相談する力――一人の限界を超えるビジネススキル(山中哲男)の書評

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相談する力――一人の限界を超えるビジネススキル
山中哲男
海士の風

相談する力――一人の限界を超えるビジネススキル(山中哲男)の要約

相談する力を活用し、他人の意見を参考にすることで、新たなアイデアや視点を得ることが可能です。また、相手の意見を尊重し、協力関係を築くことでチームワークや信頼関係を構築することができます。さらに、相談することによって自己成長の機会が広がり、自分をアップデートできます。

相談する力がビジネスパーソンに重要な理由

相談こそが、最強のビジネススキルなのです。(山中哲男)

仲間の編集者の廣畑達也氏がソーシャルメディアで紹介していたという偶然から、本書相談する力を読み始めましたが、内容にとても共感したので、本日のブログで取り上ることにしました。

ビジネスにおいて一人の限界を超え、他者に貢献するためには「相談する力」が必要だと言うのが、著者の山中哲男氏の主張になります。この本では、相談する力を養うための具体的なスキルや方法、ステップが紹介されています。

相談する力とは、他人の意見や助言を求めることです。一人では見えない視点や知識を持つ人に相談することで、問題解決や成長につなげることができます。しかし、相談することは自分の弱さや不安を認めることでもあります。

この本では、相談することの重要性やメリットを説明し、相談するための心構えやコミュニケーションのポイントを解説しています。 また、相談する力を身につけることで、ビジネスにおいてもさまざまなメリットがあります。

他人の意見を取り入れることで、新たなアイデアや視点を得ることができます。また、相手の意見を尊重し、協力関係を築くことでチームワークや信頼関係を構築することができます。さらに、相談することで自己成長の機会も広がります。他人の経験や知識を吸収し、自分自身をより高めることができるのです。

相談は、業界や職種を問わず、やりたいこと、実現したいことに近づくネクストアクションを見つけることができます。特に自分に知識や経験がない新しいことにチャレンジするとき、これほど頼りになるスキルはありません。相談を通じて、自分だけではなく周りの人たちの視点や経験に基づく情報を得て、一緒に考えることで、ネクストアクションへとつながることがあります。

相談相手が共感し、応援してくれる可能性もあります。特にSNS時代には多様なネットワークが作れるのでなく、応援されることで拡散力も手に入ります。

一人で全てを行おうとせず、広い視野で物事を考え、選択肢を見出し、行動できるようになることが、ビジネスを劇的に前進させることができます。

なぜ相談するのか、いつ相談するのか、誰に相談するのか、何を相談し、どう伝えるのか、どう聞いて行動に活かしていくのかについて、「見立て」「仮説」「計画」という3段階で展開することで、ビズネスの成功確率が高まります。

・見立て
未検証のアイデアや思いつきのことを指し、見立ての段階とは、「自分一人だけで考えている状態」を指します。

・仮説
事業やアイデアを実現していくうえで欠かせない5つの要素について、一度でも検証を行って一次情報を得ている状態を指します。 具体的には、「何のためにやるのか(目的)」「誰のためにやるのか(顧客)」「どんな商品・サービスをつくるのか(商品・サービス設計)」「顧客との関係をどうつくるのか(マーケティング)」「実現するうえでどんな制約があるのか」が含まれます。

見立て段階とは、仮説を持ち「こういうことをやってみたいけど、やってみたらこうだった」ということを言えるようにすることです。 仮説の段階では、5つの要素それぞれを一度でも相談・検証したものであり、これらの仮説が磨かれてくると、事業を実現するタイミングがやってきます。そこで重要なのが、「ただ5つの要素を個別に磨くだけではうまくいかない」という点です。

・計画
「目的」「顧客」「商品・サービス設計」「マーケティング」「制約」の5つの要素が一貫性をもって説明できる状態へと進むことが重要です。

要は事業計画を立てる際に他人の力を活用すると言うことです。プロダクトをいきなり作る前に、徹底的にヒアリングし、誰がお金を払ってくれるのかを確認することが重要です。3P、4C、5フォース、パーパス・MVVの策定をする際に、独りよがりにならないことが肝心です。

相談する力が未来の自分を助けてくれる理由

相談することで、自分一人では解決できない問題にも挑戦できます。つまり、「可能性にあふれた人」に変わっていくのです。相談をする目的は、あなたの可能性を最大限に引き出し、高めるためです。だからこそ、「一人で考えて行動する」よりも「みんなで考えて行動する」ことが重要なのです。

その世界に詳しい人と相談を通じてディスカッションをした結果、新たな視点やアイデアが生まれることもあります。共感に基づく「多様で緩やかなつながり」によって解像度が上がり、より良い結果を得ることができます。 相談は単なる意見交換ではなく、問題解決や目標達成に向けた重要な手段です。

自分の限られた視点や経験だけでなく、他の人の知識や経験を取り入れることで、より広い視野を持つことができます。相談を通じて、自分の可能性を広げ、成長していくことができるのです。

私はサラリーマンをやめて、社外取締役やアドバイザーとして独立してから、この相談する力をより活用するようになりました。経営の課題を解決するためには、さまざまな知見が必要なことを実感し、日々自分をアップデートするために、さまざまな経営者、士業、コンサルタントとのネットワークを強化し、彼らとの相談を通じて、壁を乗り越えていったのです。

最近では特任教授をしている情報経営イノベーション専門職大学(iU)の学生や先生たちの力も借りられるようになりました。特に、Z世代の思考や感性に触れることで、私は多くの学びを得ています。

相談する力は、実は「集合天才」と言う考え方に近いと感じています。集合天才とは、個々の才能や情報が組織やチームの中で有機的に絡み合い、一人の天才以上の力を発揮することを目指す考え方です。これは、価値あるものを生み出す際に、個人の才能だけを待つ必要がないという意味を持っています。 一人ひとりが突出した専門分野で才能を持っていても、それだけでは組織全体としての力にはなりません。

しかし、互いに協力し、各々の能力を生かすことができれば、一人の天才を凌ぐ存在を作り出すことができるのです。 ゼネラル・エレクトリックやトーマス・エジソン主宰の研究所も、この考え方のもとで有用な発明を数多く生み出してきました。彼らは単に知識や才能を集めるだけでなく、それを有機的に結びつけることで集合天才として機能していたのです。

自分にはないプロフェッショナルの考え方や顧客の気持ちを掴むことで、ビジネスはうまくいくようになります。その際、「見立て」「仮説」「計画」という3段階相談する力を活用することが重要になります。

相談時に何を伝えるかには「型」があり、それは「目的」「原体験」「現在地」を伝えることです。目的、すなわちあなたがどんな未来を目指しているかが曖昧では、相談相手も答えようがありません。できるだけ具体的に目的を伝えることが重要です。 目的を伝える際には、相手の時間を奪うことは悪いという思い込みに注意しましょう。

人によって話すことを変えることも大切です。相手は自分のことを知っているはずだと思い込んではいけません。 また、ストーリーにするなど自分ごと化して伝えることで、相手に共感してもらいやすくなります。

目的と原体験を伝える際に次の3つの思い込みにも注意するとよいと著者は言います。
①「相手の時間を奪う」ことは悪い
②人によって話すことを変える
③相手は自分のことを知っているはずだという思い込みです。

現在地、すなわち「見立て」「仮説」「目的」のどこにいるのかを伝えることで、相談される側は的確な情報を話せるようになります。

相談する際に、次の3つを意識するとネクストアクションが見えてきやすくなります。
①「可能性」と「課題」の両面を見る
②「うまくいったこと」と「うまくいかなかったこと」を伝える
③「事実9割・目的1割」の比率で伝える

相談に失敗も成功もありません。相談を成功と失敗に分けてしまつ背景には、相談の成果を「短期的」に捉える傾向があります。

短期的な成果にとらわれず、中長期的な視点で相談を重ね、振り返りと改善を繰り返すことで、知らず知らずのうちに自分をアップデートできます。

相談相手から得る気づきは、思いがけないタイミングで役立つことがあります。私は、日々、さまざまな分野のプロフェッショナルに相談していますが、その時に役立ったなかったアドバイスや紹介者が未来の自分を助けてくれることを今までに何度も経験してきました。

さまざまな情報に接すること、そこから生まれる気づきは、自分の能力や視野を広げてくれえるのです。また、その気づきに基づく思考や行動は、他者とのつながりを生み出し、新たなビジネスやプロジェクトのパートナーと出会うきっかけにもなり得ます。

短期的な成果のみを重視し、失敗としてしまうのはとてももったいないことです。相談は一度きりのものではありません。成功や失敗という固定概念はありません。むしろ、継続的に相談を重ね、前に進み続けることが、行き詰まった現状を打破する一歩となっていきます。

当然、自分の価値を高め、相談される存在になることも重要です。まずは、貢献というギブから相談する力をやしまっていきましょう。

本書では、iU大学の学生も登場しますが、著者のアドバイスによってビジネスの可能性が広がったとのこと。関係者として著者を身近に感じました。感謝です!!


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