観想力―空気はなぜ透明か (三谷宏治)の書評

Think outside the box clip art
観想力―空気はなぜ透明か
三谷宏治
東洋経済新報社

本書の要約

常識にとらわれない、適切な視点を持つ、高い視座から物事を眺める、マトリクスを使いこなす。これらを意識することで、物事に対する視点や視座を柔軟に変えることができ、異なる視点から物事を見ることで、新たな発見や洞察が得られることがあります。観想力を高めるためには、これらのポイントを活用して、自分自身の思考を柔軟にすることが重要です。

観想力を身に着けよう!

物事をいかに観るか、そのポイントが視点、高さが視座、見透し方が切り口、と言えるだろう。これらを、物事を正しく理解し見透す力として「観想力」と名付けよう。三谷宏治)

経営コンサルティングのような分野では、問題解決に必要な解決手段の幅や種類が非常に広いため、その解決方法を見つけ出すことは簡単ではありません。そこで、独創的な発想や新しいアプローチが必要になってきます。

しかし、自由で正しい視点や視座、そして切り口を持つためには、まずは常識にとらわれずに考えることが必要です。常識発想を破壊することで、新しいアイデアやアプローチが生まれ、問題解決に繋がる可能性が高まります。

観想力とは、物事を見る視点や視座、そして見透し方の切り口を意味する言葉です。同じ出来事でも、それを見る人によって感じ方は異なります。そのため、常識的に見ても、常識的な問題点や結論しか出てこない場合があります。

観想力を持つことは、物事を正しく理解し、見透す力を身につけることにつながります。観想力を身につけるには、視点、視座、切り口を変えることが必要です。 視点を変えることで、物事の違った側面を見つけることができます。

例えば、一つの問題に対して、異なる視点から考えることで、新たな解決策が見つかるかもしれません。 視座を変えることで、物事を別の角度から見ることができます。高い視座から見ると、広い視野が得られ、全体像が見えやすくなります。逆に、低い視座から見ると、細かい部分に注目することができます。 そして、切り口を変えることで、物事の本質を見つけることができます。

観想力を身につけることは、ビジネスだけでなく、人生全般においても役立つスキルです。自分が持っている視点、視座、切り口にとらわれず、柔軟な思考を持ち、新しい視点や視座、切り口を積極的に探求することで、より深い理解と、より広い視野を得ることができます。

バイアスは、私たちが持つ先入観や偏見によって、正しい思考を邪魔することがあります。しかし、常識を打破するためには、私は以下のような方法を実践しています。

①多様な情報収集をすること
常識を打破するためには、自分が持つ情報だけに頼らず、多様な情報を収集することが重要です。書籍や記事、研究論文などを幅広く読み、さまざまな観点から物事を見ることができます。

②仮説を立てること
仮説を立てることで、自分の思考を整理し、新たな発見や考え方を生み出すことができます。また、仮説を検証することで、自分が持つバイアスや偏見に気づくことができます。

③質問をすること
質問をすることで、自分の思考を深めることができます。また、質問に答えるために、自分が持つ先入観や偏見を考え直すことができます。

④自分自身に疑問を持つこと
自分自身に疑問を持つことで、自分が持つ常識や思考に疑問を投げかけることができます。自分自身に疑問を持ち続けることで、新たなアイデアや考え方を生み出すことができます。

天の邪鬼の視点が重要な理由

逆張りを意識することによって、物事を多面的に(天の邪鬼的に)見る癖をつけること、それが目的だ。

著者は、常識にとらわれずに考えることが大切だと主張しています。流行っていることに盲目的に従うのではなく、「なぜ流行っているのか?」、「本当に流行っているのか?」と疑問を持ち、自分なりの視点を持つことが重要だと述べています。 この姿勢や能力には、一般的な見解が正しいとは限らないという意味があります。

つまり、少数派の意見を持つことが、正しい視点を持つことにつながるのです。 ただし、少数派であることに居心地の悪さを感じても、それを積極的に楽しむように心がける必要があります。もし楽しめないのであれば、正しい視点を持つことはできないでしょう。

仮説検証プロセスとは、その仮説が「正しいことを補強していく」プロセスではない。プロセスの中で最初にすべきことは「最も強い反証を立て」「それを検証する」ことだ。反証が明確に否定されれば、その仮説はまずは生き残ったことになる。

仮説検証型思考とは、自分が持っている仮説や信念に対して最も強い反証を見つけ出し、それを検証することで正確な判断を下すことを目的とした思考の姿勢です。このアプローチは、仮説を証明することではなく、むしろ仮説が誤っていることを示すことに焦点を当てます。

人間は、自分が正しいと信じることを補強する情報を探す傾向がありますが、反証となるような証拠は無視する傾向があります。このようなバイアスが存在するため、仮説証明の姿勢は危険であり、より客観的に見据えることが求められます。

仮説検証型思考は、自分自身を批判的に見つめ、常に客観的な事実を見極めることができる姿勢を求めます。このアプローチによって、誤った仮説を排除し、正しい結論に導くことができます。

多くの経営者は、自らを「芸術家」だと思っていますが、その思考だけでは経営を成功に導けなくなっています。芸術家として行動しているとやがて間違える可能性が高くなるので、データを活用した科学的経営を行い、正しい判断を下すべきです。

新しい経営手法が出れば即座に研究し、必要であれば取り入れるのは当然のことだ。孤高の芸術家で生き残れるほど世の中はもう甘くはない。 敵や顧客や技術の進化をもの凄く気にしながら、その進化の本質を見極めながら、しかし、他社とは違うことをする独創性と勇気が求められるのが今の時代だ。

経営者には大量なインプットが求められている理由がそこにあります。ジャンルを選ばずに本を乱読することで、新しい発想やアイデアを得ることができます。自分の持っていた常識や偏見から解放され、より広い視野で物事を見ることができます。また、知らなかった分野や興味を持っていなかったジャンルに触れることで、新たな可能性を発見することもできます。

観想力を高めるためには、以下の4つのポイントを意識することが大切です。
・常識にとらわれない
・適切な視点を持つ
・高い視座から眺める
・マトリクスを使いこなす

これらを意識することで、物事をより正確に理解し、深く洞察する力を養うことができます。観想力を高めるには、物事に対する視点や視座を柔軟に変えることが必要です。異なる視点から物事を見ることで、新たな発見や洞察が得られることがあります。


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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