考える力をつける本 (畑村洋太郎)の書評

silhouette of man and woman sitting on rock near body of water during sunset

考える力をつける本
畑村洋太郎
講談社

考える力をつける本 (畑村洋太郎)の要約

「考える力」は、まわりの状況を自分なりに分析し、進むべき方向を自分の頭で考え、自分で決める力を指します。「タネ出しから括り図、思考関連図、課題決定、思考展開」というステップで、アイデアが形になっていきます。さらに精度を高めるために「仮説立証」を繰り返すことで、考える力が身につきます。

考える力が必要な理由

私の定義では「考える力」とは、「まわりの状況を自分なりに分析して、進むべき方向を自分の頭で考え、自分で決める力」のことです。また、自分で決めるだけでなく、実行するのも、基本は自分です。ちなみにその先には、自分で考えて決めて実行した結果に対する責任は自分自身が負う、ということも含まれます。ここで大切なのは、「自分で」という部分です。(畑村洋太郎)

本書は、失敗学や創造学の創始者である畑村洋太郎氏によって執筆されました。知的生産において重要なのは、自ら行動して観察し、アイデアを形にすることです。日常の中で準備をし、ちょっとした心がけを持つことで、考える力を養うことができます。(畑村洋太郎氏の関連記事

「考える力」は、まわりの状況を自分なりに分析し、進むべき方向を自分の頭で考え、自分で決める力を指します。さらに、決めたことを自分で実行し、その結果に対する責任も自分自身が負うことが重要です。自己決定と責任がキーポイントです。

現代は急速に変化する環境で、個人や企業は自分で考え、行動し、責任を取る能力を身につけるべきです。VUCAという不確実性の時代に正しい戦略を立てる必要があり、「正解のない問題に対し、自分たちが最善と考える答えを見つける」姿勢が求められます。この時代に必要なキーワードは「アジャイル(俊敏な行動)」と「レジリエンス(回復力)」だと著書は指摘します。

考える力を養うためには、自分で考え、自分の道を切り拓くことが大切で、過去の方法では限界があると認識しましょう。この時代は未知の道を進むことが多く、不確実性が高いため、過去の経験に頼るのではなく、考える力が鍵になっています。その際、必要なのが、アジャイルとレジリエンスなのです。

アクティブ・ラーニングと出力型学習は、自分の頭で考え、知識を獲得し行動することに焦点を当てています。アクティブ・ラーニングは、知識を積極的に獲得するために行動することを指し、出力型学習は、行動を通じて考える際に自分の頭の中にある知識を表出させることに注目しています。

ただし、これらの方法を使って個別の問題や課題に対処しても、大きな問題を解決することはできません。大きな問題を解決するには、個別の課題に対処しながら、全体の状況を変えるための効果的な計画が必要です。この計画をまとめるためには「統合力」が必要です。

統合力を身につけるためには、個別の問題に対処するだけでなく、全体の状況を把握し、効果的な計画を立てる能力が必要です。これは、実際の現場での経験や実践を通じて培われるものです。今後は、アクティブ・ラーニングや出力型学習のような能動的な学びだけでなく、統合力を育む教育も重要となるでしょう。

アイデアを実現するためのステップとは?

「考えをつくる」作業においては、タネ出し、要素の構造化、全体構造の形成などのさまざまな工程が必要です。まずは、必要な要素(タネ)を自分の頭の中から出してみましょう。このステップを本書では「要素の摘出」もしくは「タネ出し」と言っています。この作業では、自分の頭の中にあるアイディアや情報を引き出し、考えの基礎をつくります。

次に、それらの要素を組み合わせて、ある構造をつくります。この作業は「要素の構造化」と言っています。要素を組み合わせることで、新しいアイデアや考えが生まれます。また、この際につくられる構造は一つではなく複数存在します。

異なる構造を試してみることで、より多角的な視点から問題や課題を考えることができます。 そして、そうしてできた複数の構造をさらにつなげて、それらを包含する全体構造をつくり上げます。これによって、考えの体系や全体像が形成されます。この作業によって、個々の要素や構造が一体となり、より大局的な視点から問題を捉えることができます。

また、この作業を通じて、課題抽出や思考展開図の活用も行われます。 思考展開図は、考えを整理し、論理的に展開するための有力なツールです。思考展開図を用いることで、考えの流れや関係性を視覚化し、より明確な論理展開が可能となります。

また、逆走対策を行うことで、考えに矛盾や抜けの部分がないかを確認し、より完成度の高い考えをつくることができます。 考えをつくる作業は、単なる思考だけでなく、論理的な組み立てや整理が求められます。これからの時代には、情報が溢れる中で自分の考えを持ち、それを論理的に説明できる能力が重要とされます。

「タネ出しから括り図、思考関連図、課題決定、思考展開」というステップで、アイデアが形になっていきます。さらに精度を高めるために「仮説立証」を繰り返します。

考える際には、「三現」(現地、現物、現人)を活用することが重要です。これは直接現場に足を運び、物事を実際に見たり触れたりし、関係者から話を聞く方法です。手間がかかるかもしれませんが、考えを形成する上で最適な方法と考えられます。

同時に「五つの窓」(人、モノ、カネ、時間、気)を考慮しながら、アイデアを検証します。これらは社会の事象を構成する要素であり、アイデアの実現性を評価するのに役立ちます。 

考える力を鍛えるためには、タネ出しや構造化、思考展開図の活用などの方法を繰り返し行うことが必要です。 頭の中で考えるだけでなく、考えを具体的な形にする作業は、創造性や問題解決能力を向上させる上で欠かせません。自分の頭で考える力を養い、論理的な展開や整理を行うことで、より深い洞察や新たなアイディアを生み出すことができるでしょう。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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