「共感」×「深掘り」が最強のビジネススキルである 3000億円の新規事業を生み出すビジネスプロデュース思考術 (三宅孝之)の書評

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「共感」×「深掘り」が最強のビジネススキルである 3000億円の新規事業を生み出すビジネスプロデュース思考術
三宅孝之
PHP研究所

本書の要約

社会的課題を解決するビジネスプロデュースでは、単なる競争や競合に縛られるだけでなく、共創や協創の視点を持つことが欠かせません。連携企業やパートナーの意見や価値観に対する共感力と、情報やアイディアをより深く探る深掘り力を同時に磨くことで、社会的課題を解決できる新たなビジネスモデルを生み出せます。

ビジネスプロデューサーには、深掘りと共感という2つの力が欠かせない!

苦手を克服したうえで、もともと得意だった能力を発揮すれば、さらに成長が加速します。(三宅孝之)

ビジネスプロデューサーとして活躍する・ドリームインキュベータ代表取締役社長の三宅孝之氏は、苦手なことを克服することが重要だと指摘します。

得意な能力を極めることは、確かに短期的な成功や自信を得るためのショートカットとなり得ます。私たちの得意分野でのスキルを高めることは、多くの場面でその才能を最大限に活用する手助けとなり、瞬時に結果をもたらすことができます。

しかし、得意な分野のみに焦点を当てると、そのスキルセットの中での成長の余地は徐々に狭まっていきます。実際、一定のレベルを超えると、さらなる飛躍は難しくなることもあるでしょう。 一方で、苦手な部分に目を向けるのは容易な道ではありません。

最初は進歩が遅く、挫折を感じることも多いと思いますが、その苦労があるからこそ、得られる成果や達成感も大きいものです。苦手を挑戦のチャンスと捉え、その克服を目指すことで、自分自身の可能性の幅を大きく広げることができます。

3~5年という時間をかけて苦手を克服する過程は、自己成長の大きな一歩となるでしょう。このプロセスを経ることで、自分の中の隠れた才能や新たな視点を見つけ出すことができ、それが今後のキャリアや人生における大きな強みとなります。

総じて、得意な能力を伸ばすことは大切ですが、それだけに依存せず、苦手な部分との向き合い方も自己成長のカギとなるでしょう。バランスよく、自分の能力を全方位で伸ばすことが、真の成長への道につながります。新たな分野に挑戦したり、多様なスキルを身につけることで、自己成長の幅が広がります。また、得意な能力を活かすことで、より高いレベルの業務をこなすことができます。

著者はビジネスパーソンは、「深掘りタイプ」と「共感タイプ」の2種に分類できると言います。深掘りタイプと共感タイプは、それぞれ異なる特徴を持っています。

・深掘りタイプ・・・ある物事を徹底的に掘り下げることが得意。
彼らは調査や分析、考察などを行い、自分自身が納得するまで粘り強く取り組むことができます。彼らは徹底的な思考力を持っており、問題解決や情報収集において優れた能力を発揮します。

・共感タイプ・・・人の気持ちを察することや人との関係構築が得意。
共感タイプは相手の話を聞き出し、要点を素早くまとめて伝えることができます。彼らはコミュニケーション能力に優れており、他者との関係を円滑に築くことができます。 ただし、共感タイプは思考が浅く、拙速になりがちです。彼らは物事に対して深い考察をせず、即座に行動に移す傾向があります。このため、情報の不足や判断ミスが生じる可能性もあります。

理想は、深掘り力と共感力の両方を高次元で併せ持っていることですが、大抵の人はどちらかが得意で、もう一方を苦手としています。 そのため、深掘りタイプは共感力を、共感タイプは深掘り力を意識的に鍛えていくことで(実際には「自分の中に眠っている能力を呼び起こす」と言うほうが正しいですが)、高いパフォーマンスを発揮できるようになります。

ビジネスプロデューサーとは、数百億、数千億円規模の新規事業を生み出す能力を持つ人のことです。そのためには、深掘りと共感という2つの力が不可欠です。

ビジネスプロデューサーは、顧客や市場の声を聞き、そのニーズに応える新たなビジネスモデルや商品を生み出します。そのためには、人々とのコミュニケーションや洞察力を養う必要があります。 自分がどちらのタイプに属するかを考えることも重要です。

自身の強みや苦手な点を把握し、それに対して時間を使い克服することが求められます。深掘りが苦手な場合は、情報収集や分析の方法を学び、スキルを向上させる必要があります。また、共感が苦手な場合は、人との関わりやコミュニケーションのスキルを磨くことが必要です。

ビジネスプロデューサーのスキルを身につけた方がよい理由

ビジネスプロデューサーのスキルとマインドを身につければ、ビジネス界で無敵になれるのです。

ビジネスプロデューサーは、社会的なニーズを発見することで、事業を拡大することができます。顧客のニーズに加えて、社会全体のニーズを満たすことで、自然と事業の規模も大きくなります。実際に、社会課題が大きくなればなるほど、それを解決するビジネスの事業規模も大きくなります。

ビジネスプロデューサーは、市場のトレンドや社会の変化を見極め、新たなビジネスチャンスを見つける役割を果たします。顧客のニーズを満たすだけでなく、社会的な課題にも目を向けることで、より大きな成果を上げることができます。社会課題の解決という旗を立てることで、複数の大手企業の連携が進みます。

ビジネスプロデュースでは、「競争」や「競合」という概念は重要ではありません。あるのは「共創」や「協創」です。

近年のビジネス環境の変化により、競争や競合だけではなく、共創や協創の重要性が増してきました。共創とは、他社や顧客と協力し、新たな価値を創造することを指します。協創とは、共同で事業を展開し、相互に利益を得ることを指します。

ビジネスプロデュースにおいては、競争や競合に固執するだけではなく、共創や協創の視点を持つことが重要です。他社との競争や競合ではなく、協力し合いながら新たな価値を創造し、市場を拡大していくことが求められます。その際、共感力と深掘り力の両方を鍛えることが重要になるのです。

著者はビジネスで成功するための5つのステップを明らかにしています。

STEP1 構想する
最初のステップで重要なことは、構想を大きく広げることです。構想が小さいと、そこから生まれるビジネスの規模が小さくなってしまいます。大企業の柱となるような数百億、数千億円の新規事業を生み出すには、大きな構想を描いておく必要があります。

構想を広げるためには外部の力を借り、連携する必要があります。ひとりでは構想を作れないと考え、人との交流を積極的にはかりましょう。

STEP2 戦略を立てる
構想の全体像を把握しながら、ビジネスモデルの作成においてどの部分を切り取るかや、どのような企業と連携するかを考えます。戦略を立てる際には、共感タイプが出すアイデアに対して、深掘りタイプが悲観的な突っ込みを入れることが重要です。また、共感タイプの曖昧な話を深掘りタイプが具体化していくことも有益です。

両タイプが役割分担をして、得意な能力を発揮することで、アイデアを論理化し、定量化し、数値化することができます。そして、それを基にビジネスモデルを完成させることができます。

STEP3 連携する
立てた戦略に関係する企業や行政機関などに対して、説明を行い、ビジネスプロデュースへの参画を呼びかけ、具体的に連携していく段階です。様々な企業と連携を進める過程で、現在のビジネスモデルに限界を感じることがあるかもしれません。しかし、それは新たなビジネスモデルを模索するチャンスでもあります。過去のプランに固執せずに柔軟な発想で取り組み、より良いビジネスモデルを見つけることが重要です。

STEP4  ルールを作る
ビジネスプロデューサーがルールを変えることを厭わない姿勢を持つことは重要です。時代の変化や社会の要求に合わせて、柔軟にルールを変えることができる能力は、競争力を高める上で不可欠です。また、ビジネスプロデューサーの役割は、単に既存のルールを守るだけではありません。新たなルールを作り出し、組織を変革することも求められます。

ビジネスプロデューサーは、法律や条例を作ったり、変えたりする役割も担っています。法律を変える場合には、国を巻き込む必要もありますが、ルールを変えることで、社会課題を解決でき、より大きなビジネスを生み出せます。

STEP5  実行する

ビジネスは数々の社会課題を解決することで成り立ってきました。人々の生活を豊かにするために、新しい商品やサービスが生まれてきたのです。社会課題の解決は、本来的にビジネスの役割なのです。

ビジネスは、社会課題の解決に向けた重要な手段です。共感力と深掘り力を併せ持ったビジネスプロデューサーの育成が求められています。若い優秀な人材の中には、ビジネスを通じて社会に貢献したいという意欲を持っている人もいます。

しかし、まだまだビジネスプロデューサーとしての能力を発揮できる人材は少ない状況です。社会課題の解決に向けた教育や研修の充実が必要です。若い人材の育成に力を入れることで、社会課題の解決に向けたビジネスの力を高めることができるでしょう。


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