アドレスフリーという働き方 なぜ「好きな場所」で仕事をすると成果が上がるのか (浦聖治)の書評

アドレスフリーという働き方 なぜ「好きな場所」で仕事をすると成果が上がるのか
浦聖治
光文社

アドレスフリーという働き方 (浦聖治)の要約

クオリティソフトはアドレスフリーな働き方を採用し、社員のモチベーションと生産性を高めています。自由な環境で働くことで、社員は自分の能力を最大限発揮し、クリエイティブなアイデアを生み出せるようになったのです。同社は多様性と地域とのつながり、オープン志向、未来志向によって、イノベーションを実現しています。

パーパス経営を実践するクオリティソフト

お金で釣られる時代から、ワクワクに魅了される時代へ。(浦聖治)

現代の若者は、企業のブランドや給料よりも、その企業のパーパスや経営理念を重視する傾向にあります。クオリティソフトのCEOの浦聖治氏は、わかりやすい言葉とワクワク感を使って、この新しい働き方の変化を説明します。著者の会社では、多様な働き方の選択肢を提供し、従業員が自分に合った働き方を選べると言います。

その一つが「アドレスフリー」です。アドレスフリーとは、固定された職場を持たず、好きな場所で仕事をするスタイルを指します。この働き方は、時間や場所にとらわれない自由さを提供し、精神的な自由も促進します。クオリティソフトでは、コロナ禍におけるリモートワークの普及より前からアドレスフリーを推進していました。

アドレスフリーこそが、あなたのワクワクを最大化し、仕事を通して夢を叶えるワークスタイルといっていいでしょう。

クオリティソフトの本社は和歌山県の南紀白浜に位置しており、そのオフィスはビーチの前に広がる広大な敷地にあります。私も一度訪れたことがありますが、その魅力的な環境に感動しました。 オフィスにいる社員たちは皆笑顔で、楽しみながらビジネスに取り組んでいます。

また、クオリティソフトには長野県松本、宮城県仙台、東京、名古屋、大阪にもオフィスがあります。社員は自分のライフスタイルに応じて、働く場所を選ぶことができます。実際、ビーチや山、都会といった選択肢を与えることで、社員の幸福度が高まったと言います。

クオリティソフトはアドレスフリーという働き方を早くから実践しており、その結果、社員たちのモチベーションや生産性に良い影響を与えています。自由な環境で働くことで、社員たちは自身の能力を最大限に発揮することができ、クリエイティブなアイデアを生み出しているのです。

さらに、クオリティソフトのオフィスは地域に根ざした活動にも取り組んでいます。例えば、南紀白浜のビーチ清掃活動や地元の子供たちへのIT教育支援などです。これにより、社員たちは地域とのつながりを深め、社会貢献の意識も高めています。

クオリティソフトの働き方は、社員の幸福度や生産性を向上させるだけでなく、地域との関わりも大切にしています。これからも、クオリティソフトは社員の成長と社会への貢献を重視し、さらなる発展を遂げることでしょう。

アドレスフリーという働き方がもたらすこと

地域活性化に貢献すること、そして誰もやっていないことに挑戦することが、めぐりめぐって社員の幸せにもつながっているのです。

著者の浦氏は「ワクワクする会社がやっている7つのルール」を明らかにしています。
・ルール1  地域の幸せに貢献する
・ルール2 外部の人ともワイガヤする
・ルール3 多様な人から「本音」を聞く
・ルール4 世界の最先端と臆せずつながる
・ルール5 担当外のことに果貢に挑戦する
・ルール6 未来思考を徹底する
・ルール7 社内を地域に開放する

実際、地域の人が集まる多様性とつながり、オープン志向、未来志向がクオリティソフトの強みになっています。この7つのルールを実践することで、同社はイノベーションを起こせるようになったのです。

クオリティソフトは地域との関わりを大切にしています。和歌山県に本社を移転したことで、地域に貢献し、教育や人材育成にも力を入れています。知事や地域の経済界、研究者との交流が活発になったと言います。

さらに、同社は近隣の湯浅町との包括連携協定を締結し、「マジカブランカ」というオンライン会議システムを活用し、湯浅町の小学校をつないだ遠隔合同授業の実証実験を行いました。全国の過疎地域で子どもの数が減少し、廃校の危機に瀕している学校が多い中、クオリティソフトは「学び舎の灯を消さない」という理念のもと、地域の教育支援にも取り組んでいます。

アドレスフリーを進めるには、この課題を解消しなければなりません。 つまり、「エンドポイント・エンパワーメント」が不可欠です。 エンドポイントは端末、エンパワーメントは一人ひとりが力を発揮できるようにすることです。

クオリティソフトのビジネスは、エンドポイントから始まったと言います。エンドポイントとは、パソコンやサーバーなどのIT機器のことを指します。同社の主力製品であるKeyServerは、アプリケーションに鍵をかけるためのツールです。これはまさにエンドポイント管理のためのツールであり、他の企業では真似できない同社の強みになっています。

同社ではセキュリティをはじめとするIT資産管理にとどまらず、エンドポイント・エンパワーメントを実現するシステムづくりに取り組んでいます。結果、アドレスフリーの働き方が普及し、仕事をよりワクワクなものに変え、生産性を高めることができているのです。

同社はザ・クラウドカンパニーを目指しています。仕事をクラウド化することで、社員はどこにいても働け、必要に応じて海や山、街など好きな場所にあるオフィスで同僚と交流することができます。

集まる場所は快適であることが重視され、白浜本社、松本、仙台のオフィスも快適さに配慮されているとのこと。このような夢のような働き方が可能なのは、クラウド技術のおかげなのです。

浦氏はこのブログでもお馴染みのアダム・グラントギバーの成功法則J・D・クランボルツの「計画的偶発性理論」を実践しています。

私も常にギブファーストで、お金はあとから付いてくると考えています。「場」を提供して、横でお話を聞かせていただくだけでラッキーだという姿勢でいます。時間と場所を提供すれば、お客さんが来てくれて、本音をしゃべってくれる。ギブファーストだからこそ、返ってくるものも大きいのです。

グラントによると、ギバーは最も成功することもあれば、成功から遠ざかることもあります。ギブを習慣化することで、より良い関係やチャンスに巡り合う可能性が高まります。

クランボルツ博士は成功には「好奇心」とそれに向き合う「持続力」が不可欠だと言います。また、好奇心を持って日々の行動に取り組むことが、成功への道を切り開きます。さらに、「楽観性」を持ち、自分の能力や考え方を信じて、前向きに可能性を追求することが重要です。

安定や防御に留まらず、新たな挑戦を恐れずに「チャレンジ」することも求められます。そして、アンラーニングやオープンマインドを保つ「柔軟性」を発揮することで、新しいチャンスや可能性を発見できます。

・好奇心(Curiosity):新しい学びの機会を模索する
・持続性(Persistence):たとえ失敗しても努力し続ける
・楽観性(Optimism):新しい機会は実行でき達成できるものと考える
・柔軟性(Flexibility):姿勢や状況を変えることを進んで取り入れる
・冒険心(Risk-taking):結果がどうなる分からない場合でも行動することを恐れない

クオリティソフトは、地域との関わりや社員の働き方に注力しながら、イノベーションを生み出す環境を築いています。アドレスフリーな働き方は、成果を上げる上での重要な要素として位置づけられています。

浦氏はアドレスフリーという居心地の良い場所を提供することで、多様な人を集め、イノベーションを起こし、世の中に貢献しています。その根底には、他者への感謝の気持ちがあることがわかります。感謝の気持ちが経営にも重要であることを本書で再認識できました。


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