トランスフォーメーション思考 未来に没入して個人と組織を変革する(植野大輔、堀田創)の書評

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トランスフォーメーション思考 未来に没入して個人と組織を変革する

植野大輔、堀田創
翔泳社

本書の要約

未来の世界観をデザインすることが、MTPにおいて最も重要なことになります。映像やストーリーによって、実現したい未来に臨場感を持たせることで、組織の思考を変えることができます。MTPをただのメッセージにするのではなく、ストーリーで共有することで、より多くの人を巻き込めます。結果、多様な観点を盛り込んだ、世界観の大きな未来事マインドマップを描けるようになるのです。

トランスフォーメーション思考とは何か?

MTPとはMassive Transformative Purposeの略称で、個人や組織が最低30年以上先に実現する、現状とはまったく異なるような世界観という意味です。(植野大輔)

本ブログではMTPについて、何度か紹介していますが、MTPという未来からの目的地から発想することで、現実の違和感に気づき、イノベーションを起こすヒントを見つけられるようになります。

未来から見たら当たり前になっているはずの景色に、違和感を覚えることをトランスフォーメーション思考と著者たちは言い、この思考を身につけることで、世の中の課題を指数関数的に解決できるようになると指摘します。現状を変えるのではなく、未来からバックキャスティングしていくことで、私たちはより多くのチャンスを見出せます。

トランスフォーメーション思考を行う際には、30年後を見据えるとよいと言います。長期的な視点に立つことで、テクノロジーの進化を味方にでき、奇想天外なアイデアが浮かぶようになります。
・大きな未来を解像度高く描くこと
・その未来への臨場感を保ち続けること

MTPは野心的に変革を起こし続けるという世界観を共有することです。未来はMTPによって変えることができると考えるフューチャリストが増えれば、より豊かな世の中が実現できるのです。スティーブ・ジョブズやイーロン・マスクがMTPを掲げたことで、私たちはiPhoneやEVを体験できるようになったのです。

イーロン・マスクは地球環境からテクノロジーの発展までさまざまな事柄に臨場感をもつことで、テスラやスペースX、ボーリング・カンパニー、ニューラリンク(ブレイン・テクノロジー)などいくつもの分野で、イノベーションを起こし続けています。イーロンのように内部モデルを未来で埋め尽くすことで、私たちの思考は変わり始めます。現在ではなく、未来に臨場感を持ち、その世界に没入することで、トランスフォーメーション思考が身に付きます。

未来の世界観をデザインすることが、MTPにおいて最も重要なことになります。映像やストーリーによって、実現したい未来に臨場感を持たせることで、組織の思考を変えることができます。MTPをただのメッセージにするのではなく、ストーリーで共有することで、より多くの人を巻き込めます。結果、多様な観点を盛り込んだ、世界観の大きな未来事マインドマップを描けるようになるのです。MTPを基軸に自分の世界観を拡張することで、未来の臨場感をより強化できます。

■トランスフォーメーション実践の3要素

MTP×XMO×CMこそが、トランスフォーメーション達成のための方程式といえる。

・MTP
・XMO(トランスフォーメーション・マネジメント・オフィス)
トランスフォーメーションの主導を担う専門組織
・CM(チェンジマネジメント)
企業文化を根本的に変えるための取り組み。変革に対して前向きな企業文化に生まれかわることがなければ、そもそも変革に至りません。
MTP、XMO、CMを掛け合わせることで、豊かな未来を実現できるようになります。

MTPをつくる8つのステップ

MTPとはどんな大胆な未来をつくりたいかという世界観であることだ。無限の価値を提供している自社の姿を描くことではない。自分たちが無限の価値を生み出した先にある未来の社会、世界を臨場感をもって描かなければならない。(堀田創)

未来な新たな世界観をつくることが重要になります。たとえ、従業員であっても、とてつもない未来を描くことは可能です。自分自身を新たな創業者だと信じることで、大胆な未来を描くことが可能になります。

MTPやトランスフォーメーション思考は大企業のものではなく、中小企業やスタートアップでも十分に役立ちます。さらに、今後のキャリアを野心的に歩む観点では会社に所属している個人にも使えます。働き方の理想は、会社のMTPと個人のMTPをつなげ、近づけることです。こうすることで、ワクワク感を持って働けるようになります。

以下の8つのステップを踏むことで、自分らしいMTPをつくれるようになると著者たちは指摘します。
ステップ1:脳を未来であふれさせる
ステップ2:未来から見た大きな問題を見つける
ステップ3:どんな技術を使えば問題が解決されそうか
ステップ4:問題解決後、何がブレイクスルーするか
ステップ5:6つの質問でMTPを進化させる
 ①夢を大きくとらえているか?
 ②人間らしさをどう後押しするか?
 ③夢がかなった後にどうなるか?
 ④私は世界にどういう変化を起こしているか?
 ⑤将来、誰と組んでいるか?
 ⑥そのとき、何のために生きているか?
ステップ6:未来事マインドマッで臨場感を高める
 ・顧客は誰になるか?
 ・顧客の生活はどう変わるか?
 ・地球環境はどうなるか?
 ・ネガティブな副作用が発生しないか?
 ・セキュリティや安全面ではどんな懸念があるか?
 ・何か大きな事態(コロナ級の疫病や災害)に対してどうなるか?
ステップ7:他人と未来を議論してMTPを強化する
ステップ8:MTPをアウトプットする

不確実な時代を生きるこそ、私たちは未来をよりよくする世界観を持つべきです。そこからバックキャスティングして、未来を豊かにする事業を行うべきです。どのような未来を実現したいかを決めることで、新しいアイデアが生まれたり、テクノロジーを進化させられます。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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