしたら、魔法のようにアイスクリームコーンから滴り落ちないアイスクリームを作ることができるでしょうか?」という質問ではなく、「私たちはどうしたら、コーン全体にコーティングを施してアイスクリームが滴り落ちないようにすることができるでしょうか?」という質問をします。現実的な質問は、より実現可能な解決策を生み出します。

あまりにも早く物事を限定してしまうと、最高のアイデアを棚上げしてしまう危険がある。HMWの質問は、アイデア創造のプロセスにおいて、 あなたの活力を持続させ、発散的な思考を刺激する。アイデアフローを安定した状態に維持するために、 構築し、探求し、廃棄する習慣を身につけるべきだ。採掘すべき別の金脈を表している。ほとんどがすぐに枯渇するが、なかには驚くほど深く豊かなものもある。実際に掘りはじめるまでは、 枠組みをそれぞれの枠組み(質問)は、まったくわからない。

アイデアを生み出すプロセスでは、HMW(How might we)の質問を使用して、発散的な思考を促進することが重要です。アイデアが流れ続けるようにするには、アイデアを構築、探索、そして破棄する習慣をつけることが重要です。

HMWの質問は、別の金鉱を表しています。ほとんどの金鉱はすぐに枯渇しますが、中には驚くほど豊かな金鉱もあります。どの金鉱が豊かであるかを判断する唯一の方法は、掘り始めることです。 したがって、アイデアを生み出すプロセスでは、好奇心を持ち、オープンマインドであることが重要です。

すべてのアイデアを検討し、どのアイデアが最も有望かを判断するために時間をかけてください。最高のアイデアはしばしば予想外のものであるため、可能性を狭めないでください。

HMVのフレームワークを組み合わせよう!

HMWフレームワークは、問題解決やイノベーション創出に役立つ強力なツールです。著者のHMVのフレームワークを紹介します。

①スケール
「パワーズ・オブ・テン」という有名な短編映画では、チャールズ&レイのイームズ夫妻が1組の男女が湖でピクニックを楽しむ様子から始まり、湖を取り囲む公園、シカゴの街、地球、太陽系と、次第にズームアウトしていきます。最終的には宇宙全体の規模まで広がります。この映画はスケールの変化によって全てが変わることを示しています。

大きな構図と小さな構図が常に存在し、それぞれのスケールが他の倍率では見えない独特なものを明らかにするのです。 もしも私たちが一つの小さな面に焦点を当てるとしたら、問題にはどのような変化が起きるでしょうか?そして、枠組みを広げて周囲の状況を含めると、何が起こるのでしょうか?スケールを操作することで、より多くのアイデアが生まれる可能性があります。

②品質
品質に関する最初の洞察を取り入れ、それを強化することで問題解決にアプローチする方法があります。また、安く、速く、不完全な取り組みを提案するような質問を探求することも有益です。意図的に「悪い」アイデアを見つけることで、完璧主義的な傾向を和らげることができます。

アメリカのハードロックバンド、エアロスミスは毎週、「最悪な」ミーティングを行っています。バンドメンバーは、意図的にひどいと思われるアイデアを持ち寄ります。結果は時にはひどいものになるかもしれませんが、時には大ヒットとなる曲が生まれることもあります。もしもそのミーティングに価値がなかったら、長く続けられるでしょうか?

同様に、シカゴに本拠を置く伝説的な即興コメディ劇団、セカンド・シティは、普段は行わないようなアイデアのために1日を使う「タブーの日」を設けています。即興コメディアンたちは奇抜で高価で非現実的なアイデアを提案し、舞台で成功することもあればしないこともあります。

セカンド・シティのリーダー、ケリー・レオナルドは、「間違った」アイデアを意図的に提案する試みが、豊かで役立つ素材をもたらすと述べています。したがって、品質のつまみを上げるか下げるかしてみましょう。どちらに動かしても、義務感を弱めて、愚かで奇妙で驚くべきアイデアや奇抜なアイデアを受け入れるのです。そうすることで、最悪なことが起こる可能性について考えることができます。 

③感情
孤独や恐怖などの負の感情だけでなく、幸福や喜びといったプラスの感情も含めて、すべての感情を考慮しましょう。また、あなたがその状況にふさわしいと思う感情の反対側につまみを調整してみてください。この簡単な操作によって、驚くほど多くの新たな方向が開けることがあります。

④利害関係
状況における利害関係を考慮し、それに対する視点を一新するために、利害のつまみを上げたり下げたりしてみましょう。時には、些細な特徴が深い意味を持っていることがあります。また、最も深刻な状況でも、軽さや明るさを見つけることができるかもしれません。

⑤期待
問題について、あなたが当然だと考えていることは何でしょうか?それとは異なる視点を持ち、期待とは逆のリストを作成しましょう。そして、それぞれの前提を正反対のものと入れ替えることで、斬新なアイデアを生み出すことができます。

⑥類似性の類推
類似性の類推は、創造性の最も強力なツールの一つです。試してみるべき良い類推を行うためには、意図した結果に向けてアプローチすることが重要です。例えば、アイスクリームを速く作りたい場合、「速さを必要とするのは誰か、あるいは何か?」と考えます。また、顧客を喜ばせたい場合、「人を喜ばせるのは誰か、あるいは何か?」と問いかけます。

私たちの脳は、このように新しい問題を解決しています。なじみのあるテーマに基づいて理解を活用し、外見上は異なるものに取り組んでいます。たとえば、高校のフットボールで学んだ教訓をチームをビジネスに応用したり、ナポレオンの戦場での戦略を製品の発売に導入したりするかもしれません。

意識的に行う場合も無意識に行う場合も、私たちは観察を通じて本質を抽出し、それが他の領域にどのように適用できるかを考えているのです。

 

アイデア出しのための私の質問リスト

アイデアを考案する際に質問を組み合わせることは、創造的な思考を促進する効果的な方法です。以下に、私が普段行っているアイデア出しのために質問リストを紹介します。

・多角的な視点での質問: 同じテーマに関して、異なる視点から質問を組み合わせましょう。例えば、現在の問題や課題に対して経済的な視点、社会的な視点、環境的な視点など、様々な側面からアプローチする質問を用意します。

・逆の視点での質問: 逆の視点から質問を組み合わせることで、従来のアプローチとは異なるアイデアを引き出すことができます。例えば、「逆の結果を期待するとしたら、どのような質問をするだろうか?」と考えてみます。

・比較・対比の質問: 異なる概念や要素を比較・対比する質問を組み合わせることで、新たな発見やアイデアを生み出すことができます。例えば、「AとBの違いは何か?」「Aの良い点と悪い点は何か?」などの質問を用意します。

・時間的な視点の質問: 過去、現在、未来の視点から質問を組み合わせることで、アイデアの発展や変化を考えることができます。例えば、「このアイデアは将来的にどのように進化するか?」や「過去の成功例から何を学べるか?」などの質問を検討します。

・細分化と統合の質問: 大きなテーマや問題を細分化し、個々の要素や側面に焦点を当てる質問を用意します。また、逆に個々の要素や側面を統合して考える質問も組み合わせます。これにより、細部に着目しつつ全体像も見渡せるようになります。

・オープンエンドの質問: 特定の答えにとらわれず、オープンエンドな質問を組み合わせることで、自由な発想を促すことができます。オープンエンドの質問は、制約や既存の思考パターンにとらわれずにアイデアを自由に広げるために重要です。例えば、「これを改善するためにできることは何か?」や「この問題に対して異なるアプローチはありますか?」といった質問を考えます。

・感性や感情に関連する質問: アイデアは単なる合理的な考えだけでなく、感性や感情にも触れることがあります。感性や感情に関連する質問を組み合わせることで、創造性や情熱につながるアイデアを引き出すことができます。例えば、「このアイデアは人々の心に響く要素を持っているか?」や「このアイデアが人々に喜びや感動を与える可能性はあるか?」などの質問を検討します。

・質問のレベルの変化: 質問のレベルを変化させることで、アイデアの掘り下げや広がりを生み出すことができます。具体的な質問から抽象的な質問へ、または逆に抽象的な質問から具体的な質問へとレベルを変えることで、新たな視点やアイデアが浮かび上がることがあります。

・持続的な質問のフロー: アイデアの創造プロセスにおいては、連続的に質問を生成し続けることが重要です。一度に多くの質問を用意しておくことで、アイデアのフローを長く持続させることができます。

また、新しいアイデアが浮かんだら、それに関連する新たな質問を追加していくことも大切です。 アイデア出しの際には、これらの考え方を組み合わせながら、多様な質問を用意することが重要です。質問の組み合わせによって、探求すべき可能性や新たなアイデアが引き出され、創造的な思考を促進することができます。 

アイデアを生み出すには、好奇心を刺激するHMVの質問が重要です。しかし、それはアイデア創出の一面でしかないことを忘れてはなりません。さまざまなインプットを取り入れて、アイデアの幅を広げることも求められます。

新しいアイデア、新しいアプローチ、新しいテクノロジーに触れることで、これまでとはまったく異なるアイデアを思いつくことができます。 常に同じインプットを取り入れていると、アイデアは予想される既知の範囲内にとどまってしまいます。ですから、新しいことを試したり、新しい経験にオープンになったりして、アイデア創出に活力を与えましょう。


 

 

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