テックジャイアントと地政学(山本康正)の書評

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テックジャイアントと地政学
山本康正
日経BP

本書の要約

ChatGPTなどのAIの進化に伴い、ソフトウェアとデータの価値がますます高まることが予測されます。データを循環させ、最大限に活用することで、ビジネスにおいて競争優位性を確立することができます。経営者は常に変化するテクノロジーを活用し、革新的な取り組みを行うことを目指す必要があります。

ChatGPTがもたらす変化とは?

「ChatGPTは間違っていることが多いから役に立たない」というわけではありません。こうした欠点は後から改良され、クオリティーが上がっていく可能性は高いです。(山本康正)

テクノロジーの変化が加速する中で、キャッチアップが難しくなっています。企業の成長にテクノロジーが欠かせなくなっている中、日本の経営層はその変化に鈍感で、海外企業との差が広がっています。

ChatGPTがこの数ヶ月でビジネスのやり方を根本的に変えようとしていますが、メディアの情報のみを鵜呑みにしているとこの流れに乗り遅れてしまいます。ChatGPTの欠点を理解しながら、今後、AIがどう進化し、ビジネスに影響を与えるのかを考える必要があります。

私が教えているiUの学生たちはこのChatGPTを使い倒し、どんどんパーフォーマンスをアップしています。私もZ世代の使い方を真似ながら、文章作成や校正などでChatGPTの恩恵を受けています。

インターネットが普及した当初は、質の悪いウェブサイトが溢れ、利用価値が低いとの批判が多くありました。しかし、グーグルが開発した検索アルゴリズムが進化することで、インターネットは現在ではビジネスにとって欠かせない存在となりました。

今後、ChatGPTや新たなテクノロジーが登場することで、インターネットの欠点や問題点を修正していくことが期待されています。特に、チャットボットAIがビジネスにおいて重要な役割を果たすことが予想されています。そのため、企業はチャットボットAIをビジネスツールとして採用する際に、適切な対策を講じる必要があります。

ChatGPTの精度は、日本語と英語で異なります。これは、英語の事前学習データがはるかに豊富であるためです。そのため、英語でのコミュニケーション能力を向上させることが重要です。

AIの進化に伴い、ソフトウェアとデータの価値がますます高まることが予測されます。データを循環させ、最大限に活用することで、ビジネスにおいて競争優位性を確立することができます。経営者は常に変化するテクノロジーを活用し、革新的な取り組みを行うことを目指す必要があります。

アマゾンから経営者が学べること

それぞれの撤退サービスは無駄ではなく、その経験があるからこそ、次の仮説を立てる際の精度やサービスの品質が高まっているのです。市場環境やテクノロジーが発達したことで、同じコンセプトを再度別の形で試すことによりサービスが普及することもあります。

いくつもの新規事業をスタートし、失敗を繰り返す中で、アマゾンはコンテンツ制作とAWSに活路を見出しました。

アマゾンは、積極的にコンテンツ事業に参入し、幅広いジャンルの書籍、音楽、映画、テレビ番組などのコンテンツを提供しています。このコンテンツを活用して、プライム会員を獲得・維持しており、プライム会員の年会費はアマゾンの収益に大きく貢献しています。

アマゾンは、最近ではオリジナル作品を強化することで、他社にはない独自のコンテンツを提供し、顧客のロイヤルティを高めています。アマゾンは顧客の満足度を向上させ、ECとコンテンツを連携することで、顧客の購買行動や視聴データを活用することで、顧客体験を高めています。

最近では、Amazon Web Services(AWS)がますます存在感を増しています。アマゾンの利益の多くはこのAWSが上げています。

AWSの強みは、クラウドコンピューティングの分野での圧倒的な市場シェアと、高度なスケーラビリティ、信頼性、セキュリティ、柔軟性などです。AWSは、ビジネスに必要な様々なITインフラストラクチャーを提供し、企業は自分たちでハードウェアやソフトウェアを購入して設定する必要がなくなり、ROIが高まります。

AWSは継続的に新しいサービスや機能を追加し、開発者に向けたツールやリソースも提供しており、多くの企業の開発者から評価されています。アマゾンはここでも顧客体験をアップすることにこだわっているのです。

アマゾンは、新規事業でいくつもの失敗を繰り返す中で、成功するビジネス領域を見出し、そこに注力することで成長してきました。これは、アマゾンが新しいビジネスを試す際には、失敗を恐れず、積極的に挑戦する姿勢を持っていることが背景にあると言えます。

アマゾンはホールフーズやワンメディカルなどのM&Aを通じて、アマゾン経済圏を拡大しています。

日ごろからアマゾンで日用品を購入し、アマゾン・プライム・ビデオで話題のドラマを視聴し、病気になったらオンライン診療で薬を家まで届けてもらう。日常にまつわるあらゆるサービスが、すべてアマゾンの経済圏内で完結する日が現実になりつつあります。

アマゾンは現在、物流や小売業界だけでなく、医療や金融業界などにも進出し、新たな市場を開拓しています。また、最新のテクノロジーである人工知能、ロボティクス、自動運転技術などを積極的に取り入れ、顧客から得た大量のデータを活用して、マーケティングやサービス改善に取り組んでいます。

これにより、顧客のニーズに応えたサービスや商品を提供することが可能となり、アマゾン経済圏の拡大を促進しています。アマゾンは膨大な利益を新規事業に投資し、顧客から支持されるサービスや商品を開発することで、事業を成長させています。

アマゾンの成功には、顧客中心主義や失敗を恐れないチャレンジ、迅速な意思決定などが大きく貢献しています。日本の経営者は、顧客体験を高めるためのイノベーション、それを推進する環境づくり、迅速な意思決定ができる組織作りなどに注力することが重要です。

また、失敗を恐れず、積極的に新しいビジネスを試みることで、新しいビジネスチャンスを見出し、成長を実現することができます。

著者の山本康正氏は、海外で活躍する経営コンサルタントであり、最新のテクノロジーの成功事例を分析しながら、経営者に対して必要なアドバイスを提供しています。この本に掲載された成功事例やアドバイスを参考にすることで、経営者は顧客体験を向上させるために取り組むべき取り組みを行うことができます。


 

 

 

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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