外資系データサイエンティストの知的生産術―どこへ行っても通用する人になる超基本50(山本康正,松谷恵)の書評

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外資系データサイエンティストの知的生産術―どこへ行っても通用する人になる超基本50
山本康正,松谷恵
東洋経済新報社

外資系データサイエンティストの知的生産術(山本康正,松谷恵)の要約

データサイエンティストの役割は、データを活用してビジネスの成長や課題解決に貢献することにあります。データの背景を理解し、分析結果をわかりやすく説明することで、チームの課題解決に向けた洞察や施策を提案することが重要です。この一連の作業を繰り返し行うことで、データサイエンスの効果を最大化することができます。

データサイエンティストのIPDACのフレームワーク

データサイエンス思考は、そのエンジンとしてふさわしい役割を必ず果たしてくれるはずです。ただし、データサイエンスは思考だけにとどまりません。現実に実装してこそ、その真価が発揮されます。(山本康正,松谷恵)

著者の2人はテクノロジーの進化が加速していく現代において、データサイエンティストの知見が役に立つと言います。テクノロジーの進化によって仕事のスタイルが変わりつつある中で、多くの人が「生成AIに仕事を奪われるのではないか」と不安を抱いています。

しかし、本書は技術のアップデートよりも重要なのは、自身の思考と判断力をどのように養うかという点だと言います。変化に適応するマインドセットを身につけることが、求められています。

本書では、外資系データサイエンティストとして必要なスキルや考え方、仕事の進め方など、超基本的な50のポイントを紹介しています。現代におけるデータの重要性を理解し、データサイエンティストのマインドセットと知的生産術を身につけることで、ビジネスで優位性を発揮できるようになります。

現代社会においては、自分のキャリアを発展させるために、データサイエンス思考を取り入れることが重要です。このスキルを身につけることで、自分の理想のキャリアを実現し、ビジネスでの機会損失を最小限に抑えることが可能です。また、専門家と協力してデータサイエンスを活用することは、個人の成長と社会への貢献の両方に役立つ有益な手法です。

データサイエンスを活用することにより、リアルな実行をしなくてもバーチャルな実行による結果を考察することが可能になります。これは、過去の状況下で取得されたデータを分析することで行われます。その結果、コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスが効率化されるでしょう。 もちろん、精度には限界がありますが、コストやリスクを取ることなく課題や現状の解像度が向上します。

ビジネスの現場においては、「実験的思考×高速回転」の掛け合わせこそが、データサイエンスという実学の最大の強みなのです。

著者の2人は、IPDCAサイクルが効果を発揮すると述べています。

・ISSUE(課題)
・PLAN(計画)
・Data(データ収集)
・Analysis(データ分析)
・Conclusion(結論)

データサイエンスのプロセスは、単に一度完了するものではなく、繰り返し行うことで課題の理解が深まり、より効果的な解決策が見つかるサイクルです。

このIPDAC(課題、計画、データ収集、データ分析、結論)サイクルを何度も回すことで、ビジネスにおけるデータ分析から得られる洞察の価値を高めることができます。 しかし、データ分析能力だけでは十分ではありません。データサイエンティストには、同じく重要なコミュニケーションスキルも求められます。

データサイエンスの仕事は、現場との協力なくしては成り立たず、最先端技術を扱う職種であっても、日々の業務は基本的なコミュニケーション能力に大きく依存しています。このように、データサイエンスの効果を最大化するためには、繰り返しIPDACのサイクルを回すことと、優れたコミュニケーション能力の両方が重要なのです。

データサイエンティストには、実際の現場での協働能力が求められます。これは、現場のスタッフと共に問題を特定し、業界の実情や現場の具体的な課題を深く理解することを意味します。また、データからどのような洞察が得られる可能性があるか、どんな価値を生み出すかを具体的に把握することができます。

このような協働作業を通じて、データサイエンスの思考プロセスに基づき、初期段階からメンバー全体に目標達成に向けて効果的に作業を進めることができるのです。現場の肌感覚を忘れずに正しくデータを取り扱うことで、ビジネスで結果を出せるようになります。

データサイエンティストのインプット術とは?

最新の情報は、日々ネットで目を通しておく。 掘り下げて学びたい分野は、本を読む。 このようにリサーチと読書の2軸をつくることをルーティンにしておくと、インプットの筋力が鍛えられ、受け身ではない自律的な学びの姿勢が身についていきます。  

最新の情報は、日々ネットで目を通しておくことが重要です。ネット上では、常に最新のニュースやトレンドが発信されていますので、情報にアクセスするためにはネットが最も便利です。しかし、ただ情報を受け取るだけではなく、自分の興味がある分野については、より深く学ぶために本を読むことも大切です。

情報収集において、自分の立ち位置や目的に応じて適切な方法を見つけることが重要です。例えば、業界や職種によって最適な情報収集の方法は異なります。

また、大量のデータを収集しても、それを有効に活用するためには、分析する人の経験や知識が重要となります。情報収集は、自分の興味や目的に合わせて行い、インターネットや書籍などの異なる情報源を活用することが有益です。ただ情報を受け取るだけでなく、それを自分の経験や知識を用いて分析し、活用することが大切です。自律的な学びの姿勢を持ち、自分にとって最適な情報収集方法を模索することが、効果的な情報収集へと繋がります。

私もネットと書籍の両方にアンテナを立て、情報の深掘りをしていますが、インプットした情報が繋がることで、さまざまなビジネスのヒントが見つかります。多様な情報やデータをインプットし、それを掛け合わせることで、生産性が上がることを実感しています。

異なる年代、属性、業界の人と向き合い、フラットな対話ができる関係性を構築することは、データ活用の現場においても重要だからです。

異なる年代、属性、業界の人と向き合い、フラットな対話ができる関係性を構築することは、データ活用の現場においてもとても重要です。異なる世代との交流は、データ活用において多様な視点やアイデアを生み出し、新たな戦略やビジネスモデルの創造に貢献します。

私は10年前に広告会社を辞め、ベンチャーの社外取締役やアドバイザー、iU(情報経営イノベーション専門職大学)の特任教授になることで、10代から30代との交流が劇的に増えました。この交流を通じて、彼らからデータ活用や新たなビジネスモデルについての刺激を受けることができました。また、彼らが読むべき書籍についての情報も得ることができました。

異なる世代との交流は、私にとって非常に貴重な経験であり、自身の視野を広げることができました。例えば、若い世代の人々は最新の技術やトレンドに敏感であり、データ活用に関しても独自の視点を持っています。一方で、私は経験を積んできたことから、彼らに対してはビジネスの視点や実務的な知識を提供することができます。

このような異なる世代間の交流は、データ活用の現場においても重要な要素です。なぜなら、異なる世代の人々が集まることで、多様な視点やアイデアが生まれ、新たなビジネスモデルや戦略の創造につながるからです。

インプットの中には、自分自身に関する情報も含まれています。例えば、他人からのフィードバックや自分の行動の結果などです。これらの情報を客観的に受け止め、自分を客観視することができるようになるのは、インプットの副産物のひとつです。

数字やデータは、客観的な情報を提供してくれる有効なツールです。例えば、自分の成績や売上データなどは、主観的な意見や感情を排除して客観的な判断材料となります。これによって、自分自身を客観的に評価し、改善点や課題を見つけることができます。

自分を客観視することは、自己成長や問題解決に役立ちます。過去の行動や結果を客観的に振り返り、反省や改善点を見つけることができます。また、他人の意見やフィードバックを客観的に受け止めることも重要です。自分の主観に囚われず、客観的な視点から物事を考えることで、より良い判断や行動ができるようになります。

データサイエンティストのアウトプット術

データサイエンスのプロセスを効果的に進めるためのアウトプットの基本3ステップは、以下の通りです。
①課題の特定(何をやりたいかを考える)
まずは、自分たちが直面している課題を明確にし、必要なデータを特定し、取り組むべき点を考えます。

②データの分析(使いやすいツールを使ってデータを分析する)
次に、エクセルなどの慣れ親しんだツールを使い、実際にデータを分析します。この段階で、メモや言語化を行うことは、後での確認や効率的な分析に有効です。

③アウトプットの言語化(データからわかったことを言葉に置き換える)
分析結果を言葉に置き換え、統計の数字や観察から得られた事象を他者とのディスカッションを通じて共有します。異なる視点を持つ他者とのコミュニケーションは、理解を深める上で重要です。

データサイエンティストの役割は、データを活用してビジネスの成長や課題解決に貢献することにあります。データの背景を理解し、分析結果をわかりやすく説明することで、チームの課題解決に向けた洞察や施策を提案することが重要です。この一連の作業を繰り返し行うことで、データサイエンスの効果を最大化することができます。

データサイエンス思考を高める上では、アウトプットを積極的に行い、エラーが出るごとに、その失敗に学ぶ。データサイエンティストとしてもビジネスパーソンとしても、それが一番確実な成長の道です。

データサイエンスを効果的に活用するためには、以下のポイントが重要です。
・繰り返しのデータ分析と結果の説明
データ分析を何度も行い、その結果を明確に説明することで、洞察の質を高めます。

・比較軸を含むデータの収集
洞察を深めるためには、比較可能なデータを収集することが重要です。

・広い視野の保持
データサイエンティストは、分析や説明の技術だけでなく、ビジネスの成長や課題解決に貢献するために広い視野を持つ必要があります。

・積極的なアウトプットと学び
エラーや失敗から学び、積極的にアウトプットを行うことが、データサイエンティストとしての成長につながります。

・IPDACサイクルの継続
このサイクルを繰り返すことで、データ活用の場面で適切な視点や考え方を身につけることができます。 失敗を恐れず、積極的に実践を重ねることが、データサイエンスの効果を最大化する鍵です。

本書は非常に実践的な内容でありながら、わかりやすく2人の体験や事例が解説されています。データサイエンスの専門知識や経験がない人でも、読みやすい形で情報を得ることができます。


 

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