優秀な人材を採用するための究極の質問。TALENT——「人材」を見極める科学的なアプローチの書評

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TALENT——「人材」を見極める科学的なアプローチ
タイラー・コーエン、 ダニエル・グロス
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)

本書の要約

採用面接時には、一般的な質問だけでは相手の本質を見極めるのは難しいことがあります。なぜなら、相手はあらかじめ予想される答えを用意している可能性があるからです。そのため、相手の真の能力や才能を発見するには、予期せぬ質問をすることが重要で、それに時間を使うべきです。

面接時に相手の能力や才能を見出す質問とは?

どんなに突っ込んだ厳しい質問をしても、革新的な回答を返しつづけられたとしたら、その候補者は仕事に活用できる幅広い知識とエネルギーを持っている証拠だ。(タイラー・コーエン、 ダニエル・グロス)

TALENT——「人材」を見極める科学的なアプローチ書評を続けます。採用面接時には、ありきたりな質問では相手の本質を見抜くことは難しい場合があります。相手が予め答えを用意している可能性があるためです。そのため、相手の本当の能力や才能を発見するためには、準備していない質問をすることが重要です。

準備していない質問は、候補者の創造力や問題解決能力、柔軟性などを評価するための有効な手段です。具体的な経験や過去の成果に頼らず、候補者の思考プロセスや意見形成のスキルを探ることができます。

著者らはストーリーを引き出すだけでなく、比較的興味深い回答を得られる質問を紹介しています。 
・「今朝は何をして過ごしましたか?」
・「あなたがこれまで訪れた中で、一番人里離れた場所はどこですか?」
・「これまでの人生で、どんなおかしなこと、または変わったことをしましたか?」
・「推薦者に私が電話したら、どんなことを話してくれると思いますか?」
・「完ぺきなNetflixがあるとしたら、あなたにどんな映画を勧めると思いますか?それはどうしてですか?」
・「現在の会社の同僚とあなたはどう違うと思いますか?」
・「あなたが熱心に、ほとんど理不尽なほど支持している考えはどんな考えですか?」・「この面接のためにどのような準備をしましたか?」
・「どのサブレディツト(Redditのフォーラム)やプログ、オンライン・コミュニティを楽しんでいますか?」
・「どんなマ二アックなことをしていますか?」

想定外の質問に対して、長い沈黙の後に関連性のない答えが返ってくることはあります。しかしこれは実は素晴らしい兆候です。なぜなら、候補者が回答を用意しておらず、考える時間を必要としていることを示しているからです。また、候補者が緊張している可能性も考えられますので、無関係な話をする前に考える時間を与えることが重要です。

長い沈黙が生じる場合、候補者には追加の説明や具体的な例を求めることもできます。これによって、彼らがどのような思考プロセスを経ているのかをより詳しく知ることができます。候補者に自信を持って回答できるまでの時間を与えることで、彼らが真剣に考え、適切な答えを出す可能性が高まります。

採用面接は候補者の能力や適性を正確に評価するためのものですが、緊張や思考のプレッシャーが回答に影響することもあります。そのため、候補者に対して適切な環境を提供し、リラックスして考える時間を与えることが重要です。その結果、彼らの本当の能力や才能をより正確に見極めることができるでしょう。

優秀な人材を見抜く質問とは?

ほとんどの人は、言葉遣いが上品で雄弁な人々を高く評価しがちだ。このことを常に念頭に置いておくこと。でないと、口は達者だが実力のない人物を採用し、貴重な創造的才能のある人を見落としてしまうかもしれない。雄弁さを過大評価してはならない。それよりも、質問に対する回答の内容と質に注目しよう。

人材を採用する際には、言葉遣いや雄弁さだけでなく、質問に対する回答の内容と質に注目することが大切です。また、候補者の話をよく聞き、質問をかわそうとしたら、もう一度同じ質問をしましょう。質問に答えて候補者がストーリーを語るのを聞くときは、独自の言い回しを使っているか、自分で新しい表現をつくっているか、基本的な概念を一般的な方法とは異なる方法で説明しているか、発話に独特なリズムのパターンがあるか、独自の世界観を生みだしているかに注目しましょう。

ファウンダーやCXOなど高度に生産的な知能を持った人材を探しているのであれば、自己表現能力や言語の創造性を重視することは重要であり、有利な特性と言えるでしょう。なぜなら、真にクリエイティブでカリスマ性があり、生産性の高い人材は、限られた数の一握りの中にしか存在しないからです。彼らは何か大きな成果を生み出す能力を持っている可能性があります。

このような人材を見つけることができれば、彼らはイノベーションを促進し、新たなアイデアや解決策を生み出すことが期待できます。彼らは既存の枠組みにとらわれず、独自の視点やアプローチを持っており、困難な課題にも果敢に取り組むことができるでしょう。

また、優秀な人達の言語の創造性は、コミュニケーションやプレゼンテーションにおいても大きなアドバンテージとなります。彼らは自分のアイデアやビジョンを的確かつ魅力的に伝える能力を持っているため、他者を引きつけ、協力者や投資家を獲得してくれます。

総じて言えば、自己表現能力や言語の創造性を持つ人材は、革新的な環境で活躍し、ビジネスや組織を次のレベルに導くことができる可能性を秘めています。そういう人材を見つけることができれば、大きな成果を生み出す可能性があると言えるでしょう。

面接は、候補者が普段の自分になるような環境で行うことで、より良い評価をすることができます。たとえば、カフェやレストラン、公園など、面接室とは違う場所で面接を行うと、候補者は緊張をほぐして、自然な自分を表現しやすくなります。また、面接官も、候補者の普段の姿を見て、より良い判断をすることができます。

以下の質問によって、相手の能力や才能を明らかにできると著者らは指摘します。
・「配偶者やパートナー、 友人があなたを10語で説明するとしたら、何と言うでしょう。」
・「これまでにしたことの中で最も勇敢な行動は何ですか?」
・「もしあなたが当社に就職して、その3~6カ月後に退職したとしたら、その原因は何だと思いますか?」または、5年後に退職した場合についても質問して、2つの回答の違いを比べよう。
・「子どものころ、何をするのが好きでしたか?」この質問をすると、候補者が社会に翻弄される前のことを思い出し、本当に好きなことが何かわかる。
・「前職で高く評価されていたと思いますか?評価されていないと一番感じたのはどんなときですか?」

感情を抑えきれない人や、否定的な言葉を多用する候補者には注意が必要です。これらの候補者は、将来トラブルを起こしたり、職場でうまく協力できなかったりする可能性があります。 前職で嫌な経験をしたのは本人のせいではないとしても、その経験からどの程度立ち直れているかを評価する必要があります。

管理職やファウンダーの面接をしている場合は、革新的で気難しいタイプを探しているので、他の職種よりも大目に見てかまいません。ただし、口が災いすることもあるため、注意が必要です。 罵り言葉や「嫌い」という言葉を多用したり、自分が傷ついた経験や、批判が正当化できるか否か、またその理由について延々と話したりする場合は注意が必要です。これらの候補者は、職場で問題を起こす可能性が高いです。

また、著者らは以下の2つのメタ質問によって、より優秀な人を採用できるようになっています。
①あなたが信じていることの中で、一番間違っている可能性が高いことは何ですか?
この質問は、応募者の思考プロセスと、自分の信念について疑問を持ち、批判的に考える能力を評価するためのものです。応募者が自分の信念を明確に説明でき、その信念を裏付ける根拠を示すことができるかどうかを確認できます。また、応募者が自分の信念を変更する準備ができているかどうか、そして新しい情報を受け入れることができるかどうかも知ることができます。

②この面接はどのくらいうまくいっていると思いますか?
この質問は、応募者の自己認識と、面接の状況を客観的に評価する能力を評価するためのものです。応募者が自分のパフォーマンスを明確に評価でき、自分の強みと弱点を特定することができるかどうかを確認します。また、応募者が面接の状況を改善するために何ができるかについて、建設的な提案ができるかどうかも明らかになります。

著者らの質問は、応募者の思考プロセス、自己認識、そして批判的思考能力を評価するためのものです。これらの能力は、すべての職種において重要な能力であり、面接官は応募者のこれらの能力を評価することで、応募者が自社に適した人材かどうかを判断することができます。

これらの予期せぬ質問に、冷静に、建設的に答えられる候補者を採用することが大切だというアドバイスを信じ、優秀な人材を採用するようにしましょう。


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