リバース思考 超一流に学ぶ「成功を逆算」する方法 (ロン・フリードマン)の書評

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リバース思考 超一流に学ぶ「成功を逆算」する方法
ロン・フリードマン
かんき出版

リバース思考 (ロン・フリードマン)の要約

リバース・エンジニアリングのメソッドを駆使することで、得られた知識を応用し、自分だけのユニークなアイデアや解決策を生み出す「勝利の方程式」を確立することができます。この方法により、既存のアイデアを新しい視点で再解釈し、独自のイノベーションを実現する道が開かれるようにんあります。

リバース・エンジニアリングを人生に取り入れよう!

リバース・エンジニアリング、つまり物事を系統立てて分解し、その内側の仕組みを探って、新しい洞察を引き出すというのは、単にテクノロジー業界独特の特徴という以上のものだ。驚くべきことに多くのイノベーターにとっては、どうやらそれは自然発生的に生まれてきた「生来の性質」のようなものらしい。(ロン・フリードマン)

スティーブ・ジョブズビル・ゲイツなど、大成功を収めた人物たちは、さまざまな製品やサービスを徹底的に研究し、そこから得た洞察を活かして新しい製品を開発し、大きな利益を上げました。この2人の成功の物語には、しばしば「リバース・エンジニアリング」というプロセスが登場します。

これは彼らのイノベーションを支える重要な要素でありながら、多くの場合見過ごされがちです。彼らのイノベーションの背景にあるこのプロセスは、テクノロジー業界において非常に重要な役割を果たしています。Windowsもマッキントッシュ、iPhoneもリバース・エンジニアリングから生まれてきたのです。

彼らだけでなく、コンピュータ業界の歴史自体が、様々なアイデアを組み合わせて新しい製品やテクノロジーを生み出す、探究心豊かなイノベーターたちのストーリーです。

既存の製品を徹底的に研究し、そこから新しいアイデアを引き出して自分の仕事に応用するリバース・エンジニアリングによって、私たちの人生をよりよくできると社会心理学者のロン・フリードマンは指摘します。

シリコンバレーはリバース・エンジニアリングに熟知しています。これは、テクノロジー業界のイノベーターたちが、既存の製品から学び、革新的なアイデアを取り入れて新たな製品を創造し、常に時代をリードするための重要な手法として用いられているからです。このプロセスを通じて、彼らは技術の限界を押し広げ、新しい可能性を切り開いています。

「純粋な好奇心」と「知りたいという欲求」はリバース・エンジニアリングの主な動機です。しかし、テクノロジー業界の開発者がこの手法を利用する理由は、より現実的な側面もあります。

例えば、既存のオペレーティングシステムに対抗するためのソフトウェアを開発しようとする場合、そのシステムの基本的な機能を「デコード」する必要があります。この手法は、新製品の革新的な特徴を製品が発表される前に分析し、理解するためにも非常に重要です。リバース・エンジニアリングは、競合製品を理解し、それを基に自社製品を改善するための重要なツールとして機能します。

継続的に新しいスキルを身につけていくために、すばやく「習得する技術」を磨くことだ。専門性が流動的に変化する世界で成功するには、探求を続けることが欠かせない。常に新しいイノベーションや業界のトレンドをいち早くつかんでおくのは、もはや野心家だけに必要なスキルではない。その業界にとどまるための最低条件となる。もちろん正しく学習すれば、単に時代の流れについていく以上の効果がある。

リバース・エンジニアリングは、興味深い事例を細部にわたって分析し、その内部の仕組みを正確に理解するスキルです。現代のような変化の激しい時代には、リバース・エンジニアリングを活用して、自ら学び続けることが重要です。

この技術を駆使することで、得られた知識を応用し、自分だけのユニークなアイデアや解決策を生み出す「勝利の方程式」を確立することができます。この方法により、既存のアイデアを新しい視点で再解釈し、独自のイノベーションを実現する道が開かれます。

創造力を鍛える方法

創造性はアイデアを組み合わせるところから生まれるもので、単独で生まれるものではない。新しいアイデアや新鮮なものの見方に出合ったとき、人は最も創造力が高まる。創造性をもたらすーつのカギは、積極的に経験する姿勢だ。

多くの天才が真似ることから、創造力を養ってきたと著者は指摘します。クロード・モネ、パブロ・ピカソ、メアリー・カサット、ポール・ゴーギャン、ポール・セザンヌなどの著名な画家たちは、フランスの画家ウジェーヌ・ドラクロワの作品を模写することで、自分の技術を高めました。

ドラクロワ自身も、ルネサンス時代の尊敬する画家たち、例えばラファエロやレオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロの作品を長年にわたって模写し、自身のスタイルを磨きました。これらの大画家たちも、互いの作品を模写し合うことで自らのスタイルを洗練させました。

模写が効果的な理由は、単に内容を記憶する以上のものを要求するからです。ある作品を模写する場合、作者の意図やスタイル的な傾向に注意深く目を向けなければなりません。

また、小説家のカート・ヴォネガットは人を感動させる物語のパターンを指摘しています。
・貧しい人の成功譚(幸せな気持ちになる)
・裕福な人の転落譚(暗い気持ちになる)
・落とし穴に落ちる話(暗い気持ちになって、その後幸せな気持ちになる)
・イカロス(幸せな気持ちでいたら、暗い気持ちに突き落とされる)
・シンデレラ(幸せな気持ちになって、暗い気持ちになり、また幸せな気持ちになる)
・オイディプス(暗い気持ちでいたら、明るい気持ちになって、再び暗い気持ちになる)

ジェフ・ベゾス、マーク・キューバン、リチャード・ブランソンなどの大実業家と一般の人たちとの違いは、創造性や知性、やる気だけではないとされています。

調査によると、これらの成功した実業家は、パターン認識力においても優れています。彼らは過去の成功事例や現在の市場の動向を理解し、それらを結び付けて利益を生む機会を見つけ出す能力に長けているのです。この特殊な能力が、彼らが他とは一線を画す要因の一つと言えるでしょう。

成功するビジネスモデルのパターンを理解することが、大利益を上げる企業の共通点です。例えば、サンフランシスコの料理人スティーブ・エルズは、メキシコ料理のファストフード店「チポトレ」を、西海岸ではなくタコスが珍しい地域であるデンバーにあえてオープンすることを決めました。

当初は単に黒字のレストランを目指していましたが、1号店が大行列となり、大成功へとつながりました。 エルズの成功は、人気商品を異なる地域で紹介するという単一の決断から始まりました。

このアプローチはタコスだけでなく、多くの製品やサービスに適用可能です。 経験豊富な実業家たちは、チポトレのような事例から学び、成功事例のブループリント(計画図)を頭の中に構築します。このデータベースを利用して、彼らは適切なタイミングでアイデアを捻出し、手持ちのリソースを最大限に活用して利益を生み出します。

自動車業界でのリバース・エンジニアリングの歴史は古く、1933年に豊田喜一郎が新型シボレーを分解したことが始まりです。この分解作業から得た知見を基に、豊田は家族を説得して、織機製造から自動車開発へと事業拡大を決定しました。その結果、3年後には「豊田自動織機製作所」が初の自動車を発売し、後に「トヨタ」という名前で自動車開発部門を独立させました。

1世紀近く経った今日、豊田喜一郎の革新的なアプローチは自動車業界の標準的な開発手順の一部となっています。現代の自動車メーカーは、競合他社の車を日常的に分解しており、このプロセスを「競合ベンチマーキング」と呼んでいます。これにより、業界全体の技術進化と革新が促進されています。

このようにリバース・エンジニアリングのメソッドを活用することで、独自のアイデアやソリューションを生み出し、イノベーションを起こせるようになります。


 

この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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