失敗しないDX
阿保晴彦, 橋爪康太郎
時事通信
失敗しないDX(阿保晴彦, 橋爪康太郎)の要約
KOBUYは業務プロセスを可視化し、ムダを省いた最適なDX戦略を提案することで、失敗しないDXを実現。バイヤーとサプライヤー双方のDXを推進し、間接材購買の効率化を通じて、労働生産性向上やペーパーレス化を支援するプラットフォームです。今後は、多様なデータを連携させることで新たな価値を創出し、日本の成長に貢献します。
失敗しないDXを実現する「KOBUY」とは?
「その仕事、本当に必要ですか?」「なぜ必要なのですか?」「その方法で行う必要はありますか?」 これらの問い掛けは、間接材購買の合理化を進める上で非常に重要です。(橋爪康太郎)
本書は、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)と間接材購買の最適化をテーマとし、特にデジタル技術を活用した購買プロセスの効率化と、買い手と売り手双方にとってのWin-Winの関係構築に焦点を当てています。
KOBUYを導入することで、購買プロセスの透明性が向上し、単なるコスト削減にとどまらず、企業の成長戦略に貢献する戦略的な調達活動が可能になります。特に、大規模な購買サプライチェーンの管理においても、KOBUYの活用により業務プロセスの改善が実現し、企業全体の労働生産性向上につながります。
間接材購買は企業のコスト構造に大きな影響を与えるにもかかわらず、従来は十分な注目がされてきませんでした。しかし、適切なDX(KOBUY)の導入によって、購買プロセスの最適化、コスト削減、業務効率化を実現できると、一貫堂取締役の橋爪康太郎氏は指摘しています。
KOBUYプラットフォームは、企業のDXを促進するだけでなく、日本経済全体の構造改革にも貢献する可能性を秘めています。従来の日本企業に根付いていた紙ベースの業務プロセスや属人的な取引関係をデジタル技術によって刷新し、透明性の高い購買管理の実現を目指します。これにより、業務効率が向上し、日本企業の労働生産性の向上にもつながります。
本書の重要なポイントの一つは、業務の無駄の可視化です。多くの企業では、慣習的に続けられてきた非効率な業務が存在します。橋爪氏は、「その仕事、本当に必要ですか?」「なぜ必要なのですか?」「その方法で行う必要はありますか?」と問い掛けながら、企業ごとの業務プロセスを可視化し、ムダを省いた上で最適なDX戦略を提案することで、失敗しないDXの実現をサポートしています。
KOBUYは、買い手(バイヤー)と売り手(サプライヤー)の双方にメリットをもたらすWin-Winの関係構築を重視しています。バイヤー企業のDX推進だけでなく、サプライヤーや中小企業のデジタル化を支援し、B2B取引の効率化を実現します。
間接材購買においては、必ず社外のサプライヤーが関与します。社内の業務をペーパーレス化しても、サプライヤーへの発注や請求が紙ベースのままでは、業務全体の効率化にはつながりません。 さらに、サプライヤーのDX化が遅れると、バイヤー企業のDX推進にも悪影響を及ぼします。購買プロセス全体のデジタル化を進めることで、バイヤー・サプライヤー双方の生産性向上と、持続可能な取引の実現が可能になります。
特に、近畿大学の導入事例では、デジタルツールの活用だけでなく、現場でのきめ細やかなサポートがDX成功の重要な要素であることが示されています。近大の古くからの取引先である町の文具店やOA機器販売会社の導入サポートを行い、彼らのDXも支援しているのです。
KOBUYは単なるDXツールではなく、取引関係の質を高めるマルチサイドプラットフォームとして機能し、企業の競争力強化に貢献しているのです。KOBUYプラットフームに参画することで、購入企業や大学は労働生産性のアップやペーパレスを実現し、サプライヤー企業はDXを行うだけでなく、新たな取引先の開拓にもつながっていると言います。
KOBUY JourneyのプロセスとKOBUYが描く未来とは?
「問題の発見は、「現状」の詳細な分析と、目指すべき「あるべき姿」の比較から生まれます。現状とあるべき姿の差こそが「問題」と認識すべきものです。(阿保晴彦)
一貫堂の常務取締役である阿保晴彦氏の言葉は、企業の間接材購買における問題を見つける上でも重要な視点を示しています。 企業の間接材購買の問題は、単一のポイントに減りません。さらに複雑なのは、部署ごとに「あるべき姿」が異なるため、各部門が自部門の目標に向かって個別に動き、全体の最適化を離れてしまうことです。
これが全社的な効率化やコスト削減を困難にしています。 これらの問題を解決するために、KOBUYの導入と新しい業務フローへの転換が重要になります。しかし、部門横断的な「あるべき姿」の構築は容易ではなく、ある部門の最適化が別の部門の非効率を生むこともあります。
ここでKOBUYは、間接材購買全体の「あるべき理想形」を「KOBUY Journey」として提案しました。この提案は完璧なものではなく、おおよそ70点のビジョンを示すものです。しかし、これを道標として「自分たちの組織や意識の中で何を変えるべきか」というイメージを持つことが可能になります。
KOBUY JourneyはDX化と全体最適化の道筋を示し、企業独自のDXの達成に向けたカスタマイズとともに使い勝手の調整を続けながら業務改善を実現するツールです。
KOBUY Journeyは「業務改革プロジェクトの組成」、「現場業務の見える化」、「間接材購買プラットフォームKOBUYのカスタマイズ」、「間接材購買のKOBUYへの集約」、「運用確認と改善伴走」の5ステップで進められます。これらのステップを通じて、企業は自社の購買管理の成熟度を実態で判断し、段階的な改善を実現できます。
多くの企業がデジタル化を推進する中で、バックオフィス機能としての購買・調達部門の変革はしばしば後回しにされがちですが、本書はそこに焦点を当てることで、企業全体の競争力向上につながる視点を提供しています。購買・調達部門の変革は、単なるコスト削減にとどまらず、企業の持続的成長を支える戦略的機能として再定義されるべきものなのです。
さらに注目すべきは、本書がデジタル技術の導入自体を目的とするのではなく、あくまでも業務プロセスの改善や人材の能力向上、そして取引先との関係強化といった本質的な課題解決のための手段としてデジタル技術を位置づけている点です。
KOBUYの考え方では、テクノロジーはあくまでも人間の創造性や判断力を拡張するためのツールであり、人間の役割を代替するものではないという視点が貫かれています。
KOBUYが提唱する「ブルシットジョブ(無意味な仕事)」からの脱却という概念も興味深いものです。単純作業や付加価値を生まない業務からの解放により、人材が本来持つ創造性や専門性を発揮できる環境を整えることの重要性が説かれています。特に、日本企業に根強く残る非効率な業務プロセスや形骸化した慣行の見直しを促している点は、現代の働き方改革の文脈においても価値ある提言と言えます。
KOBUYが、多様性がより高まる時代において、課題解決の武器としようとしているのが、「KOBUY経済圏」と呼ぶビジネスの場の醸成です。KOBUYはすでに、バイヤー企業とサプライヤーネットワークのマッチングの場となっており、サプライヤー企業にとっては「ビジネスの場」として認識され、プラットフォームへ参画することのメリットが理解されています。
KOBUYのプラットフォームは、単なるデータ管理を超え、AIとデジタル技術を活用したエコシステムとして進化を続けていくと言います。バイヤーとサプライヤーがつながることで新たな価値が生まれ、その連鎖が広がることで、企業全体の購買活動がより最適化されます。
KOBUYは、購買のデジタル化を超えて企業間のつながりを強化し、KOBUY経済圏を形成していくことを目指しています。この経済圏では、AIを活用したデータ分析により、業務のムダを削減し、最適な購買体験を提供します。その結果、企業はコスト削減や業務効率化だけでなく、より高度な購買戦略の実現が可能になります。
さらに、KOBUYのエコシステムは、今後中小企業にも開放されることで、バイヤーとサプライヤーに新たなビジネスチャンスをもたらします。 そして、最適な購買体験が提供されるだけでなく、このつながりが新たなイノベーションを生み出す場にもなります。
データ活用やAIの進化によって企業同士の協力が促進され、新たなサービスやビジネスモデルが誕生する可能性が広がっています。 このように、今後はAIを活用したエコシステムの発展により、KOBUY経済圏はさらなる成長を遂げ、すべての参加企業に新たな価値をもたらしそうです。
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