最新 欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」 科学が示す、人種と病気の新常識(奥田昌子)の書評

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書籍:最新 欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」 科学が示す、人種と病気の新常識 
著者:奥田昌子
出版社:講談社
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30秒でわかる本書のポイント

【結論】:健康の常識は、世界共通ではありません。 正しいと思って続けている食事が、日本人の体質には合わず、かえって病気のリスクを高めることがあります。  
【原因】 :行きすぎた食の欧米化により、脂質比率の上昇や「見えない油」の摂取増加が進みました。 その影響は、内臓脂肪、生活習慣病、欧米型のがん、花粉症、認知症リスクにも及びうると本書は示唆します。
【対策】 :総摂取カロリーを抑えつつ、日常生活でよく動き、消費を積み重ねることが基本です。 あわせてPFCバランスを見直し、自分の体質に即した生活習慣を選ぶことが重要です。

本書の要約

欧米発の話題の健康法が、なぜか自分には合わないことがあります。その違和感の正体は「人種による体質の違い」かもしれません。予防医学の最前線で活躍する内科医である奥田昌子氏が、最新の科学的データをもとに日本人の身体特性をひもとき、私たちにとっての「真の健康法」を再定義する一冊で、多くの学びが得られます。日々、新たな健康情報に触れる中で、自身の身体にあった健康法について考えることができます。

おすすめの人

・話題のダイエットや健康法を試しても、期待した効果が得られないと悩んでいる人
・健康診断の数値に対して、漫然とした不安を抱えているビジネスパーソン
・メディアが報じる「最新の医学研究」を、どう読み解けばいいか知りたい人
・ヘルスケアビジネスや予防医療の分野に関わっており、ターゲット層のインサイトを深めたい実務家

読書から得られるメリット

・日本人の体質に合った健康情報を見分ける視点が身につく
・食事・運動・予防を、自分ごととして見直すきっかけになる
・健康不安をあおる情報ではなく、科学的根拠にもとづいて判断できるようになる
・日々の生活習慣をどう変えればよいか、具体的なヒントが得られる

「体に良いはず」の健康法が、あなたの体を壊していないか?

日本人の本来の体質を知り、丁寧に生活することが大切です。(奥田昌子)

メディアが絶賛する画期的な食事法や、海外のセレブが実践する最新のダイエット。それらを信じて熱心に取り組んでいるのに、なぜか体調がスッキリしない……。そんな違和感を覚えたことはないでしょうか。

私たちは、あまりにも『外側』から流れてくる情報に振り回されすぎているのかもしれません。一見、科学的に正しいとされる最新の健康法も、実はその多くが欧米人のデータに基づいたものです。

どれほど優れた手法であっても、日本人の身体という独自の設計図を無視して取り入れれば、それは健康への近道ではなく、身体への過度な負担(ストレス)に変わってしまいます。

情報のアップデートを繰り返す前に、私たちがまず直視すべきは、自分自身の身体の『特性』という、最も基本的な前提条件なのです。

私たち日本人が長年、この島国という閉ざされた環境のなかで、何を食べて、どのように身体を適応させてきたのか。その進化の歴史こそが、現代の私たちが参照すべき『健康の設計図』に他なりません。

今回ご紹介する奥田昌子氏の著書最新 欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」 科学が示す、人種と病気の新常識は、私たちが盲信してきた「グローバルな健康常識」を医学的・疫学的なデータで解体し、日本人が真に健康を維持するための最適化戦略を示してくれる一冊です。

奥田氏は、予防医学の現場で長年日本人を診てきた内科医です。著者が突きつけるのは、「欧米の健康基準をそのまま当てはめるのは、医学的に見てリスクがある」という事実です。自他ともに認める健康オタクである私も、本書のロジカルな指摘から多くの実戦的な学びを得ることができました。

特に直視すべきは、無意識に摂取している「見えない油」のリスクです。 食事全体のバランスを考える上で、欠かせない指標がPFCバランスです。これは、私たちが生命を維持し、活動するために必要な三大栄養素の頭文字をとったものです。

・P(Protein / タンパク質):筋肉や臓器、皮膚の材料となる
・F(Fat / 脂質):細胞膜の構成やエネルギーの備蓄を担う
・C(Carbohydrate / 炭水化物):脳や身体を動かす即効性のエネルギー源

一般に日本人が健康を維持する上で望ましいとされるPFCバランスの構成比は、P(Protein):13〜20%、F(Fat):20〜30%、C(Carbohydrate):50〜65%とされています。

日本人が長寿世界一を記録した1981年頃、私たちの食生活はこの「黄金比」におおむね収まっていました。しかし、2019年のデータではF(脂質)の比率が29%まで上昇し、厚生労働省が示す上限値(30%)に達しようとしています。

ここで重要なのは、私たち日本人が、単に肉を食べ過ぎているだけではないという点です。調理パン、洋菓子、ナッツ、スナック菓子、カップ麺、カレーのルー、パスタソース、マヨネーズ、ヨーグルトなどに含まれる「見えない油」が、日常的な脂質摂取量を押し上げています。

この脂質過多の状態が続くと、身体はインスリン抵抗性、つまり血糖値を下げるインスリンの効き目が悪い状態に陥ります。これが糖尿病を招くだけでなく、慢性的な炎症を引き起こし、発がんリスクを押し上げる重い要因となりうるのです。

正しいダイエットの方法とは?

本当にやせたいなら、カロリーの総摂取量を減らすとともに、日常生活のなかでよく動いてカロリー消費を積み重ねるほうが確実です。

日本人に内臓脂肪がつきやすくなった背景には、単純なカロリー過多ではなく脂質の摂取比率が上がったことがあります。本当にやせたいなら、特定の食材を悪者にする極端な糖質制限などに頼るより、基本に立ち返るべきです。

総カロリー摂取量を抑えるとともに、日常生活の中でよく動き、カロリー消費を地道に積み重ねること。さらに、蛋白质13〜20%、脂質20〜30%、炭水化物50〜65%という適切なPFCバランスを意識する視点が欠かせません。この地道な継続こそが、日本人の体質において最も確実でリバウンドのない減量法となります。

また、食生活の改善と「過度な欧米化」を正確に区別する必要があります。1960〜80年代、日本人は食生活の改善によって脳出血を劇的に減らしました。これは明らかな恩恵です。

しかし、その後の行きすぎた欧米化は、肉や牛乳だけでなく、前述の「見えない油」を増やし、生活習慣病を招きました。近代化そのものを否定するのではなく、どの方向にバランスが崩れたのかを冷静に分析し、自分に合う形へ修正する視点が求められます。 がんのリスクについても、環境要因の調整で大幅に下げられると本書は説きます。

がんのリスクについても、環境要因の調整で大幅に下げられると本書は説きます。ここで重要なのは「統計上、がんの70%は予防可能」というデータの捉え方です。この数字を単なる精神論としてではなく、喫煙、飲酒、食事、肥満、運動不足、そして感染症対策といった「環境要因のマネジメント」の集大成として捉えるべきです。

がんの発生には「がん遺伝子」と「がん抑制遺伝子」のバランスが関わりますが、そのスイッチを操作しているのは、後天的な環境によって遺伝子の働きが変化する「エピジェネティクス」という仕組みです。

もし発がんのプロセスが修復不可能な遺伝子そのものの変異ではなく、このエピジェネティクスの変化によるものであれば、生活環境を整えることで、一度崩れたバランスを元に戻せる可能性があるのです。私たちの意思決定によって、健康な未来がもたらされるのです。

さらに、脳の健康やアレルギーさえも「食の質」の集大成です。スギ花粉症の急増(近年2.5倍)や、アルツハイマー病のリスク増大も、食の欧米化と密接に関係しています。

本書の福岡県久山町の研究は示唆的です。60〜79歳の参加者を17年追跡した研究では、年齢、性別、教育歴、糖尿病や高血圧の有無、脳血管障害の既往、喫煙、肥満、運動量などの影響を調整したうえで、大豆・大豆製品、緑黄色野菜、淡色野菜、海藻類、牛乳・乳製品を相対的に多く摂取し、米の相対的摂取量が少ない食事パターンを強く示した人ほど認知症になりにくいことが示されました。

アルツハイマー型認知症と血管性認知症の発症率は、それぞれ最大で35%、55%低かったとされ、食事の質が脳の健康にも及ぶことを具体的に示しています。食事の質を管理することは、単なる肥満予防にとどまらず、将来の脳の健康を直接左右する投資なのです。

コンサルタント 徳本昌大のView

グローバル・ビジネスでは「ローカライズ」の成否が事業の命運を分けますが、それは自身の健康管理においても全く同じです。 最近では多くのビジネスパーソンが、最新のテクノロジーやMBA理論を学ぶのと同様のエネルギーで、海外発の健康情報を追いかけています。

しかし、土台となる「日本人の体」というハードウェアの特性を無視したメソッドは、どれほど優れていたとしても、身体にフィットしなければ良い結果は得られません。逆に日本人に合わない食事によって、健康を害する可能性すらあるのです。」

コンサルタントの視点から言えば、「がんの70%は環境要因の積み重ねで予防可能」という事実は、健康が運任せのギャンブルではなく、自らの意思決定と環境設定によって最適化できる「リスクマネジメントの対象」であることを示しています。

リスクを最小化し、リターン(健康寿命)を最大化するためには、感情的な流行に流されず、日本人に向けたエビデンスに基づいた「自分自身の取扱説明書」を作成する必要があります。

私は60歳を過ぎたあたりから、体力の衰えを日々実感しています。今後の人生後半戦をアクティブに楽しむためには、高いパフォーマンスを維持し続けるための「健康管理」が欠かせません。グローバルな健康トレンドに踊らされることは、もう終わりにしたいと思いました。

まずは自分の身体の「設計図」を正しく理解し、日本人の特性に合わせたチューニングを行うこと。これこそが、人生後半戦を豊かなものにするための、最も投資対効果(ROI)の高い戦略的投資なのです。流行のダイエット本を何冊も読み漁る前に、まずはこの一冊を深く読み込むことを、強くお勧めします。

🖋 書評:徳本昌大 書評ブロガー・ビジネスプロデューサー

最強Appleフレームワーク


 

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

Ewilジャパン取締役COO
Quants株式会社社外取締役
Mamasan&Company 株式会社社外取締役
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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